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EPISODE,58:In the endの前触れはいつだっていやな奴によって引き起こされるものだ

その日、隼斗は朝から辛そうな表情を浮かべていた。

その理由は数日前、こんなことがあった。




私と隼斗は帰宅後、隼斗は夕食を作り、私は学校の課題に取り組んでいた。

すると、リビングに置かれていた隼人のスマホが鳴った。

見るとそこには、『非通知設定』と表示されていた。


「隼斗、電話」

「えっ、電話?誰から?」

「非通知から」

「あー、わかった。ちょっとごめん」


そう言って隼斗にスマホを渡すと隼斗は、その電話を切った。


「あっ・・・」

「こういう非通知からの電話は出ないに限るんだよな」

「そういうものなの?」

「そうなんだろうな。知らないけど」

「えぇ・・・」


まぁ、正直変な相手からだとか、詐欺関連だった大変だもんね。

そう考えてると、またスマホが鳴り、そこに『非通知』と表示された。

そしてまた、隼斗は電話を切った。

が、その直後再び鳴り出す。


「ちょっと待って、怖い・・・」

「面倒だなぁおい・・・。仕方ない、ちょっと出てみる」


そう言って隼斗は玄関近くの廊下に行って電話に出た。



何度も鳴り響く電話に、俺はうんざりして出た。


「・・・もしもし?」

『久しいな、息子よ』

「・・・は?」


一瞬、俺は自分の耳を疑った。

だって、もう二度と関われないようにしたはず。

なのに、どうしてだ?どうしてこうなったんだ?

そんな疑問が俺の頭の中を駆け巡った。


「お前、親父か?」

『それ以外誰だっていうんだよ。まぁいい、今日はお前に頼みがあって電話をかけた』

「どの面下げて頼んでんだよお前は」

『あいにくそんな面などないな。で、話を戻すとだな。隼斗、もう家でなんぞやめてうちに戻ってきなさい』

「何言ってんだ──」

『そして、霧島の娘と婚約をかわせ』

「──はぁ?」


意味が分からなかった。

霧島の娘?一瞬誰だと思ったが、すぐにその人の正体が分かった。


「あんたの勤めてる会社の社長の娘か?」

『そうだ。そこの社長さんがお前のことを気に入ったんだよ』

「あんた、自分の出世のために自分の息子を差し出してるってことに気づいてないのか?」

『だったらなんだっていうんだ。所詮お前も私の道具の一部だってこともわかってるくせに』

「だったら答えは簡単。戻る気はない」

『いつも思うよ。一体私の息子はどこまで落ちぶれるんだってな!!』

「あんたみてぇなクソ親父のせいだっていい加減気づけよ!!」


そう怒鳴り、俺は電話を切った。



リビングに戻ると、彩音がブルブルと怯えていた。


「悪い、怒鳴ってたの聞こえてたか?」

「うん・・・、あんな怒鳴り声、初めて聞いた」

「ごめん、ちょっと相手が相手だったからさ」

「誰からだったの?」

「親父」

「えっ・・・」

「ったく、どうやって俺の電話番号知ったんだよ。今度変えとくか」

「そのほうがいいよ」


その意見に、彩音は快く承諾してくれた。





その日から、隼斗のもとに同じ相手からの電話がきた。

その度に、電話越しの親子喧嘩が繰り広げられた。

でも私は知っている。

これはただの親子喧嘩ではないということ。

私は知っている、隼斗が家族ぐるみで虐待まがいの仕打ちをされていたということを。


「はぁ・・・」

「大丈夫?また電話?」

「いやそれもそうなんだけどさ、『明日お見合いがあるからお前も来い』って言われて・・・、いや、半ば脅しみたいなもんだけどね」

「お見合い・・・」

「あいつ、自分の勤めてる会社の社長の娘を自分の息子と婚約させようとしてるんだよ。そんであいつは出世街道を突き進むつもりなんだよ。そんでもって、俺はその道具にすぎねぇ」

「なにそれ・・・酷すぎる」

「だから仕方なく行って、その場で直接断るつもりだよ」

「そう・・・。ねぇ、一つお願いいい?」

「なに?」

「今日、私危険日なの。だから──」

「そういうわけにもいかないよ・・・。仮に無理矢理既成事実作ったとして、あいつらは彩音を誘拐して強制的に中絶処置をするだろうね」

「そこまでするの・・・」

「それに、俺は彩音を守るために行かないとなんだよ。これだけはわかってほしい」

「わかった・・・」


そういって彩音は渋々了承した。




そして今日、隼斗はお見合いに行く。


「えっと・・・、気をつけてね」

「うん、ありがと。あぁ、それと」


そう言って私にメモを渡した。


「もし俺が今日中に帰ってこなかったら、ここに電話して」

「うん、わかった」


そこまでの対策をするまでに大変なんだと私は実感する。

同時に、何もできない自分を悔やんだ。


「──彩音」

「あっ・・・」


私に話しかけてきた隼斗は、優しく抱きしめた。


「暖かい・・・」

「泣いてたの、バレてるぞ。・・・心配してくれるだけでもうれしいよ」

「・・・ずっと、役立たずだと思ってた」

「んなわけねぇよ。ま、帰ってきたら俺にとって彩音がどれだけ俺の中で大きな存在になってんのか、たっぷり聞かせてやるから。首長くして待ってろ」

「・・・ありがと。絶対に帰ってきて」

「はいよ」


そう言って、隼斗はただ一言「いってきます」といって出て行った。

それに対して、私はただ「いってらっしゃい」としか言えなかった。

でも・・・


「隼斗・・・大好き。絶対に帰って来るって、信じてるからね」


そんな言葉が、私の口からこぼれていた。

EPISODE58です。

そして4月9日、「俺バレ」がついに1周年を迎えることができました!!

ここまで続けられたのは、読者である皆様のおかげです、本当にありがとうございます!

今後も完結に向けて書き続けていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!


ではまた、EPISODE59でお会いしましょう。

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