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彼女ーミサキーがいた日々  作者: itako8
第二章二節 カズの告白 ~プールにて~
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第8話 プールサイドにて

1996年8月5日(月)


ひとしきり遊び終えて、小腹がすいてきた。

シートをプールサイドに引いて小休止のタイミングである。


そんな中、清水さんはバケットの中身を空けた。

「お口に合うかどうかわからないけど……」

その言葉と共にバケットの中から麦茶、おにぎり、それと簡単なおかずが出てきた。


「「おおう」」

俺と遠藤が口をそろえて声を上げる


「これ。清水さんが作ったの?」


「私もだけど……。詩織ちゃんといっしょに作ったの」

清水さんが答える。


「うん。良かったら食べて」

高宮が笑顔で付け加えてきた。


あれ? アカリは?

と思いそろりとアカリの方を見てしまった。

遠藤の視線もそちらに向いていた。

俺と同じことを考えていたようだ。

諮らずともアカリに視線が集まってしまった。


「何で私があんた達の為に作んなきゃいけないのよ!!」

不機嫌にアカリが答えた。


で。す。よ。ねー。


そんな視線をお構いなしにアカリが動き出してしまった。

「あー。私おかか好きー。これもらっちゃう。

それとー。わさびもある。これももらっちゃう!」


俺達を無視しておにぎりを選び出す。

味に違いあんのかよ!?

やべー!

俺の好物がアカリに奪われてしまう!


「おい。ちょっと。待て。アカリ。ここは平等に一人一個ずつ選んでだな……」


「平等。何言ってんの? こういうのは弱肉強食でしょ」

こちらの声を無視し、アカリは

自分の手元にしぱぱと自分好みのおにぎりとおかずを集め始めた。


焦る俺達を気にせず、清水さんが付け加える。

「アルミホイルに一応書いてあるけど

ふりかけはおかか、わさび、高菜で

白いご飯は具材を変えて明太子、昆布、鮭……

って色々あるから。みんな好きなの食べて」


まずい。

非常にまずい。

アカリに独占されてしまう。


「ちょっとアンタそれは私が獲ったの。勝手に持ってかないで!」


「その味お前が独り占めしてんだ。寄越せ!」


「嫌よ!」


「ぼ。僕の分も残し……」

遠藤がおにぎりに手を伸ばしかけたが、アカリに蹴られて飛んで行ってしまった。

綺麗な足で多少誘惑されたが、あれは凶器だ……。

もう見とれるのは止めよう……。


そんな感じで食事(奪い合い?)が進んだ。



プールサイドでの食事というか、飯を賭けた争いが終わった。

アカリに食い荒らされるのを多少は阻止した形だ。


しかし……

「高菜が食べたかった……」

遠藤は好きなおにぎりを食べられなかったようだ。


ふふっ。

所詮この世は弱肉強食。

強い者が喰い、

弱い者は逆に喰われるですよ。

この世の摂理が分かったかね。

遠藤くん?


「あっ。遠藤君。高菜欲しかったの?

だったら私の半分こにしよう」


「えっ。いいの。高宮さん」


おーい。弱肉強食ですよ。

じゃくにくきょうしょく!

そこのカップル。

モテナイ男子の前で

チチクリあわないように!

嫉妬しちゃうから。

あ。そうだ。

キミ達。僕の"やきもち"食べない?

できたてほやほやだよ。


そんなことを考えていたら……。

「はい。麦茶。どうぞ鬼塚君」

清水さんから麦茶を勧めてもらった。

ゴクリと一息つく。

冷えてて美味しい。

しみじみと清水さんが恋人だったらなぁ……と思ってしまう。


「ごちそうさま。それと美味しかったよ。清水さん。高宮」

俺は二人の名前にわざとアクセントをおいてお礼を言った。

二人は笑顔で答えてくれた。

お礼は大事である。

遠藤もそれに続く。



……ただし、誰かさんの名前は敢えて言わない。

視線も敢えて合わさない。



「ふぁによ!(何よ!)」

食い意地の張ったバカが

右手におにぎり、左手に卵焼きを抱え、頬を膨らませながら

文句を言ってる。


どんぐりを頬にため込んだリスかお前は!!

それに食うのか文句言うのかどっちかにしやがれ!!

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