EPISODE,45:聖なる夜のお二人は
12月24日。
授業間の休み時間のことだった。
ふと教室を見回してみると、なにか違和感があることに気づいた。
なんというか、全体的に男子の様子がおかしい気がする。
男子は2つに分けられるとするなら、1つのグループはなんかイライラというか、妬ましいという思いが伝わってくるような感じがした。
もう一方のグループは、普通に楽しそうに見えるが、なんか緊張?みたいな雰囲気も伝わってくる。
一体何だ?と思った時、涼太が話しかけてきた。
「隼斗。どした?そんなに悩んで?」
「うん?あぁ、なんか男子たちに派閥ができててね」
「派閥・・・、あー、なるほどな」
「これなに?」
「これ何ってお前───今日なんの日かわかってていってるのか?」
「え?────あ、イブか。今日」
「そうだよ。てことは考えられるのは1つしか無いでしょうが】
「リア充と非リア充の派閥争い・・・いや、冷戦的なやつか」
「まぁ、そのとおりだ」
クリスマスイブ、男子にとっては気まずいと思う人や楽しみな人に分かれるのが一般的なのだろう。
クリスマスにデートするなんてほぼほぼのカップルは一大イベントのように感じている人がほとんどだと俺は考えている。
でも、すべての男子に恋人がいるとは限らない。
「おい、やっぱりあの2人は今年もデートらしいな・・・」
「うわぁ、マジか」
「もういっそ爆散しやがれ、クリスマスなんてクソだ。サンタなんて居やしないんだよ・・・」
とまぁ、そんな妬ましい会話が聞こえてくる。
その一方
「いやぁ、今年も楽しみだよ」
「そうだな」
「てかお前明日初デートなんだろ?頑張れよ」
「うん!ありがとう!」
こっちのグループはなんか明るい雰囲気を感じられる。
グループ違うだけでこんなことになるのか、グループって凄い。
そんなグループに対し俺達はと言うと
「なぁ、涼太」
「ん?」
「お前ってどっちなん?」
「ぶっちゃけ言ってどっちにも当てはまらないかな?──いや、どっちにも居れないって言ったほうが良いな」
「あー・・・なるほどな」
涼太は中立の立場にいた。
美空ちゃんの登場により、「涼太に彼女ができた」という噂が広まり、涼太にも非リア充からの罵倒が殺到した。
それならリア充組にいても良いのではないかと思うのだが、涼太曰く「他人の惚気は嫌だ」と言ってたため、あまり関わりたくないらしい。
「そういうお前はどうなんだよ?」
「は?俺か?」
「いやだって、噂になってるぞ。小窪さんとの噂」
「あー、あれな・・・」
かく言う俺も、中立の立場に居た。
というのも、彩音さんが転校して来た時他の男子達が小窪さんと付き合いたい!という思いが溢れすぎて猛烈なアタックを繰り返していた。
それに対し彼女は、めちゃくちゃにうんざりし疲れ切っていた。
なんにせ初日にクラスの男子全員から、1週間後には学校の先輩後輩問わず男子全員から、1ヶ月後には他校の男子から告られるというモテっぷりだった。
そんな本人曰く「特定の男子と一緒に居ればこういうこともなくなるのでは?」と考え、唯一告ってない俺と一緒に居ることが多くなった。
まぁ、そのせいでほとんどの男子たちの会話の話題がそれになるのは必然的だった。
なんならみんなには言ってねぇけど、付き合ってもないのに同居してるしな、俺ら。
「でも単なる噂だろ?」
「噂の渦中にいる本人がなに言ってんだか。で?ほんとに付き合ってんの?」
「さぁな。俺はどうでもいいとは思ってる」
「噂に対してじゃなくてだな。お前は小窪さんのことどう思ってるんだよ」
「俺はただ普通に仲の良い女友達としか思ってないけど」
「いやなんでだよ。普通は『実は好きでした!』ってなるオチじゃないのかよ」
「そうなるとわ限らねぇよ・・・」
本人がどう思ってるのかは知らんが、これが俺の本音だしな。
でも
「ま、1つ言うなら」
「なんだい?」
