EPISODE,20:COLD!!
「え?親と完全に縁を切ってくる?」
今俺達がいるのは、伯父さんの家のリビング。
談話室で話をしている間、彩音さんはここに居た。
俺は彼女に、伯父さんとさっき話してきたこと。
なぜそうする必要があるのかの理由を伝えた。
「自分の子供が家出しても気にしない親だとしても、ご近所さんが怪しんで警察に通報。そしてここに隠れ住んでいたってことがバレて俺が捕まっちまったら洒落にならん。って伯父さんが言ってたんだよ。それに、今まで親に酷い目にあってきて、仕返しとかそういうの何もしないでただ家出するのも嫌なんだよね」
「隼斗さん──ふふっ、隼斗さんらしいね」
「まあな。だからこれから自分の家行って『今日から一人暮らしするから、もう二度と俺に関わるな』って言ってくるよ」
「あ、待って。それなら私も行きたい」
「え?いやいや。個人の事情に巻き込むのは申し訳ないよ」
「いいじゃん。あなたを手伝いたいからって理由じゃダメなの?」
「ん?手伝う?」
「あのね、隼斗さん。そもそも手ぶらで同居しようとする人っていないと思うよ」
「あ・・・」
やべぇ、すっかり忘れてた。
着替えの服とか、制服とか、自分の持ち物全部あっちにあるんだった・・・。
量を考えても、多分結構な量になりそうだしなぁ。
でも、いくら似たような境遇とはいえ、俺の家庭事情に巻き込むのは正直、不安しかない。
でも、俺は
「仮に今、ここで断ったとしても、無理矢理ついてくるでしょ?」
「もちろん」
「だよなぁ・・・」
「どうする?好きにしてもいいよ?」
「・・・わかった。手伝い、お願いしてもいいかな?」
「もちろん。ありがと」
「でも、これだけは約束して。もし俺の両親が俺に嫌味かなんか言ってきたとしても絶対に相手しないで。それで彩音さんがダメージ負っちゃったら俺の責任になるから」
「わかった。手伝うからには約束は守るね」
「ありがとな」
彼女が何を手伝おうが大丈夫だろう。(そういえば、やることといっても、荷物持ちの手伝いくらいしか無いけど・・・まあいっか。人手が多く有れば早く終わるしね)
本当は留守番してほしかったけど、なんか彩音さんを信頼出来るなにかがあるんだろう。
この圧倒的信頼感、なんて言ったらいいんだろうか?
とにかく、すごいな・・・本当に。
「うん。隼斗さん、なんか語彙力失ってない?」
「確かにそうだな。・・・って昨日から気になってたんだけど、もしかして俺の心読んでる?」
「うん、よく読んでるよ」
「やっぱりか・・・」
道理で色々俺が考えてることすぐ読み取るわけだ。
まあ、別に不快とは思ってないけどね。
そんなこんなで、俺たちは家族の縁を切るついでに、自分の荷物をまとめに俺の家へ向かうのだった。(うん、どっちがついでにやるやつだっけ?)
「ここが、隼斗さんの家?」
かくして、三十分ぐらいかかってようやく家についた。
(結構、遠かったと思うけど彩音さん余裕あるんだなぁ)
「うん・・・そう、だよ」
「だ・・・大丈夫?なんかすごい震えてるけど?」
「まあ、それだけヤバいってことだよ」
「う、うん。わかった・・・」
正直、不安しか無い。
でも、ここで帰ってきてもなんの意味もない。
だから今、ここで動かなければ。
そう思いながら家に入ろうとしたその時。
「あら・・・」
「あ・・・」
思わず声を漏らしてしまった。
その訳を説明するなら、簡単にできる。
家のドアを開けようとした時、これから外出しようとした俺の母親と鉢合わせてしまった。
まさかこれから縁を切りにいく相手から来るとは思わなかった。
とそのとき、俺の背後から今まで感じたことのない悪寒を感じた。
例えるなら生命の危機を感じるほどの寒気、そのぐらい恐ろしかった。
チラッと後ろを見ると、彩音さんが彩音さんがガチギレしているのがわかった。
それは、ただ単に「怒った顔」をしていたからというわけではない。
彼女はうっすらと、「笑っていた」。
それは、普通に見ればただにっこり楽しそうに笑っているとわかるのだが。
それはまるで、自分の最愛の人を傷つけた奴にようやく対面し、これから復讐をするかのような笑顔だった。
このとき、俺はまだ知らなかった。
俺の知っている「氷のように冷たい性格」が、母親の前で牙を向くことを、俺はまだ知らない。
EPISODE20です。
今週も読んでくれた方、そしてブックマークしてくれた方々に感謝申し上げます。
こういう週一で投稿してると「一週間の過ぎ方」ってのが感覚的なんですが分かるんですよ。だから来週になるとその時点で7月すぐだなって備えられるんですよ。
こういう時によく書いてて得してるなぁと思います。
(まあ、時間は嫌なときだけ過ぎて欲しいなぁとよく思います)
とまあ、そんなのんびりした気持ちで書くのもいいなと思いながら今週も頑張りましたと自分を褒めたいと思います。
では、EPISODE21でお会いしましょう。




