EPISODE,29眠気と疲れまみれの事情を話すこと自体面倒だ
「それじゃあ、お疲れ様でした・・・」
「お疲れ様。てか大丈夫?ちょっとやつれてない?」
「いや・・・。先輩、これ多分先輩からの質問攻めでこうなったんだと思いますよ」
「あぁ・・・。なんかごめんね」
「いえ、お構いなく。じゃあまた次のシフトの日に」
「はーい、またね」
先刻の質問攻めに遭った俺は、そのまま真っ直ぐ家に帰った。
ここの最寄り駅は、学校の最寄り駅から家に向かっていって、そこから七宮駅から三駅過ぎたところがバイト先の最寄り駅だ。
そこから徒歩3分でバイト先に着く。
とまあ、こんな感じに行き帰りのし安さが良いから正直ここ気に入ってるんだよね。
そう考えるうちに、いつの間にか七宮駅に着いていた。
ここからはいつも通りの登下校するときに使う道を行けば家につく。
それにしても、先輩に自分の友達関係とか言ったこと無いから彩音のこと俺の彼女だと勘違いしてたからな。
同居してる事実も隠すのに色々手間取った。
今日は本当に早く寝ないと、明日寝不足で詰むからなぁ。
「た・・・、ただいまー・・・」
「あ、お帰りなさい」
「あぁ、疲れたぁ」
「あ、夕食食べる?」
「いや、向こうで食べてきたよ。というか、そもそもドライカレー、一人前しか作ってないから残らないはずだけど」
「あ、そうなの?ちょっと量多かったから隼斗の分もあるのかと思っちゃって」
「あぁ、残っちゃったら明日の朝食べていいよ」
「ん。じゃあそうする」
「あぁ、そうそう」
「へ?」
「彩音に、色々聞きたいことあるんだよねぇ」
「あ・・・、はい・・・」
彩音が素直に聴いてくれる人で良かった。
「で?なんで俺の知ってるの?」
「えっと・・・、伯父さんから聞きました・・・」
「・・・個人情報ってなんだっけ?」
なんであの人普通に他人の個人情報バラしちゃうんだろ?
そういえば、書類の中にバイト先とか書く欄があったな・・・。
「あの・・・、隼斗?」
「ん?」
「その・・・、怒ってない?」
「いや?怒ってねぇよ」
「そうなの?」
「いや、別に彩音に知られても問題はないし、そもそも元は勝手に教えた伯父さんが悪いからな。それに」
「うん?」
「今日バイト中、ずっと先輩から彩音のこととか質問攻めにされてヘトヘトなんだよね」
「う、うん」
「だから、今日はこれでおしまい。もうこれ以上言う事ねぇし。さて、寝ようか。もう夜遅いし」
「うん、あ・・・、あの、その・・・」
「どした?」
「ありがと。いろいろと」
「いや、だから・・・。って、まあいいか。さて、もう寝ようか」
「そうだね」
色々と話した後、布団を敷いて寝る準備を済ませ、眠りについた。
眠りについてしばらく経った頃。
「んっ・・・、あれ?今何時だ?」
自然に目覚めてしまった俺は、枕元にある置き時計に手を伸ばして取った。
「2時・・・、てことはまだ深夜かよ。・・・はぁ、寝よ」
再び眠りにつこうとした時、ふと自分の左側を見てみた。
そこには、毎晩添い寝してくる彩音がすやすやと眠っている。
その寝顔は、ものすごく安らかに眠っているのがわかった。
・・・・・・なんだろ?
突然、言葉じゃ表せない雑念が自分の中に生まれていたことに気づいた。
愛しい彼女の顔を見てホッ落ち着く反面、何か不安な気持ちが混じった感情。
(そういえば、前にもこんな事あったような?)
まあ、寝るか。
寝てれば明日の朝には治るだろ。
このまま彼女の顔眺めるにしても、起きたときの言い訳ができねぇからな。
そして、再び眠りにつくために目をつぶって横になった。
眠りかけたその時、頬になにか温かみのある風が当たった。
いや、そもそも今この部屋は完全に締め切っているから風なんて吹く訳がない。
恐らくだけど、これ、吐息じゃないのか?
(あれ?てことは彩音起きた?)
とその瞬間、頬に柔らかい何かが当たった。
・・・いや、当たったというか、少しくっついているような感覚がした。
そして、間髪入れずに耳元からこんなささやき声が聞こえた。
「・・・はやとが・・・、いつか、私を好きに・・・なってくれるといいなぁ」
・・・・・・・・・・・・・・え?
一瞬何が起きたのか分からなかった。
でも、これだけはわかった。
彩音は、俺の頬にキスをした。
信じられない体験をした俺は、さっきの感触が寝ぼけているものだと信じたい。
そもそもさっき言ったことや起きたことは、ただの幻覚であって欲しい。
そう願いながら、俺の意識は眠りについた。
EPISODE29でございます。
最近は夏も終わり、いよいよ秋になって来るはず・・・なんですけど。
なんでまだこんなに暑いんでしょうね?
そんな事を考えながら、今日は原稿を仕上げていきました。
来週もどうかお楽しみにしてくれると幸い。
では、またEPISODE30でお会いしましょう。




