EPISODE,25:地雷の対処法を、俺は知らない
これは例えばの話だが。
相手の地雷を踏んでしまった時、俺はすぐに謝るようにしている。
そもそも、地雷自体踏んだことがないので、これが正しい対処法だと胸を張っては言えない。
だが、俺は今確信した。
地雷は、謝っても許されない兵器だということを。
「おーまーえぇ・・・」
「怖いって!怖いってぇ!!」
どうやら俺は、お隣さんの地雷を踏みつけてしまったらしく、部屋に引きずり込まれてしまった。
そして今、一言でも余計なことを言ってしまったら、右胸にある人間の生命の源にブッスリと刺してきそうな雰囲気を醸し出していた。
(もうだめだ・・・、おしまいだぁ・・・)
そう諦めかけたときだった。
「ちょっと。やり過ぎだよ」
ベフッ
「いてててて・・・、あぁ、あやくん」
「あやくんじゃない。もう、私の同居人に危害加えないでよね。それでビビリになったら困るの私だからね」
「はーい・・・、ごめんなさぁい・・・」
すげぇ、いとも簡単に怒りを鎮めちゃったよ。
すげぇ・・・、もう、語彙力失っちまったよ・・・。
「あの・・・」
「あぁ、ごめんね隼斗。この人身長のことになるとブチギレちゃうんだよね。あと、この人身長伸びずに成長期終わっちゃった人でしかも童顔だからよく中学生に見間違えられることがあるんだよね」
「あの・・・」
「え?あぁ!!」
俺が指した先には、お隣さんが色々と心の傷に唐辛子塗られて重症化したと言わんばかりのダメージを受けていた。
閑話休題
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、問題ない。というか、前にもあやくんにボコられてるから」
「あのときは本当にごめん・・・」
「いやぁ、怒ってねぇから大丈夫よ。あぁ、それとさっきはすまんな」
「いやいや、こちらこそ失礼なこと言ってすいませんでした!」
「まあ、知らなかったからしょうがない
、しょうがない」
どうやらこの二人は、仲が良いらしい。
まあ、ご近所付き合いが良いって証拠か。
「ところでさっき言ってたことって・・・」
「認めたくはねぇけど、事実なんだよな、これが。ったく、なんで伸びなかったんだろ?」
「えっと、失礼ですけど。歳って、いくつですか?」
「俺?27だけど?」
「マジっすか?」
「マジだよ。まあ、これ見てもらったほうが納得はしてくれると思うぜ」
「これ、健康診・・・え?」
彼が見せたのは、中学の頃の健康診断表。
そこには、身長のデータを記録した折れ線グラフがあった。
年に3回身長計測行い、計9回の記録をグラフ化してあるのだが・・・。
なぜ全てのグラフが一直線になっているんだ?
そのグラフは、身長155センチメートルの縦軸を維持したまま、横に向かって一直線になっていた。
「このグラフ、マジですか?」
「マジだ」
「マジだよ、隼斗」
「えぇ、彩音もそれ言っちゃうの?」
ついには、彩音もその事実を認めてしまう始末だ。
これはウソってわけじゃないな。
「ところで、お前。あやくんから『隼斗』って呼ばれてたな?」
「あぁ、はい。橋沢隼斗っていいます」
「ふーん。あ、自己紹介してなかったな。俺は杉岩明男だ」
「杉岩さん・・・」
「いや、明男でいいよ」
「あ、はい。わかりました、明男さん」
「おう、よろしくな。ん?そう言えばあの箱何?」
「あぁ、これ?っと、その前にね・・・」
箱の中身の説明の前に、今日ここへ来た経緯を説明した。
「なるほどな。てか、よく考えたら俺初対面で怖い印象植え付けちまったってことになるな。すまん!」
「いやいやいや!初対面だから仕方ないですって」
「そうかぁ。ま、何がともあれ改めてよろしくな、はやちゃん」
「ん?はやちゃん?」
「名前隼斗じゃん、だから、はやちゃん。嫌だった?」
「いや、別に大丈夫ですよ。ケルベロスってあだ名付けられるよりはマシです」
「どんなあだ名だよ・・・」
「どういう思考回路なの?その人?」
昔の自分のあだ名に、引いていた二人だった。
ちなみにあだ名のケルベロスとは、小5の頃に父から『狂犬』の扱いをされたときのあだ名だ。
まあ、このことは墓まで持っていくとしよう。
話したら、後々めんどくなるし。
「えっと、これからよろしく」
「こちらこそだよ、はやちゃん」
こうして、一応明男さんの地雷を踏んだ件については、一応許されたのだった。
帰って少しソファーでまったりしていた頃。
「そういえば隼斗」
「ん?」
「昨日からお互い呼び捨てにしよって話ししたじゃん?」
「あぁ、なんか罰ゲームとかなんとか話してたね」
「お互い、引っかからないね」
「まあ、罰ゲーム知らされてねぇから、間違えられないってのがあったけどね。そう言えば、罰ゲームって何になったん?」
「こちょこちょ5分間」
「地味にキツイな・・・」
とまあ、罰ゲーム喰らわなくて良かった良かった。
にしても、
「意外と可愛いの思いついたんだな、罰ゲーム」
「痛い罰ゲームとか嫌だろうし、ちょっと受ける側も楽しいのにしたんだよね」
「ありがとう・・・」
なんだろ?
気を使ってくれたおかげか、ちょっと心が温かくなったのは気のせいか?
「ん?どうかした?」
「おいおい・・・」
彩音は、くすぐる構えをしていた。
「俺引っかかっていないんだが?」
「いいじゃん、ちょっとしてほしいって顔してたし」
「これっぽっちも思っていませんが?」
「ええい!問答無用!!」
「ちょっ!」
彩音は、ソファーに寝っ転がってる俺に覆いかぶさるようにうつ伏せになってくすぐってきた、が。
「あれ?もしかしてあんま効かない?」
「親からの虐待で、感覚バグってるんだよね。だからあんまくすぐったいのは効かないんだよね」
「そうなんだ・・・」
「さてと・・・」
「え?ちょっと!?くすぐったいってぇ!」
「さっきのお返しだよ、彩音だけとかずるいから」
「えー!ごめんて!!」
「問答無用!」
「えー!あ、あひゃひゃひゃひゃひゃ!ちょっ!くすぐったいってぇ!」
とまあ、さっきのお返しと言わんばかりに俺も彼女をくすぐった。
ちなみに彩音も5分間くすぐったので、こっちもお返しに5分間だけにした。
まあ、あのあと隣の明男さんが来て、「うるせーよ!このイチャイチャカップルが!」と叫び、二人して「「付き合ってないから!」」と二人して否定するのは・・・、あと4分後になった。
EPISODE25でございます。
今回は思いっきり2人をイチャイチャさせてみましたが、一応これでも2人は付き合ってはいない、ただの同居人ですからね。これで無自覚なのかぁと思いながら書いてました。
では、EPISODE26でお会いしましょう。




