EPISODE,44:季節外れの怪談と勘違い 〜後編〜
同刻、小戸皿家。
「なっ!水奈子!?」
小戸皿家の中に、水奈子が現れていた。
「あなた、どうしてここに!?」
「ふん!こんな死んだ者の結界なんぞ、すぐに超えられることなんぞ容易い」
「死んだ者・・・、まさかあなた!お父様を殺めたのか!?」
「その通り・・・、そして火奈子姉さんから章也さんを!今度こそ奪い返させて頂きます!」
そう言いながら、水奈子は火奈子に襲いかかろうとした時。
「ううっ・・・、なんとか戻ってこれたよ、ったく・・・」
「橋沢さん!?」
「お前・・・、何でこんな所に?お前には影縛りをしていたはず!ならお前は今頃、あの沼に沈んでいるはずなのに・・・どうして!?」
「あー、実はですね───」
遡ること1時間前。
「くっ!どうするんだよこれ!」
影縛りの杭がスッポンに打ち込まれ、沼の奥深くへと潜っていくときだった。
もがいても引きずり込まれるばかりで、どうすれば助かるか思案していた時、ひらめいた。
「これなら!」
俺は自分の着ていたTシャツを脱ぎ捨てた。
すると、身体が軽くなり泳いでなんとか沼の岸にたどり着けた。
読み通り、あの杭は俺の影に打ち込まれていたが、打ち込まれていた場所に気づかなかったら死んでいただろう。
「あんた、俺のTシャツのところだけに杭を打ち込んでたからなぁ!」
そう、あの杭は身体の影に打ち込まれてはいなかった。
Tシャツの影に打ち込まれていたのだ。
このことに気づいたのは、沈み方にあった。
感覚としては、まるで引っ張られていくような感じがした。
それもつままれて引っ張られている感覚。
それが服であることに気が付き、Tシャツを脱ぎ捨てたら案の定、身体の縛りが解けた感覚がしたので、なんとか生還できたというわけだ。
「まぁ、そういうことでなんとか復活したってことっすね」
「おのれ・・・、1度ならず2度までも!邪魔するのかぁ!」
そう言いながら水奈子は俺に襲ってきた。
が、するりとかわし、足を引っ掛けさせ転ばせたところを取り押さえた。
「うっ!」
「はいはい、そろっと成仏してもらおうかね!」
「そ、それはっ!」
俺が見せたのは、結界の素になっていたであろう、御札だった。
そこには、「土符」と書かれていたのがわかった。
それを見せた途端、水奈子は顔を青ざめた。
「や・・・やめろぉ!それを見せるなぁ!」
「抵抗すんなや!」
暴れだす水奈子を取り押さえ、一瞬の隙をついて───
「土剋水!」
御札を水奈子の顔に貼り付けた。
すると水奈子の姿形がだんだんと消えていっているのがわかった。
そして終いには、跡形もなく消えていった。
「──はい、おしまいっと」
俺は2人に話しの終わりを告げた。
当の2人はと言うと
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「まぁ、信じなくてもいいぞ。こんな不可解な話されても理解できないのは当たり前だし」
「え?本当にあったの!?」
「うん、マジ話よ」
「あぁ、どおりで帰ってきた次の日全身筋肉痛になってたんだね・・・」
「いや、信じる理由そこ?まぁ、あの後筋肉痛ひどかったしな」
「・・・帰ってきた次の日筋肉痛のこと、なんで彩さんが知ってるの?」
「あ、えっと・・・」
「その日小窪さんが来たんだよね」
「そう!その時に知ったの!」
「ふーん」
全く、今日ちょっと帰ったら気をつけてくれって言っとこ。
まぁ、それにしてもあの時は大変だったよ。
他人の恋愛事情に首突っ込まないように気をつけないとな。
でないと───
「────こっちまで嫉妬を喰らうからな・・・」
「ん?なにか言った?」
「いや、なんにも?」
「そっか。じゃあ帰ろっか」
「あぁ、そうだね」
「私も一緒に行く〜」
「了解」
「わかった」
俺達3人は、下校した。
EPISODE44です。
今回だいぶ執筆の時間が取れなかったので、出来が悪いです。師走だからですかね・・・
さて、今週紹介するのはジューダスプリーストの「シナー」です。この曲はアルバムSIN AFTER SINというアルバムの曲でとにかくイントロとギターソロが聞いて欲しいところです。ぜひ聞いてみてください!
ではまた、EPISODE45でお会いしましょう。




