エピローグ
お茶会は順調に進んでゆく。
こうして皆でじっくりと話し合う機会はこれまであまりなかった、それだけに、こういう時間はとても新鮮で……素敵なものと思える。
「ふーん、来たんだ」
剣のプリンセスはたまたま隣の席になった時のプリンスに対してそんな風に話しかける。
「…………」
時のプリンスはすぐには言葉を返さない。
「無視。……ま、いいわ。そんなことだろうと思った」
「……アオが参加したがったから、それだけのこと」
「ふーん、そうなんだ」
少し、沈黙があって。
「喧嘩ばかりして悪かったわね」
剣のプリンセスが切り出す。
それに対して時のプリンスは「……構わぬ」と短く返した。
ただ、今の二人の間には険悪さはそこまでなく。かつての二人とは異なっている。気まずさのような色は両者共に存在しているものの、それだけではない、少しだけ優しさが感じられるような雰囲気をまとっていた。
そこへ飛び込んでくる破裂音。
「ふええええ! やってしまいまぢだああぁぁぁぁ!」
「だ、大丈夫です! お皿が割れただけです!」
号泣する愛のプリンセスと慰めようとするウィリー。
どうやら……愛のプリンセスがソーサーを一枚割ってしまったようだ。
「ぶええええ! びゅええぇぇぇぉぉぉ!」
「愛のプリンセス様、落ち着いてください!」
「ぴゅえおぉぉぉぉ」
「プリンセス様……泣かないで、大丈夫ですよ」
あぁ、相変わらず賑やかだ……。
愛のプリンセスがいるとすぐに騒がしくなる……。
「あらあらー。落ち着いて、落ち着いてー」
「ったく、愛のガキはうるせーよ!」
「こら、やめなさい。ガキ、なんて言わないの」
「は? ババアはだま――ぐほぉえッ!!」
森のプリンセスをババア呼ばわりした海のプリンスは鳩尾に拳を差し込まれていた。
静かだけれど高威力。
「……うるさい」
隣の席の盾のプリンスは困り顔。
「盾のプリンスさん? 疲れてます?」
「少し」
「騒がしいの、苦手ですよね」
「苦手だ。だが君の望みのためであれば我慢する」
「本当にまずかったら言ってくださいね」
「分かった」
◆
戦うため生まれた私たちは。
こうして穏やかな時を得る。
たとえそれが永遠でないとしても、それでも、今はただ――。
◆終わり◆




