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彼女ーミサキーがいた日々  作者: itako8
第二章一節 カズの告白 ~期末テスト~
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第4話 断ってほしいが、誘わざるを得ない

1996年6月11日(火)


「昼休みさ。図書室で勉強教えてくんない」

昼休みにアカリは校庭のベンチにいた。

見つけて即、俺は単刀直入に突っ込んだ。


ちなみに遠藤は逃げた。

一緒に来る途中で腹が痛いとか抜かして逃げやがった。



あのヤロウ……。

覚えてろよ。



遠藤への腹立たしさを胸にしまい込み

アカリへの説明を続ける。

「一応。清水さんと高宮も来ることになってる」

この言葉にアカリは思案に暮れる表情を見せる。


「もう一人。あの。遠藤も来るんだけど……

アイツも俺も中間の結果が悪くってさ

ちょっと迷惑かけるかもしれないけど……」


「あんた達、何位だったの?」


「124位と135位……」


アカリにとって良い情報を与えてから悪い情報を与える。

人は後に与えた情報の方が頭に残りやすい。

お荷物が二人もいるということがアカリの頭に残れば

”断る”という判断になる可能性が高いと想定してのことだ。


断って来い!断って来い!!

そして後から”何で誘わなかったのよ”

なんて言って来るんじゃねーぞ。と俺は念を込める。


「ちょっといい?」

しかしここでアカリが思いがけない行動に出た。

「少し耳を貸して」

俺は耳をアカリに近づける。

内緒で話したいことでもあるんだろうか?


そしてアカリは俺の耳に小声でそっと呟いた。

「それでさ。あんた。ミサキと付き合う事になったの?」


「うぃ!?」

思わず俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。


「大きな声出すな!!」

アカリが俺の耳を抑えながら、そして声も抑えながらも高圧的に迫る。


「で。どうなの?」


「いや。俺。別に何も……」

俺は声を絞り出していた。

おそらく小さな声で注意深く聞かなければ聞き取れないほどの声だったと思う。


「告白は流石にしたんでしょ! 振られたの!?」

アカリは小声で俺の耳に声を掛けた。


「して……ません。告白してません」

ぼそぼそとアカリにだけ聞こえるように呟く。


「あんた。何やってんの!!

何で私があんた達を図書室で二人っきりにしたと思ってんの!!??」

うん?

あれ??

アカリが最近、図書室に来なくなったのって。

もしかして……。



俺と清水さんを二人きりにする為だったのか!?



「このいくじなし!!」

アカリがその大声で俺に非難をぶつけた。

その声の大きさに周囲の生徒が、こちらを振り返るといった反応を見せている。


「いや。だから。こういうのって。もうちょっと仲良くなってからでないと……」

俺は決まりきったイイワケをこぼす。


「はー……」

大きなため息をつきながら、アカリが頭を抱える。


「いいわ。勉強に付き合うふりして、あんた達をくっつけてあげましょう!」

はぁー? いらん。いらん。余計なお節介じゃ。


「いやだから。勉強には付き合って欲しいけどさ……」

建前にしていた依頼内容を再度述べる。

だが本音としては勉強にも、人の色恋にも口出しして欲しくは無い。


「この"恋愛マスター"である私が手を差し伸べてあげるのよ!」

ナンデスカ。恋愛マスターって?


「"恋愛ますたー"って誰が?」

突っ込まずにはいられない。


「この私よ!!!」

とっても恥ずかしい二つ名が自分を表していると

胸を張って、アカリは答える。


恥ずかしくないですか?

"恋愛ますたー"って!?


「いやいや。待て待て。何か実績でもあんのかよ?」

こいつが割り込むとたいてい碌なことにならない。

必死で諦めさせようとする。


「冴えない遠藤と詩織をくっつけたじゃない」

詩織というのは確か、タカミヤの名前だ。

いや。あれはお前の功績じゃ無いだろ??


「お前は何にもしてねーだろ!!」

俺は力いっぱい反論する。


「ちゃんと"吊り橋効果"使って、告白成功させたじゃない?」

はぁー? あれで妙な自信持っちまったのか。こいつ。


「勉強に付き合ってるふりして。くっつけてあげるから。どーんと任せなさい!」

……。ミョウナコト二ナッテシマッタ。


正直。俺は気付いてなかった。

アカリが図書室に来なかったのは

俺と清水さんを二人きりにする為だったというコトに。

告白しとけばよかったんだよな。あの時に。


……。

思い返せば、

これが俺の最初のミスだったんだよな……。

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