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彼女ーミサキーがいた日々  作者: itako8
第二章一節 カズの告白 ~期末テスト~
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第5話 勉強会開始!

1996年6月12日(水)


「えーと。それでは今日からこの5人で昼休みに図書館で勉強会を開きたいと思います」

図書館に5人が揃って席に座ったところをみて、開口一番、俺は話し始めた。


この学校の図書館の規則は割と緩い。

生徒会が"生徒同士の教え合いの促進"を掲げ、そしてそれを学校側が認めたからだ。

そのおかげで図書館での"声の大きさ"の扱いが比較的緩くなっている。


そりゃ。会話しなけりゃ、教え合う事なんて出来ないしな。


だから割と声を大きくしても怒られることは無い。

ただし"私語"は厳禁になっている。

図書委員さん曰く"いびき"も駄目だそうだ。


「特に何か厳しい規則があるわけではなくて、

昼休みに委員会活動とかがあればそちらを優先して頂いて構いません。

できるかぎり集まって共に教え合うというのが主旨になります」

俺はそう続けた。


清水さんはニッコリ笑って音を立てずに両手を合わせて拍手してる。

高宮も楽しそうだ。同じように音を立てずに拍手している。

しかし不機嫌そうな顔をしている人間が1名いる。

アカリである。

そんなアカリを見て、

遠藤は呼吸困難に陥った金魚のように口をパクパク開けては閉じていた。

……。今に顔を天井に向けて浮かび上がり、

金魚と同じように死に体になるのかもしれない。

そして遠藤はブロックサインを送ってきた。

アカリを流し目でちょっと見てから、俺に視線を投げかけるといった具合だ。


意味はおそらく。

なんで。あの"女ゴジラ"がここに……という意味だ。


"誘ったけど断れた"

この結果が一番良かったんだが……。

遠藤からのサインの意味が分かっていながら俺は、無視を決め込む。


「教え合うって言っても。レベルの違うのが二匹紛れ込んでるんですけど……」

すかさずアカリが意地の悪い返答を返してきた。


何度も言うが中間テストの結果は


アカリ   3位

清水さん 12位

高宮さん 20位

遠藤  124位

俺   135位 162名中


……である。


俺と遠藤は赤点科目の山で、上位三名に赤点などなかった。

そして勉強会を始める前にアカリがこの前の中間テストの結果を聞いてきた。


俺たちのテスト結果を聞いて"毒舌美少女"のアカリが

「バーカじゃないの。アンタ達!」

とデリカシーの無い言葉を俺と遠藤に吐いたことは言うまでもない。


幸いなことに高宮と清水さんがまぁまぁとアカリをなだめていたのだが……。


なのだが……。アカリの聞くに堪えない罵詈雑言が続く。

やれ。「アンタ達、頭ん中何詰まってるの!?」とか。

やれ。「ホントに脳みそ使ってるの!?」とか。


そういった言葉が出るたびに

アカリの両脇を固めている高宮と清水さんが

まぁまぁとなだめちゃいるのだが……。


「……。モスラと双子の妖精みたいだ」

俺の横にいる遠藤がアカリに聞こえないようにぼそりとつぶやいた。


なるほど。

アカリは"女ゴジラ"というより"女モスラ"だろう。


遠藤にはアカリとその両脇にいる高宮と清水さんは

"女モスラ"をなだめる"双子の妖精"のように見えたのだろう。



いずれにせよ、あの女が"怪獣"であることに変わりは無い。



なんとか"女モスラ"のお怒りを鎮めて、勉強会に入る。


「この英文、上手く訳が出来なくて……」

高宮が和訳を上手くできなかった英文を勉強会で質問してきた。


正直、本日の勉強会では顔合わせ程度しか、俺は考えていなかった。

……。俺自身の明確なミスだ。

碌にやる事を決めてなかったので

午後の英語の授業で宿題となっている和訳について話し合うことになった。


進行を碌に考えていなかった事については

当然のごとくアカリから非難の対象となったワケだが……。


「えっと。これはですね。used toは be 動詞を含むかどうかで意味が変わってきて……」

ただ、いきなりのことについてだが

清水さんは上手く応対し、和訳について解説してくれている。



……。あぁ。清水さんに癒される。



だがその横で、俺は見てしまった。

アカリがその好奇心旺盛な瞳を全く隠そうともせずに

俺と清水さんを見ているところを。



目から光線でも飛ばしそうな勢いだね。



……きっと。いや絶対に

俺と清水さんをくっ付けようとして

何か仕掛けてくるんだろうなぁ……。

そんな圧力をヒシヒシと感じる。


俺は自分の恋が、"まな板の上の恋"になり、

俺自身は、"まな板の上の鯉"になってしまった事を感じていた。

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