表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女ーミサキーがいた日々  作者: itako8
第二章三節 カズの告白 ~夏祭りにて~
83/104

第9話 酔っ払い

1996年8月9日(金)


「もー。なんであんな奴らに会わなきゃいけないの!?」

テーブルに戻ってきたアカリは開口一番、大声で不満をあらわにした。

大股で椅子に座りやがる。

いや。だから貴方、浴衣ですよ。

色々と見えるからね。


何だか今日のアカリは気分の上下がいつもより激しい。


「なんかあったのか?」

俺は一緒に戻ってきたトモサカに耳打ちする。


「さっき。テニス部一年の男子と会って……それで」

テニス部一年の男子?

未だ仲悪いままのかよ?


「ちょうどアカリが平手打した男子もいて……ね」

トモサカが苦笑しながら続けた。


「テニス部一年の男女って、未だ仲悪いのかよ?」

横にいるトモサカにだけ聞こえるような声で聞いた。


「まぁ。アレは根が深いよ……」

同じ部活では無いが、トモサカはその辺りの事情に詳しいようだ。

個人的には"素直に謝っちまえばいいのに"としか思えない。


テープルでは"女ゴジラ"が荒れてる。

触らぬ神に祟りなし。

近づいたら踏み潰されそうだ。

"女ゴジラ"が足をほうりだしながら、今度は飲み物に手を出した。

さっきは食べ物だった。

このままほっとくと、

この地は本当に不毛の大地になるかもしれない……。


「それで、清水さんとは上手く話せた?」

柔和な笑みを絶やさないトモサカから質問がきた。


「ちょっとつまずいたけど、まぁまぁかな?」

正直な感想だ。


「女子と話をする時は自分の話をするというより

相手の話を聞き出すようにした方がいいよ。

それとできるだけ共感できる部分については

共感のシグナルを出すといい。

”小さな相槌”でもいい。

女性は割とそういうのを求めてる。

男とは違ってね……」



……。

そのアドバイスはお前ら(アカリとトモサカ)が

悪巧みを仕掛ける前に聞きたかったワケだが……。

しかし"小さな相槌”か……。

逆に言えばそういった小さな仕草ですら見られてるというということだ。


「あー。まぁ。何かそんな感じにしたっていうか……

自然となったっていうか……」

その言葉にトモサカが少し驚きの表情をみせていた。


「……流石だね。

カズは"習うより慣れよ"ってところがあるからね」

否定はしない。俺は出たとこ勝負なところが割とある。

もちろん上手くいかないこともあるけど……。


「相手の話も聞かずに

自分の自慢話をする男は割と多いんだよ。

しちゃいけないというワケじゃ無いんだけれど……。

そう言った自慢話も上手く使わないと

逆に嫌われたり、飽きられたりするから……」


なるほど……ね。

だが、そもそも俺に自慢になるものは少ない。

せいぜい人より少し足が速いぐらいだ。



トモサカとそんな会話をしていたら

遅れて遠藤と高宮があらわれた。

お手て繋いじゃってまぁ。羨ましいことで……。

「あ。そうだ。そっちはどうだった?」

その遠藤が声を掛けてきた。


「そっちって何だよ?」

俺は遠藤に憮然と聞き返す。


「あー。いや。だから清水さんと……」



そ・っ・ち・の・話・か!

(ようするに色恋)



遠藤。お前は男子だろう!?

恋バナで盛り上がるのは女子だけでいいだろう!?


当の清水さんはアカリを慰めていた。

まだアカリの機嫌は悪そうだ……。


「間がもたない時もあったけど……

まぁ。喋れた方だとは思うよ」

見栄もはるのもなんだかと思えて正直に答えた。


「それなら良かった。

こっちは散々だったからね……」

遠藤がうなだれていた。


「何かあったのか?」


「うん? まぁ。

愛川さんを見てれば分かるでしょ」

遠藤のその言葉を受けて、アカリに再び視線を戻した。


とうの"女ゴジラ"はますますヒートアップしていた。

食い散らかして、飲み散らかしている。

怒りが静まらない。

横で清水さんがなだめてるけど……無理そうだな。


「あっ。アカリ。ダメだ。それは……」

急にトモサカがアカリの飲んでいる飲み物を取り上げた。

缶ジュースに見えたそれは……。


「何で、これ美味しいけど……」

アカリがキョトンとする。


トモサカが缶ジュースに見えたそれを

問答無用で取り上げ、ラベルの一点を示した。

「アルコール5%……? えっ。これお酒……」

それに皆が気付いた瞬間。

アカリは目を回しながらテーブルに突っ伏した。


それはチューハイとかいう

親父もたまに飲んでるジュースみたいな甘いお酒だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