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EPISODE,10:内輪に収められた罪

「まず、最初に言っておくことがある。今から話すことを聞き終わったあと、その話を信じることができないと思っている。いや、断言してもいいくらいだ。信じるかどうかは、彩音さんの判断に任せる。だけど、無理に信じようとしないことをおすすめする」


俺は、彩音さんにそう前置きをした。

でも、彩音さんは


「うん、わかった。でも、私は()()()()()()()()()()()()()()()()

だって、隼斗さんは()()()()()()()()()()()()。もしそれがウソだとしても、私がすぐ見抜いちゃうからね」

「ははっ、そうだったな。ありがとう彩音さん」


『ウソをつくの下手だからね』か。

なんだろ、他人の指摘でこんなにも温かい気持ちになるのは、初めてだ。

その自分の気持ちを踏まえつつ、俺は、語り始めた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




俺は、一人で生まれたと、ずっと思っていた。

でも、俺が生まれたとき。

俺、いや、()()()()()()()()()

その双子だという事実を知ったのは、小学二年のとき、俺のじいちゃんが話してくれた。

それと同時に、俺は「自分の犯した罪」も知ることになる。


それは、俺が二歳の頃、双子の兄、つまり、()()()()()()()()()()()()()ということ。


二歳児に殺意があるとは思わない人がほとんどだろう。

なにがあったかというと、一緒に遊んでいたとき、オモチャのボールを兄の口に突っ込ませて、いわゆる「窒息死」させたのが俺の罪であり「理由」だった。

なぜこんなことが起きたのか?

そもそも、二歳児の心理なんてわかる奴なんてどこにもいない。

そう、これは「また、物心ついていないがゆえに起きてしまった()()」ということになる。


でも、この惨劇を両親は「事故」として認識してしなかった。

()()()()()()()()()()なんだと。

両親はそう認識してしまっていた。

実は俺ら兄弟のうち、両親は兄を溺愛していた。

いや、()()()()()()()()()といったほうが、その現状の悲惨さを理解しやすいだろう。

じいちゃんの話によると、俺は母親に育てられていなかったという。

どうやら、俺は父親方の叔母、つまり、「従兄弟(いとこ)の家族」に育てられていたということだ。

時々、俺と兄を会わせて遊ばせていたということも聞いた。

そして、あの惨劇が起きたというわけである。

その後両親は、なぜか俺を引き取った。

だがその意図は明確だった。

()()

両親は、兄を殺した弟を、法で裁けないことができないから、()()()()()()()()()()()

そう考えていたのだった。



復讐はすぐに行わず、ゆっくりとその憎しみを溜めて、来たるタイミングで行うことを考えていた。

それは、俺が小学一年の時から始まった。

それは、衝撃的かつダメージの大きい体験だった。

両親に呼ばれてそこからこう始まった。


「頭を垂れて、(みじ)めに土下座をしなさい」


実の親の前でそんなことを言われた俺は、わけが分からなかったことは言うまでもない。

混乱している俺に対し、父は。


「いいから、やれっつってんだろうが!!」

「ひっ!?」


父親は怒鳴った。

ビビって俺は素直に土下座をした。

そうして母親は、いきなり俺の頭を踏みつけた、そして。


「あんたはたった今から、()()()()()()()()()()()()()、今日からあなたは他人・・・いいえ、私達にとっての『害虫』よ」


何言ってんだよ・・・。

そう思った瞬間、脇腹に激痛が走った。

激痛の正体は、()()()()()()()()だった。

そしてあろうことか、俺の頭を掴み


「返事をしろっつってんだろ!!このゴミムシがっ!!」


恐怖で体が萎縮しながらも、俺は


「・・・・・・は・・・はいっ・・・」


返事をしたが、その返事がとても弱々しいものだったことを、今でも覚えている。

これで許してくれる・・・そう思っていたのだが。


「わかったなら出てけよ」

「もう二度と私達の前に顔を見せないで!」


絶望した。

ああ、本当に両親を失ったんだな。

でもなんでこんなことに・・・。

俺が・・・俺が何をしたってんだよ。

その時の俺には、怒りが込み上がり、

そして、ある決心をする。

そんなに嫌なら・・・()()()()()()()()()()()()()

そんな思いを決意した。


そして、俺が小学二年のとき、じいちゃんがこのことを話し、自分に兄がいたこと、その兄を自分が幼い頃に殺したことを知った。

ショックだったと同時に、()()()()()()()()()()()()()()()・・・いや、()()()()()()()()()()()()()

その事実は、さらに俺の憎しみを高めた。



そして、虐待は続いた。

俺は、その虐待に抗うように、逆らうように、戦った。

最初は、無理矢理仲間はずれにされた食卓に入り込む程度だったが、暴力を振るい始めてからは、自分の身を守るために独学で護身術を学んだ。

その結果、殴り合いに発展したときに、どちらかが気絶するまで終らないことなんて日常茶飯事になっていた。

しかし、その虐待は更にエスカレートしていった。

だが、そのエスカレートにも屈せず俺は生き続けた。

家は、もはや生きるか死ぬかの「戦場」

と化していた。

そして「あの日」をむかえることに

なる。



中学二年のその日、いつもの如く虐待が殴り合いに発展したときのこと。

いつもはリビングなどで殴り合いに発展することが多いが、今回は「キッチン」だった。

そして、殴り合いに気絶しかけた父親が包丁を取り出し、俺の腹部目掛けて刺そうとしてきた。

それを俺は、取っ組み合いで奪って、その鋭利な包丁をあろうことか()()()()()()()()()()()()()

辺りが血まみれになってしまったことを今でも鮮明に覚えている。

幸い、全治5ヶ月の怪我ですんだが、これ以降、家族間の暴力はなくなった。

しかし、虐待は終わっていない、それからも、罵声を浴び続ける日々が続いた。


そんな日々を過ごしていて、いつの間にか考え方も変わってきた。

最初は、「自分の身を守るための抗い」

という考えが、「この家族から一刻も早く抜け出したい」という、心情に変わっていた。

その考えになった瞬間、俺はいつしか、こう悟るようになった・・・。


(ああ、こいつらはずっと前から・・・いや、俺が生まれたときから俺を人としてみていないんだな・・・)


そう確信し、「ここから抜け出す」という、新たな決心の炎が心の中で、燃え上がっていた。

ついに、EPISODE10まで来ました。

ここまで読んでくれた方、そしてブックマークしてくれた方々に感謝を申し上げます。


EPISODE10では、「隼斗が自分の兄を殺した」という、事実が明らかになりましたね。彩音さんの「信じるよ」が、隼人にとって話す上でかなりの心の支えになったのではないかと、書きながら思いました。


では、またEPISODE11でお会いしましょう。

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