9,定期戦2日目(3)
◇
定期戦二日目第二競技『フィースフィール』。
そのルールは、一部を除けば『コドー・ファイナ』のものと酷似している。
使用可能な魔法の制限が実質自由であるところとか、一回の試合で各校の選手がそれぞれ一名ずつ出場するところとか、などである。
逆に、相違点もまたたしかに存在している。(そもそも相違点がなければ競技として成立しえない)
たとえば、『コドー・ファイナ』は選手が戦闘不能になる都度、後続の選手を投入していき、最終的に最後まで残ったチームが勝利するルール――所謂勝ち抜き戦形式である。これに対して『フィースフィール』は勝ち抜き戦形式ではなく、星取り戦形式となっている。
さらに、『コドー・ファイナ』のステージはしっかりとしたグラウンドで行われる。しかし『フィースフィール』では、選手たちがいるステージはランダム間隔で変化するギミックが組み込まれているのだ。
たとえば一分か、たとえば十秒か。
たとえば岩が密集した地形か、たとえば浅いながらも水場のある地形か。ステージの変化は、それこそ一瞬で、目まぐるしく変わる。
それら環境の変化に上手く適応して、自分以外の敵二人の選手を下す。
そんな試合が、計三回。
午後三時四十三分。
『フィースフィール』の第二回戦目、中堅戦が始まろうとしていた。
観客席は例のごとく冷めることを知らず、試合を見ている者たちはさかんに選手たちを応援している。
試合場の初期ステージは、浅い沼地であった。
踝あたり、深くてもふくらはぎ程度までしか沈まない深度の沼地エリア。
ただ、沼の水は非常に透明度が薄く、遠目にも泥と言いきってもいいほどだ。
当然、ぬかるんでいる。このステージでは選手たちの動きが阻害されるであろうことは、誰の目にも明らかだった。
それを、どのようにしてカバーするのか。
浮遊魔法で自身を浮かせるのか。
魔法による中・遠距離攻撃で攻撃するのか。
飛び道具を使ってみるか。
無策で(つまり、頭を空っぽにして)突っこんでいく、という選択肢はないはずだ。
今沼地に足をつけている三人にも、当然、それぞれの戦い方がある。
ソージックの選手は、ベンジャミン・ドゥという十三学年の男子。
ラスパーナの選手は、ジョー・リックマンという十二学年の女子。
他の二人よりも際立って大柄なレタデミーの選手は、カイル・チャンという十学年の男子。
三人とも、まだ試合開始前だというのに油断なく睨み合っていた。
三人の間合いは皆等しく、おおよそ、互いに十メートルほどの距離を保っている状態だ。
三人ともが、一言も喋らない。ステージに、緊迫した空気が張り詰めていた。
ステージ内の静寂を破ったのは、三人の誰でもない、シャルル・シゲキの大音声だった。
『さあー。第二競技「フィースフィール」も二回戦です! 先の一回戦、最初に敗退してしまったソージックチームは、何としてでも巻き返しを図りたいところですねー!』
シャルルの音声に、ソージックの選手であるドゥの表情がわずかに歪む。
『フィースフィール』第一回戦のソージックチームの戦果は、シャルルが告げた通り一番最初に撃沈するという、いささか厳しい結果だった。ちなみに見事最後まで生き残り(?)勝利をもぎ取ったのはレタデミーの選手である。
ドゥはもちろんソージックチームとしては、ここでなんとか挽回しておきたいところだった。
現在の定期戦全体としての戦績では、今現在レタデミーがやや優勢と言ったところか。
今年の定期戦は、例年でも類を見ないほどに――拮抗している。
拮抗しているが故に、わずかの劣勢でも許してはならない。
逆転できるとは限らない。
他の二校のどちらかにでも先を越されてしまうと、その順位のままで定期戦が決着してしまう可能性が高い(あくまでも、勝敗の結果が拮抗し続ければ、という前提の話だが)。
