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EPISODE,43:季節外れの怪談と勘違い 〜中編〜

〜前回のあらすじ〜


彩音の友達、天宮絵名から「怖い話をしてくれない?」と言われた俺、橋沢隼斗は、夏休み中に起きた出来事を話す。その途中で、俺の従兄妹である西宮小町がでてきた途端、急に絵名が俺の肩を揺らしてきて「小町って誰!?」と言ってきて、話を中断される羽目になった・・・。

待ち合わせ場所にいた従兄妹である西宮小町と合流した俺は、早速小町の家に向かった。


「夏休み中に来てくれてありがと〜、めっちゃ嬉しい!」

「毎年のことだろ?まぁ、俺も毎年楽しみにしてることなんだけどね」

「それならなおさら嬉しいよ!」

「そうか?なら良いけどさ」


そんな会話をしているうちに、2人は着いた。

早速中に入り、小町の両親に挨拶する。


「あらまぁ!隼斗くん!今年も遠いところからありがとう!」

「ご無沙汰してます、おばさん」

「ささ、早くあがって!」


相変わらずおばさん、もとい小町の母親は元気そうだった。



着いた頃が12時半だったからか、ちょうどいい時間だったのでお昼をすませて食休みをしていた頃のことだった。


「そういえば隼斗くん、お隣の小戸皿(ことぜん)さんとこの息子さん覚えてる?」

「小戸皿・・・、あ、章也(しょうや)兄ちゃんのことですか?」

「そうそう。でね、その人が三ヶ月前に結婚したんだって!」

「へぇー、そうなんですね」

「あれ?お父さんから聞いてなかったのかい?」

「いえ、初耳です」

「あらそうなの?まぁ、置いといて。それでね、今日そのお隣さんのご家族と夕飯食べることになってるの」

「あぁ、いいですね」


もう長いこと章也兄ちゃんに会ってないなぁ。

章也兄ちゃんとは、お隣さんの息子の小戸皿章也(ことぜんしょうや)のことだ。

大学に進学してから、会う機会が減っていたので、大体4年ぶりの再会となる。


「それでね、これから小町に挨拶に行ってもらって招待するんだけど」

「えぇ〜、面倒なんだけど・・・」

「あぁ、わかった。代わりに俺行ってくるわ」

「本当!?ありがとう!橋沢くん!」

「いいの?ありがとうね」


こうして俺は、久しぶりに小戸皿家に向かった。



徒歩数分の距離にあるので、小戸皿家にはあっという間に着いた。


「さて、どうしたものかね・・・」

「あの・・・」

「ん?」


不意に声をかけられ、後ろを振り向いてみると、そこには和服姿の女が立っていた。

和服姿といっても、振り袖の豪華なものを着てるのではなく、振り袖1枚羽織っているような感じだった。

気になったのはそこだけではない。

その下には、巫女服を着ていて、しかも全身ビショビショに濡れていた。

これは明らかに変だ。


「小戸皿の家はここでしょうか?」

「えぇ、ここですよ。ほら、ここに『小戸皿』って書いてありますし」

「そうですか・・・、なら私と共にお入りしてもらってもよろしいでしょうか?」

「いいや、それはできませんね」

「どうして?」

「どうして?いやいや、あなたは明らかに私よりも年上ですよね。それなら簡単に出入りはできるでしょう」

「あの女・・・」

「はい?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」


そう言いながら、女は俺に掴みかかってきた。

けれど、護身術を身に着けている俺はすぐに振りほどき、女を押さえつけた。


「くっ!離せ!」

「いやいや、離しませんって。そもそもあなた一体───」

「なにをしているの?」

「あっ・・・」


門の前を見ると、そこには女の人が立っていた。

その時、自分の手に感覚がなくなっていることに気づいた。

見ると押さえつけていた女がいなくなっていた。


「あなた、一体何者ですの?名乗らなければここを通しませんよ?」

「あぁ、私は──」

「あれ?隼斗か?」

「あっ、兄ちゃん!」


ちょうどいいタイミングで、章也兄ちゃんが現れた。

兄ちゃんが女の人に俺の素性を説明した。


「なるほど、先程は失礼しました」 

「隼斗、良かったらお茶してこうや。遠慮なく上がってっていいぞ」

