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レッド・ムーン  作者: 翡翠蝶
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琥蝶

うっかり命約弐の方に投稿してしまいました。

気付いて「ウェイ!」と声を上げてしまいました。

「どうした?」

話があると来た割に中々話し出そうとしない楓雷。

「申してみよ。」

吋土がそう声を掛けると、楓雷は口を開いた。

「・・・・・・似ていました。」

「何がだ?」

楓雷は絞り出すように言った。

「・・・・・あの朱蘭という吸血鬼と琥蝶が・・・」

吋土は顔をしかめる。

「まさか、主、まだあの娘を忘れられぬのか・・・」

「・・・・・死んだと・・頭では判っているんです。けれど・・・」

吋土は溜め息をく。

「ならば、吾輩が確かめて来よう。」

「それなら、私も─────────」

「駄目だ、主は少し頭を冷やせ。」

楓雷はうな垂れた。

吋土は頷くと席を立った。



「・・・・へぇ、あの楓雷にそんな事があったなんてねぇ・・・・」

蝋火は良い事を聞いたとばかりに笑っている。

「意外だよなぁ。」

怜川もニヤニヤ笑っている。

「あの吸血鬼さんが、ですか?」

梨亞は不思議そうだ。

「・・・・・なぜ、貴様らまで付いて来るんだ?」

吋土はジットリと三人を睨む。

「良いじゃないか。たまには混ぜてよね。」

「面白そうだし。吸血鬼の中には美人も居たし。」

「アハハ。怜川の場合はそれが目的でしょ?」

吋土は今日、何度目になるか分からぬ溜め息を吐いた。




「それで、来たんですか?」

需浬は、話を聞いて目を丸くする。

来たものの残念ながら朱蘭は華蓮と外出中というので、需浬がもてなしていた。

「そんな話は一度も聞いた事ありませんが・・・」

需浬はコクリと首を傾げる。フワフワの髪が揺れた。

「けど、リーダー、妖怪さんと会った時から何か様子がおかしかったよ?」

眞李はレモン色の瞳をクルクルと動かす。

「そうそう。ボンヤリしてたと思ったら怖い顔で考え事始めるんだもん。」

桃色の髪をブラシで梳きながら夢胡はうんうん、と頷く。

「けど、このギルドの決まりで本人が言いたくない過去は無理に聞こうとしちゃダメなの。」

さきほどまで泣いていたと思われる美胡が髪飾りを選びながら言う。

「それに、朱蘭の過去はワタクシ達のとは比べ物にならないくらい辛いものだから。」

需浬は顔を曇らせる。

「いや、あなたのも凄かったんですけど・・・・」

梨亞がボソリと呟く。

その時、

「ミャーオ」

需浬達は一斉に扉の方を見る。

そこには、尻尾をユラユラと揺らすミッドナイトが座っていた。

その後ろには、不機嫌そうな朱蘭が立っている。華蓮もいる。

「需浬、余計な事喋らないでくれる?」

需浬は後ずさる。朱蘭はそんな需浬の横をすり抜けて自分の机に向かう。

「ナイスタイミングって感じだねぇ。」

蝋火はすっかり見物客気分だ。

「丁度良かったな。」

怜川は吋土に目配せする。

吋土は小さく頷いた。

「朱蘭だったな。単刀直入に言う。貴様は楓雷、あの蛇妖怪と会った事があるか?」

「会った事ないわ。」

椅子に座った朱蘭は余裕の表情で答える。

「楓雷は、貴様に会った、いや何十年も一緒にいた人と言っている。」

「ふ~ん。」

朱蘭は興味がなさそうだ。

「琥蝶という名に聞き覚えは?」

「無いわ。全然。」

吋土は、仕方ないというようにある言葉を言った。

「・・・・・・永久とわの絆をかなでる調べ・・・」

朱蘭の顔に微かに動揺の色が見えた。

吋土はそれを見逃さなかった。

「知っているのか?!この言葉を!?」

「その言葉は・・・・?」

朱蘭は震える声で尋ねる。

「琥蝶が最期に言い残した言葉だと。」

朱蘭はきつく唇を噛む。唇から血が滴り、床にポトリと落ちた。

「・・・・・帰って・・・!」

吋土は何か言おうとした。だが、

「帰って!!」

朱蘭は下を向く。椅子の肘掛の部分を壊れんじゃないかと思うくらい物凄い力で、握り締めていた。

ミッドナイトはその様子を黙って見詰めている。ミッドナイトの瞳は紅く輝いていた。

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