#7 追い付き追い越し
その日の夜、オロカ達は近くの洞窟に身を潜めていた。取り敢えずアダムスキーの傷は特に酷い箇所だけ応急的な止血を施したが、それきりどうしようも無い。
「ぐぬぬ......。血の量はかなり抑えたがこのままでは死ぬ時間が先延ばしになっただけじゃ......」
「そんな......」
「......、そうじゃ。お主の友人を呼んでくるのはどうじゃ?医者なのじゃろ?」
「アイツがいる所とはもうかなり離れちまった」
打つ手無し。そう思われていた時だった。
「おーい!アダム!どこだー!」
「は?」
間違い無い。ペンタグの声だ。しかし、余りにも都合が良すぎやしないか。
「妾が見てくる」
そう言ってオロカは洞窟から出て行った。......しばらくして、オロカが連れてきたのは、間違い無くペンタグ本人であった。
「思った通り酷い傷だな!すぐ治してやるよ。ところであの子誰?」
「ペンタグ......お前、どうして」
「恥ずかしいから何度も言わせるな。友達だからだよ」
「......助かった。コイツはホーコだ」
アダムスキーの傷は治癒魔法によりみるみる癒えていった。
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「ここまで来れば隣の『火の国』までは簡単だ。だが問題はそこから。火の国は水の国と同盟関係にある。加えて花の国へ渡るには港へ行かなきゃならない。どうやって追手の目を掻い潜って船に乗るか。これが重要」
「水の国からの港は使えんのか?この国も海に面しておるのじゃろう?」
「水の国は花の国とは繋がって無ェ。ここから一番近いのが火の国だ」
「成る程のう」
そんなこんなで一行は次の目的地を火の国に定める。
「どうせ馬車も無くしたんだろ?貸してやるよ」
「......何から何まで悪いな。お前がいなけりゃ詰んでた」
「良いってことよ。さ、早く行こうぜ!」
そうしてペンタグが新たに連れてきた馬達に跨り、国境を目指して駆け抜けていったのだった。
第1章 水の国編 完
つづく
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