「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて──」

「その前に」

「はい?」

「一つ、確かめたいことがあるのですが。よろしいでしょうか?」

「どうぞ」


すると、女は水をかけてきた。

顔に冷たい感覚が襲ってくる。


「満足ですか?」

「えぇ。失礼しました。どうぞお上がりください」


こうして俺は、久しぶりに小戸皿家を訪れた。




お茶をしながら、章也兄ちゃんが色々と教えてくれた。

さっき水をかけてきた女の人は火奈子(かなこ)という。

そして兄ちゃんの妻だという。

そして兄ちゃんは、夕方まで昼寝してると言い、席を外した。


「ところでなんですが、一つお聞きしても?」

「はい。何でしょう?」

「その顔の絆創膏・・・、いえ、ガーゼですか?何かあったんですか?」

「あぁ、これですか?・・・油断したんです」

「油断?」

「えぇ、実は────」


そう言って、火奈子さんは話した。

大学生の頃、兄ちゃんを取り合うライバル間の、いわゆる三角関係にあった。

その女は、兄ちゃんが、火奈子さんを選んだ次の日に自殺した。


「その女の怨霊が、この家・・・、いや。この2人に憑いているんですか?」

「えぇ、その通り。でもお父様が結界を張ってくれたおかげで今は霊障を受けないんですよ。外に出ない限りはね」

「そうですか・・・。ところで、死んだ女の人の名前って?」

水奈子(みなこ)です」

「・・・水奈子?」

「はい。()()()()()()()


なんてこった。

まさか姉妹関係&三角関係とは・・・。

相当大変だったんだろうな。

そういえば、あの女の顔、今思えば火奈子さんと似てたな。

そう考えながら俺は、小戸皿家をあとにした。




帰ろうとした時、また不意に声をかけられた。


「あの〜」

「はい、なんでしょうか?」

「あんたが、章也と知り合いの人かね?」

「はい、その通りですが。あなたは?」

「私は火奈子の父です」

「あぁ、あなたが」

「それでなんですけど。良かったら少し寄り道してどうでょう?」

「良いですよ。時間ありますし」

「では、ついてきてください」


そう言い、父親の跡をついて行った。



到着したところは、沼だった。


「ここが、水奈子が沈んだ沼です」

「ほぅ・・・、ここがですか」

「小さい沼ですが、かなりの深さがあります。子供はもちろん、大人が入ったら簡単には抜け出せないでしょう」

「そうですか・・・」

「おっと、危ないですよ。あまり近づいては。落ちてしまいますよ」

「──!?」


沼から離れようとしたその時、ある違和感に気づいた。

身体が動かせない。

まるで金縛りにでもあったかのように。


「まぁ、動けないはずですわ。あなたの影に杭を打ち込んでおりますからねぇ」


見ると確かに自分の影に杭が打ち込まれていた。


「影縛りか!」

「ほぉ、ご存知でしたか」

「・・・あんた、水奈子だな?」

「その通り・・・」


そう言いながら、段々と顔が変わっていき、さっき掴みかかってきた水奈子の顔になった。


「お父様には死んでいただきました。邪魔でしたのでねぇ。そして・・・、お前も沼に引きずり込まれな!」

「なっ!?」


すると、杭の打ち込まれたあたりの地面からスッポンが出てきた。

そしてスッポンはどんどんと沼に向かって歩いていき、沼に入り込んだ。

それとほぼ同時に俺は沼に引きずり込まれた。


「さぁ、溺れてしまいなさい!」


そう言って水奈子は消えた。

しかしマズイな、これ!


「くっ!どうすんだよこれ!」


このままでは沈んでお陀仏だよ、どうする・・・

EPISODE43です。

12月ももう半分を切ったこの時期に怪談ストーリーを書くのは私だけでしょうね・・・。

さて、今週紹介するのは、アナイアレーターの「セット・ザ・ワールド・アファイア」という曲です。

念密に計算されたギターパートが聞き手を興奮させる曲です。ぜひ一度聴いてみてください。


ではまたEPISODE44(後編)でお会いしましょう

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