EPISODE,36:秋の木枯らしと共に・・・ 前編
時間の流れは早い。
彩音との同居を始めて3ヶ月がたった10月。
つい昨日まで着れた夏服も、あまりにも急激な冷え込みで急いで冬服に変えるハメになった。
ちなみに、魁星高校では「『衣替え』のタイミングは自己責任」という校則がある。
一見楽そうには見えるが、これには季節問わず身だしなみをきちんとしろというメッセージが隠れている。
そういったことを含めてなのか、制服の衣替えは行わないらしい。
そんな中、今朝の彩音はなんかすごいことになっていた。
起きて30分も経たないうちに・・・、なんというか、「水と油が混ざって凍り固まった」って感じに動かずにじっとしていた。
「寒いよぉ・・・」
「大丈夫か?」
「無理。凍りそう・・・」
「いや、朝もう凍ってたよ?」
「・・・マジで?」
あの後、なんとか制服(冬服)に着替えさせた俺は、登校拒否(外が寒すぎて)する彼女を登校させることに成功。
その後なんとか教室へとたどり着いた訳だ。
教室へと入ろうとしたとき、何か違和感があることに気づいた。
この違和感は、すぐにわかった。
「隼斗。あれ、涼太だよね?」
「あ、ほんとだ」
そこにいたのは、涼太のはすだが・・・。
「ねぇ、なんか様子おかしくない?」
「あぁ、確かに。なんか変だ」
涼太は、机にうつ伏せになったままの状態だ。
恐る恐る、近づいてみる。
「おーい、涼太・・・って、え!?」
そこには、文字通り『灰になった涼太』がいた。
詳しく説明するなら、白く力尽きていてまるで・・・
「「『灰』だね・・・」」
「ハモるなぁぁ!」
あ、キレた。
って、そもそもよく彩音とハモるけど
ほんとになんでだろ?
まぁ、それは置いておいてと言わんばかりのノリで彩音がたずねた。
「ところでどうかしたの?」
「ヤバい・・・。彩音ちゃんに心配されるとかマジで幸せ・・・」
「・・・キモい・・・・・・」
「ぐはぁっ!」
あ、灰色から赤に染まってく・・・。(血・・・)
「・・・ってか、大丈夫か?ほんとに。
何があったんだよ」
「あぁ、実は・・・」
そう言って涼太は『昨日起きたこと』について説明した。
昨日の昼休み。
「・・・なんで俺、ベットの上で縛られてるの?」
今俺がいるのは、保健室のベットの上。
それも両手両足を縛られたまま。
別にそういう趣味を持っているわけではない。
断じて無い。
なぜこうなったか冷静になって思い出す。
そういえば、昼休みに放送で「生徒の呼び出しをします。浅賀涼太さん。今すぐ保健室まで来なさい」との放送が流れ、すぐに向かって行った。
で、その後到着したのだが、その直後に後ろから何者かが俺の後ろから当て身を喰らわさせ、気絶して・・・。
そして目が覚めて今に至ると。
「いや、だから解放しろー!」
「嫌です」
「『嫌です』じゃねぇ!」
そしてさっきから解放を求めている相手こそが黒幕であり一人の少女。
この子は文瀬美空。
本人曰く、俺の一つ下の後輩らしい。
「えぇと、なんでこんなことを?」
「教えませんよ?」
「ですよねー・・・」
こんな保健室に女の子と二人きり(しかもめっちゃ可愛い)のこの状況。
しかも人通りはほとんどない。
「これはもう・・・明らかに修羅場だよね?」
「修羅場ですね☆」
「楽しそうだなおい・・・。てか、なんでこんなことを?」
「知りたい?涼太さん」
「正直めっちゃ知りたい」
「いいよ〜」
「可愛いな」
「ありがと、涼ちゃん♡」
「あだ名がついたな・・・」
距離感にツッコミどころがあると感じた俺を差し置かれ、彼女はいきなり無言で俺の上に座り込んだ。
そして、囁くように──
「──涼ちゃん、好きです。だから・・・ん!」
「っ!?・・・え?」
あぁ、俺。
このままこの子と居ると、人生においてなにか大事なものを失いそうだな。
と察した俺は、無理矢理縛られていた両手両足を外し、ベットから脱出し、逃げ出した。
EPISODE36です。
今回は珍しく涼太メインのストーリーでした。
ちなみに前編もあるということは後編もあるのでお楽しみに。
そんな今週は、(今週はできなかったヘビメタ解説付き)「アングラ」についてです。
ブラジルのバンドで、アンドレ・マトス(vo)が組んだバンドで有名です。オススメは「イーヴィル・ウォーニング」という曲です。別バージョンもあるので聴き比べるともっと楽しめます。
そんなアンドレ・マトスはアングラを組む前に「ヴァイパー」というバンドにいたという経歴があり、個人的にはヴァイパーの曲では「シアターオブフェイト」という曲が好きです。こちらも聞いてみてください。
ではまたEPISODE37でお会いしましょう。