勝ちの星は、多いに越したことはない。もちろん、これは今年のみに限った話ではない。
ここで一番をもぎ取り、形勢を立て直したい。
その考えは、何もドゥだけのものではない。
ソージックと同様、レタデミーに先行を許してしまっているラスパーナも、ここで勝ち点を取っておきたい思いは一緒だった。
現在優勢であるレタデミーも気を抜けないのは共通だ。
ソージックと、ラスパーナと、他の二校に大きく差をつけて優勢であるわけではない。
ある程度余裕があるとはいえ、ここで油断して敗北を喫してしまえば、即レタデミー優勝への道が覆りかねない。
そういう意味では三人とも、かなり、奮い立っていた。
『レタデミーチームも、油断は禁物ですよ。ラスパーナチームとソージックチームをわずかにリードしている現在の地位を守りきれるのか、チャン選手の実力にかかっています』
チャンの片目が、すっと細められる。
彼にとって実況の言葉など、今さら言うまでもないことだ。
今の優位性をいかに維持できるか。
その答えは、チャン自身がドゥとリックマンにいかに冷静に対処できるかに繋がっている。
チャンは深く息を吸い、ゆっくりと吐き出していく。
この試合では、積極的に勝ちを取りに行く必要はない。
とりあえず、チャンは一番最初に脱落しさえしなければいいのだ。
身長一九〇センチにも及ぶ身長と、さらに拍車をかける恵まれた体格。
加えて、レタデミーオルドー校にて鍛えられた彼の戦闘能力がこの試合で決して侮れないものであるということを、彼と対峙する二人を含め多くの者が確信していた。
十五歳という、この中では最年少の年齢ながら、既にその場にいる多くの者が、チャンの放つ迫力に圧倒されていた。
今回、二回戦に出場している三人のうち、ソージックのドゥとラスパーナのリックマンは二人とも魔法をメインに戦うスタイル、レタデミーのチャンは魔法と格闘戦を使い分けるタイプである。
『それでは……「フィースフィール」第二回戦、スタァァッット!!』
午後の三時四十五分。
『フィースフィール』第二回戦が、始まった。
ステージは沼地。
泥と形容してもいいほど、実際、底の方はかなり粘度のある泥である。
他の二人がスタートと同時に走り出したのに対して、ジョー・リックマンはまず、自身へ浮遊魔法をかけて空へ浮き上がった。
走るドゥの標的はチャン、そしてチャンの標的はリックマンだ。
二人が同時に駆け出したとしても、必然、体格でも身体能力でも勝っているチャンの方が早く標的にたどり着く。チャンが一直線に彼女に向かっていったのに対して、ドゥは若干の軌道修正をしなければならなかったのもあるが。
水底の泥を撥ねながら疾駆する二人の男子選手。
チャンがリックマンを狙うのは、単純に二人のうちで彼女の方が倒しやすいと思ったから。
ドゥがチャンを狙ったのは、自分一人ではチャンを倒すのが困難であると、素直に感じたからだった。
けれど、リックマンが浮き上がった理由は、チャン狙ったからでも、ドゥを狙ったからでもない。
彼女が浮き上がった理由は、自分が勝利者になるためだ。
地上二メートル以上浮遊したリックマン。
それを追って、やはり跳躍しようとするチャン。
――早さが勝負だった、
チャンが完全に跳び上がる前に次の魔法を完成させなければ、リックマンに勝機はない。
冷静に思考を落ち着け、次に自分が発動する呪文式を構築し、詠唱節を出来うる限り省略し、唱える。
「――――――『ボルレゴ』!!」
唱えると同時、彼女は真下を指さした。
直後、彼女が指さしたその地点から、バチッ、という電気が弾ける音が鳴る。
リックマンが発動したのは、単純に任意の座標に電流を発生させるだけの魔法だ。