「なんだい?」
「クラスの中では一番可愛いと思ってる」
「お、やっぱ俺らと同類か」
「告ってない時点で同類ではないだろ」
そんなくだらない会話を俺達はかわした。
学校も終わり、金曜日なのでバイトもないから明日辺り買い物にでも行こうかと考えていた。
そもそも親とのいざこざのせいでクリスマスは家族ともすごせなかった。
だから親からのクリスマスプレゼントは一度ももらったことがない。
そんな事もあったな、まぁ、親が親だから仕方ないか。
でも今彩音と同居してるし、せっかく明日クリスマスだし、明日はクリスマスメニューにでもするか。
「隼斗?どうかした?」
「あぁ、ちょっとね」
「私で良ければ相談にのるよ?」
「ん、じゃあ相談」
「はい」
「クリスマスのディナーといえば何?」
「チキン料理、ミネストローネ、ケーキ、フランスパン、ラザニア」
「決まりだな」
「え?全部いけるの?」
「ケーキは買わないと無理だよ?でもチキン料理はフライドチキンは昔作ったことあるし、ラザニアは生地とソースセットで売ってる物があるし、ミネストローネは余裕。フランスパンは作れないから買うか」
「でも、大丈夫?荷物とか」
「あー、それなんだけどさ。彩音、手伝ってくれない?」
「言うと思った、いいよ。私も手伝う気満々だし」
「ありがとう。助かるよ」
「ちなみに明日何時起き?」
「8時には出発だからな。6時には起きたい」
「じゃあ、決まり。そうとなれば早く寝よっか」
「そうだな」
こうして俺らは、明日のためにいつもより早い時間に眠った。
そして相変わらず彩音は俺を抱き枕にして眠っていた。
次の日の朝。
予定時間に外出し、目当てのものなどの買い物も順調に買えていた。
「あとは、ケーキだけだね」
「そうだな。それじゃ早速行くか───」
「あれ?先輩方?」
「え?」
「美空ちゃん?」
振り返ってみるとそこには、満面の笑顔の美空ちゃんと、死にかけの涼太がいた。
涼太の存在がよほど嫌なのか、彩音は俺の後ろに隠れた。
「相変わらずですね・・・、彩音先輩は」
「もう、いつものことだから慣れてるよ。ところでやっぱり美空ちゃんとデートか。涼太は」
「えぇ、もちろん。涼太先輩、とても嬉しそうにしてましたよ!『来てしまったか!!』って言ってましたし!」
「良かったな、涼太・・・」
来てしまったかて、絶対に嬉しい意味で言ったわけじゃないだろ?と言いたかったが、何を行っても無駄だと思うのでとりあえず黙っとくとしよう。
「それじゃ私達はこれで」
「おー、気を付けてな」
「はーい!」
「なぁ、彩音」
「なに?」
「ケーキって、フルーツ派?それともチョコ派?」
「チョコ派」
「奇遇だね、俺も。だから早く行きたいからとりあえず行こっか」
「うん」
このあと俺らは、ガトーショコラを買って帰った。
「よし!全部できたっと!」
「うわぁ!え?これ全部1人で作ったの?」
「うん。一応全部2人前の材料で作ったってのもあるし、結構力作ぞろいだよ」
「じゃあ早速食べよっか」
「賛成だ」
料理は一時期やり込んでたから一応作れるものは作れる。
さてあとはお口に合うか───
「ん!美味しい!」
良かった。
心配も杞憂だな。
こうして俺らは、自分でもなんだが力作ぞろいのクリスマスメニューを楽しんだのであった。
EPISODE45です。
そして今年最後の投稿となりました!4月から始めたこの小説も来年で連載1周年なので年明けもよろしくお願いします!
てな訳で、記念すべき今年最後のストーリーはクリスマスでした。
実はこれ1ヶ月前(11月)から考えてた短編のストーリーを1つにまとめきった感じです。
正直考えてて楽しかった自分がいます。
来年も頑張って書き切りたいと考えているので、もうしばらくのお付き合いをよろしくお願いします!
ではまた、来年のEPISODE46でお会いしましょう。
良いお年を!!




