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彼女ーミサキーがいた日々  作者: itako8
第二章二節 カズの告白 ~プールにて~
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第6話 ウワサ

1996年8月5日(月)


「……。怪我しちゃいけないから準備体操が必要だね」

遠藤が控えめなトーンで喋る。


「遠藤君。その通りです!」

それに清水さんが元気よく答えた。


清水さんと遠藤が仲良く準備体操を始める。

後から俺と高宮とアカリが続く。

アカリは若干気だるげだったが。


清水さんと遠藤が和気あいあいと準備運動を続ける。

あの二人あんなに仲良かったけ?

と思いながらも二人に混じっていく。

アカリと高宮も右ならえである。


「ミサキって根っからの委員長気質だから。……。ねぇ」

アカリがぼそっと口走る。


「ホントですね。真面目を絵に描いたみたいな……」

高宮もそれに続く。


「アカリちゃん。ちゃんとやろう!」

清水さんが注意する。


アカリはそれでも気だるげだ。

しかしアカリにああいった口を利ける女子も本当に珍しい……。


それと。俺はようやく分かった。

清水さんは委員長気質で体操してる。

遠藤は時間稼ぎで体操してる。




悠然とそびえ立つウォータースライダーを見上げて思う。

あいつ。行きたくねぇんだろうな……。と。




遠藤の牛歩戦術が多少、効いたようだ。

いきなりウォータースライダーというのもあれなんで

近くのプールでビーチボールを使って俺たち5人は遊んでいた。


最初はアカリも混じっていたけど

少し離れたところに足だけプールについて

足で水をはじいて遊んでいた。


笑顔でこっちを見ているから

怪我したとかじゃないと思うけど。




アイツは速く行きたいんだろうな。

……。ウォータースライダー。




遠目からアカリを見ていたら

アカリに声を掛ける男二人組が出てきた。

ちょっとマズいな。


アカリの近くに駆け寄って

二人組の男達に声を掛ける。

「俺の連れに何か用ですか?」


「なんだ。男づれか」

男Aが呟く。


「ねぇ。こんな奴より俺達と遊ぼうよ」

男Bはあきらめてないみたいだ。

しつこそうな奴だな。こいつ。

俺は眼光をきつくする


「……。やべーよ。こいつ確か。……中で……4人半殺しに……」

……。俺の噂。知ってんのかこいつら。

じゃ。地元の奴らだな。


「……。えっ。こいつが」


「……。行こうぜ」

そう言って去っていった。


「お勤め。ご苦労さま。流石、有名人ね」

アカリが俺の労をねぎらう。


「もうちょっと近くにいろよ。お前」

アカリに話かけながら、近くに座る。


「はやくウォータースライダー行きたいんだもん」

気持ちはわかるけどね。


「それにこの為に、アンタ呼んだんだし」

確か遠藤はアカリは俺が来ることが条件で……。


「……。お前さぁ。俺を男避けに使うつもりだったのかよ」


「そんなの決まってるじゃない。

あんたの強面の顔と噂はこのためにあるみたいなもんだし」

茶髪に強面の顔。そしてあの噂。確かに俺は人避けにはもってこいだ。

いや。まぁ分かるんですけどね……。


「彼氏作ればいいだろ」

だるそうにアカリに告げる。


「なーにー。あんた。さっきのナンパしてきた奴らみたいなのと付き合えっていうの?」

心底嫌そうな顔をしながらアカリが宣う。


「そうは言ってねぇけど……」

そう答えながら、遠藤達の方を見る。

みんなが若干不安そうな顔をしていた。

落ち着かせるために軽く手を振る。

何でもないの合図のつもりだ。


「ああいう奴らは他の子にも声掛けてんのよ」

うん。まぁ。そうなんだろう。

アカリ以外にも声を掛けられている子がいるにはいた。


「だれでもいいのよ。あいつら」

実際そうなんかもしれない。


「けどさ。声掛けなきゃはじまんねぇだろ」

こういうところでナンパはどうかとも思うが……。


「私以外の他の子に声掛けてなかったら考えてあげるわ。

でもあいつら顔が好みじゃないからどうせ駄目だけど」

……。

アカリは相変わらずの"自意識チョモランマ"だが、

条件が整えば譲歩するようだ。

自分だけを見てくれればという追加の条件があるにはあるようだが……。


「いや。そりゃ……」

それを確かめるのは難しんでないかい。と思わず突っ込みかける。


「私は我儘だから、私だけを見てくれる人じゃなきゃ嫌。

他の人も愛するような、"博愛主義者"は嫌い」


「もちろん。"博愛主義者同士"が仲良くするのはいいわよ。

勝手にすればって思う。でも私はそれに混ざりたくない」


「……」

"博愛主義者"ねぇ……。

誰も彼もを平等に愛する人達。

言い換えれば誰も彼も

際立って愛することが出来ないというふうにも捉えられる。


「そういえば。遠藤とシオリの噂って何か聞いてる?」

突然、全く別の話題が来た。


「はぁ。遠藤と高宮の噂? 何かあんのかよ?」

遠くにいる遠藤と高宮を横で見ながら尋ねる。

こちらが心配いらないと分かったのか

楽しそうにビーチバレーに興じていた。


「……。何も聞いてないの?

シオリは私立の星峰中学から来たんだけど。

それも知らない?」

初耳だ。

それに星峰か……。


「星峰? 私立の中高一貫だろ。あそこ。

むこうのほうが陸上の設備整ってるんはずじゃー……。

なんでわざわざうちに来たんだ?」


俺は高校受験の際に高校は良く調べていた。

星峰は陸上部が有名だ。

……。

わざわざこっちを受験する必要は無いように思える。

何で高宮は高校から移ったんだ?


「アンタ。本当。陸上しか頭にないのね……。

ま。知らないなら、知らないでいいのよ」

アカリはあきれ顔を見せつつそう言った。


そしてみんなに向けて大声で言い放った。

「じゃ。そろそろ行ってみましょうか。

ウォータースライダー!!」

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