しかし沼地であるこのステージでは、絶大な効果を発揮する。
沼地の水は、その透明度の薄さからもわかるようにかなりの不純さである。
純水とは程遠い。
電気の伝導性は、まず保証されるだろう。
リックマンの魔法によって発生した電気が、一瞬で試合場全域に迸る。電流は、当然、沼地の水に浸かっていたチャンとドゥにも襲いかかった。
二人の全身に、筋肉に、痺れるような感覚が駆け巡っていく。
一瞬とはいえ、チャンでさえその動きを麻痺させた。まさに跳躍しようとしていた彼は、空へ跳べずに水の中へと飛び込んでしまう。
その一瞬の隙を、リックマンは狙っていたのだ。
未だ空中に浮遊する彼女は、さらなる追撃をチャンへ放つ。
ここで、手の込んだ工程を挟んだりして時間をかけたりはしない。
放つのは単なる魔力の塊。
計五つの魔力弾が、チャンを泥沼へ沈めるべく、彼へと射出される。
リックマンはここで勝利を確信した――とまではいかなくとも、それなりに油断してしまった。
魔力弾ではなく電撃を放っていれば、また結果は違ったかもしれないが。
とにかくリックマンは、その瞬間、チャンを侮ってしまっていた。
「はあぁ――――――――――――――――――っ!!」
チャンは泥水の中へ前のめりに倒れこんだ姿勢であった。
身体の自由は一時的にとはいえ利かなくなり、体勢を立て直すことすらも難しい。
よって、そんな今のチャンに魔法発動のために呪文式を構築する余裕などない。ましてや、感覚的な魔法の発動など言うまでもなく無理だ。
だが、チャンが咆哮を上げると同時、チャンの全身から魔力が放出された。
魔力を体外へと放出し操作する基礎魔法「レイ・ベルム」ではない。
チャンには魔法を発動できる余裕などなかった。
そしてこれは無意識下で発動した魔法とかではなく、単に彼の気合が魔力を周囲へ撒き散らすほどすさまじかったというだけのことだ。
魔法とは違う。撒き散らした魔力を、チャンは操作することはできない。
しかし、全方位へ波紋が広がるように放出されたチャンの魔力は、リックマンの魔力弾五発を防ぐ壁として機能した。
「なっ!?」
「――はぁ」
驚くリックマンの声と、肺に残っていた空気を吐き出すチャンの息が、重なる。
そこへ――、
「俺を忘れんなよーっ!」
チャンへと向けられる怒号と、魔力弾。
チャンはその魔力弾を難なく躱すと、攻撃してきた相手を睨み見る。
チャンと同じように初手でリックマンの電撃を浴び、泥沼に沈んだと思われたドゥが、荒い息を吐きながらチャンを睨んでいた。
「はぁ、はぁ。死ぬかと思ったぜ、ラスパーナ」
「一応、心臓麻痺とかにはならないはずですが。まあ、まだ動けているのはこっちとしてもありがたいんですけどね」
静かにドゥのそばへ着地(または着水)したリックマンにドゥが軽口を叩き、リックマンもまたそれに応じる。
お互い本来は敵同士であるのだが、チャンという強敵を前に、二人の意思は共同戦で一致していた。
構図としてみれば、十三学年(十八歳)と十二学年(十七歳)が結託して十学年(十五歳)を潰しにかかっている――というものだろうが、この現状を見てそれを素直に受け取る者は、観客席にはいなかった。
三人の視線が、正確にはリックマン・ドゥの二人とチャンの視線が、交わる。
「今度はいきなりビリビリするのやめてくれよ?」
「事前に申告したいところですが……それだと彼に当てることができません」
仮にその難題をクリアしたとしても、もうリックマンが浮遊した時点で電流を流す作戦は破られてしまうだろうが……。
チャンに二度同じ手が通じると思うほど、二人は楽観していない。
『おおっとー? どうやらリックマン選手とドゥ選手、お互い協力してチャン選手を撃破するつもりのようです。これはチャン選手不利な状況かー!?』
