DAY-0 prologue
「閣下、いつそちらに」
「いつでも構わない。彼にはそもそも準備してもらう必要もないのだから」
「本当に伝えないのですか」
「やはり不要なことだ。我々は一切感知していなかった。……そういう事だ」
毎日の生活というのはある程度決まっていて、その決められた選択肢の中からその都度選択を繰り返して、やっぱりいつも通りの「毎日」を過ごしている。
当然、突発的な出来事には新しい選択肢から選ばねばならないが、そうしたイレギュラーというのはルーチンワークと化した日常ではそうそう起こらないから、異常なのだ。
だから、俺もいつも通りの高校生活に退屈さを感じながら、それでもいつも通りに過ごしていた。
「よう、トーマ、相変わらずしけた顔してんなおい」
「朝からご挨拶だな」
朝から走ってわざわざ俺のところにくるあたり、流石は運動部って感じか。
俺には理解できん。
「それよかトーマ、昨日の夜会見たか?マリアちゃん可愛かったよな、な?」
どうしてこんなにもいつも通りなのか。
少しくらい変わったことが起きてもいいじゃないか。
異世界人がいると信じた少女は異世界人だと知らずに異世界人と過ごしていた。
ならば俺は、日常を過ごしているつもりで非日常を生きている、そんな日常が欲しい。
「おい聞いてんのか?」
「あ、あぁ。俺はマリアちゃんよりカノンちゃん派だ」
「てめえ、分かってねえな。……マリアちゃんは巨乳だ」
「バーカ」
そう、そんな日常が。