EPISODE,4:涼太と俺のダメージプラン
「じゃあ・・・小窪はあの席な・・・・・・」
「わかりました」
転校生が来たとき、誰しも気になることが一つある。
それは、「転校生の席の位置」だ。
世の陽キャ男子は、「席が近ければ、その子と仲良くなれる」という
意味不明な方程式ができている。(そんなことを、昨日涼太が
言っていた)
そんな彼女の席位置に男子はドキドキしてる・・・かと思いきや、
めちゃくちゃビクビクしていた。
理由があるとするなら、さっきの
「あまり、私に話しかけないでください」
という、パワーワードか失言かも分からない、強烈な一言。
あれがすべての原因だろう。
しかし、彼らは腐っていても陽キャ男子、
彼女と少しでも・・・ほんの少しでも近づけるはず・・・。
そんなワンチャンを抱いていた。
さて、そんな彼女の席はというと・・・・・・・・・
まさかの、涼太の右隣だった。
さっき、あんな質問をしてしまった奴の隣。
ということだ。
ちなみに、涼太と小窪さん(どう呼べばいいのか、わからないので
とりあえず名字呼びで、え?まだ口に出して呼んでないって?そこは置いとこうよ)
のファーストコンタクトはというと・・・。
「・・・えーと・・・さっきは、ごめんね。でも僕は君と仲良くなりたいと思っている。だから・・・よろしく・・・」
「・・・・・・」
「ぐはぁっ!?」
決して惚れたから血を吐いた訳ではない。
彼女は涼太を、ゴミを見るような目で見ていた。
というか・・・目つきが怖くて、涼太は気絶していた。
(というか、ピクピクして動かないんだが?死んで・・・ないよなぁ)
ちなみに、小窪さんの右隣の男子とのファーストコンタクトはというと。
(確か・・・右隣の奴、佐川だった気がする)
「あのー・・・よろしくね」
「こちらこそよろしく・・・・・・でも話しかけてこないで」
「・・・・・・」
彼は無言のまま硬直していたが、俺には、はっきり聞こえた。
『ぱりーん』と、あいつ自身のメンタルか何かが砕け散った音が・・・。
その後、休み時間に話しかけてきた陽キャ男子のメンタルを、
砂にしたのは、言うまでもない。
四時間目前の休み時間。
俺は、そんな彼女にいろいろな言葉でボコボコにされても、何度も
話しかけてきた涼太のメンタルケアをしていた。
(いや、どっちかっていうといろいろな方法でボコボコにしてたな
小窪さん。最終的に涼太を投げ飛ばしてたし、あんな華奢な体で・・・
すげぇな・・・)
「・・・・・・・・・・・・」
「涼太」
「・・・・・・」
「大丈夫か?・・・って、大丈夫なわけないか」
「・・・はっ!?」
「あ、目覚めた。大丈夫か?」
「俺の・・・」
「俺の?」
「俺の親父が、三途の川の向こう岸で、手を振っていた・・・」
「お前の親父さん、まだ死んでねーよ」
「あ・・・そうか」
「それより、大丈夫なのか?」
「そんなわけないでしょ。・・・ったく、生まれて初めてだよ、
あんなに女子に、メンタル好き勝手に壊されるの」
「貴重な体験だったな」
「おい!?」
一応、持ち直したってとこだな、ちなみに、隣の奴(佐川)はというと、
よっぽどのダメージだったのか、まだ立ち直れていない。
(あいつの友人らしき人物が来ると『死なせてくれ・・・』という、
自殺願望が聞こえてくる・・・。あの時あいつは、メンタルじゃなくて、
精神を破壊されたらしいな・・・)
「隼斗」
「どした?」
「あの子、今日お昼に誘うわ」
「っ!?はあ?いや、バカ、やめとけ。さっきあんなに、ボロクソいわれてるんだぞ!お前・・・やめとけ・・・」
「俺にもプライドがある!!!」
「そんなもん、捨てちまえ!!!」
こいつ・・・。
メンタルの回復能力高いな。
何度もボロボロにされても立ち上がる姿は・・・もう、ただの
『バカ』だよ、お前。
そしてお昼時、涼太は・・・教室の片隅で体育座りをしていた。
その周りには、恐らく同じことをしたのだろう、他の陽キャ男子どもが
体育座りをしていた。
(そして、佐川はというと、無論その男子どもの中に入っていた、
恐らく、あいつの友達に促されて、再トライをしたのだろう。ていうか、
あいつ『私はヘンタイです』という、プレートを首から下げていた。
なにしたんだ・・・あいつ)
果たして、あの子は無事クラスになじめるのだろうか?
EPISODE4です。
ここ最近、花粉が酷く、耳鼻科にいつもお世話になっております。
今回は、比較的主人公ではなく、サブの涼太などが目立っているストーリーでした。
この後、EPISODE5で、制作秘話もあるのでお楽しみに!
では、EPISODE5で。