実況の声が、ようやっと試合場に割り込んでくる。
だが、それを三人が聞き取っている暇はない。
リックマンとドゥの視線の先で、チャンが動いた。
前方への突撃。彼の跳躍によって、瞬く間に、ドゥとリックマンの二人へと肉薄する。
「行って!」
「うおっ!」
リックマンが、慌ててドゥの背中を叩く。
背中を押されたドゥが、よろめきながら前に出る。
その時、
突如としてステージ全体が大きく揺れた。
「ぐっ!?」
「――――むん!」
その場に止まるドゥ。
構わずに突き進むチャン。
ステージの形が急速に変わっていく。
走るチャンの速度が遅くなったのは、あるいは全速力では地形変化に対応しきれないと判断したからだろうか。
地面から堅く尖った岩が何本も突き出てくる。
沼の水は、栓を抜いたようにどんどん水位を下げていき、やがては水底の泥ごと乾燥した地面に置き換わる。
さらに、ステージ全体に起伏が生じる。
リックマンとドゥのいる場所の地面が大きく隆起して盛り上がり丘のような地形になったのは、ある意味幸いだったと言えるだろう。
『ステージが変わりました! いわばステージへ変更です! そして、これはチャン選手、地形的にまたしても不利な状況です』
傾斜を駆け上がるチャンへ、ドゥとリックマンが魔法で攻撃を浴びせていく。
魔力弾の弾幕が。
風の刃が。
大波が。
火炎弾が。
あらゆる魔法の数々が、チャンを呑み込まんと押し寄せる。
それを見て、チャンは走る軌道をジグザグのように不規則なものへと変えた。
迫ってくる魔法の数々を、地面から突き出ている巨大な刺状の岩を盾にしながら丘を登っていく。
岩は思いのほか頑丈なようで、ドゥとリックマンの魔法の攻撃に晒されても数発は耐えるほどだった。
「くっ」
「うっ」
協力関係を組んでいるとはいえ、二人にとって余裕でいられるわけがない。
加えて言うならば、この三人の中で最年少を相手に手を組んで戦っているのに苦戦している――という、(所属している学校は違うが)上級生二人にとってはなんとも不名誉な状況である。
雨あられと繰り出される魔法の弾幕を凌ぎながら、チャンが二人へ迫っていく。
一直線に向かってきているわけではないが、チャン自身の脚力とフットワークを見れば、彼が二人のもとへと辿り着くのは時間の問題だというのは誰の目にも明らかだ。
二人の表情には、わずかながら焦りの色が現れていた。
近接戦闘になってしまえば、明らかにチャンの方が二人よりも体格的に有利だからだ。
チャンの姿が、一際大きく太い岩の背後に隠れる。
火炎球が、風刃が、その岩の硬さの前に散る。
並みの威力では、岩を砕くことはできない。
瞬時にそう判断した二人の意識は、まったく同じ選択を選んでいた。すなわち、チャンが隠れる巨岩を、一撃で破壊できるだけの魔法、である。
ドゥとリックマンが突き出したそれぞれの手の先に、魔力が収束していく。その手が向く先は、もちろんチャンが隠れている巨岩である。
二人ともが魔法に集中するため、それまで絶え間なく降り注いでいた魔法の数々が途切れてしまう。
二人がこの試合で即席で手を組んだのでなければ、あるいは役割分担がきちんとできていれば、こんな愚策は犯さなかっただろう。
攻撃の雨がやんで一泊の間を置き、チャンが岩陰から飛び出した。
先ほどまでのジグザグの疾走ではなく、一直線に二人めがけて突っ込んでくる。
「あく!?」
「っち!」
今さら魔法を変更しようとしても間に合わない。
攻撃のやんだ丘を、チャンが猛スピードで駆け上がっていく。
咄嗟に二人が取った対処は、左右への分断だった。
チャンから見て左方へドゥが、右方へリックマンが、二手に分かれて丘を駆け下りていく。
チャンは一瞬の思考を置き、右方へと進路を変える。
『チャン選手、リックマン選手を狙う! 物凄いスピードです! あれは、どうやら身体強化の魔法を使っているようです』
実況の通り、チャンは身体強化魔法によって身体能力を強化していた。巨岩に隠れている間に発動しておいたのである。
爆発的なスピードを得たチャンの姿は、すぐさまリックマンの目の前に迫った。
手刀を振りかぶったチャンに、リックマンは自らの右掌を突き出す。
彼女は魔法を中断せずに、待機状態を維持して走っていたのだ。
あらかじめ予定していた威力にはまだなっていないが、それでも対人には充分な魔力を練ることができた。
「――――――『ブラフト』!!」
彼女の掌の先に、風の塊が膨れ上がっていく。
チャンの手刀と、リックマンの風と。
わずかにリックマンの魔法が速かった。
強烈な風の奔流が、チャンへ向けて解放される。
吹き荒れる暴風。たかだか風、と侮ることはできない。嵐のような風の暴力が、チャンの目の前で炸裂する。
「――ぐっ!?」
チャンの巨躯が、大きく後ろへ仰け反る。
強烈な暴風が、チャンを吹き飛ばそうと唸りを上げる。
だが、
「ぐっ!」
一歩、仰け反っていた体勢から、チャンが足を踏み出す。
リックマンの風を耐えきったチャンが、姿勢を戻しながら手刀を作っていた手を握りしめる。
再び迫ってくるチャンの姿を見、リックマンの表情がぎょっと固まる。
咄嗟に両手を交差させ、防御の姿勢を取るが、
チャンが振り抜いた拳が、リックマンをガードの上から弾き飛ばす。
とその直後、ステージ全体がまたしても揺れる。
ステージが、二度目の変化を遂げた。
隆起していた地形は、瞬く間に沈み込み、平坦になっていく。
尖った岩も、見る見るうちに風化し、砂と化していく。
フィールド内の気温が、強制的に引き上げられていく。
そして、『フィースフィール』二回戦の三つ目のステージは砂漠ステージとなった。
砂の上を転がるリックマンへ追撃を入れようとして、チャンは背中に衝撃を受けた。ばっと振り返れば、そこにはドゥが立っている。
ドゥとしては、まだチャンを倒していない現状でリックマンに退場してもらっては困る。
ならば、どうあってもチャンがリックマンにとどめを刺すのは阻止しなければならない。
チャンがドゥへ向き直る。
二人の間合いはおよそ三十メートルほどか。
リックマンにとどめを刺すよりも、ここで邪魔してくるドゥを先に仕留めることに決めたのだ。
今さらながら肩を回すような仕草をして、チャンはドゥへ、ゆっくりと一歩を踏み出した。
ドゥもドゥでコキッ、コキッ、と首を鳴らしながら、チャンを睨む。
今しがた変化したばかりのステージが、再び大きく揺れ出す。
フィールドが再変するまでの時間に、規則的な決まりなんてない。
『フィースフィール』のステージは、まったくのランダムなラグで変化を繰り返す。
果たして、砂漠だったフィールドはに、途端に水が溢れてくる。
初期ステージだった沼地のものとは違う、非常に綺麗な水。
じりじりと暑かった気温も、途端に涼しくなった。
完全にステージが変容し、対峙する二人の距離は一〇メートルと言ったところだろうか。
踝まで水に浸かりながらも、二人の意識は対峙する相手を見据えている。
――けれど、二人が衝突することはなかった。
ドゥが初めからリックマンが起き上がるまでの時間稼ぎを前提にして立ち回ったからではない。
まさに起き上がりかけていたリックマンが不意打ちでチャンを攻撃したからでもない。
チャンがいきなり魔法でドゥを攻撃したわけでも、ましてやその逆なわけでもない。
それは、この試合の外部からもたらされたイレギュラーな乱入によるものだった。
チャンとドゥが睨み合っていたその瞬間、ステージ内へ物凄い勢いで二人の人影が入ってきた。




