恋心
「どうもありがとうございました。」
送ってくれた警察官にお礼を言って病院へつくと、丁度会計の所に柾が居る所だった。
「柾っ!!大丈夫かっ?」
柾は呼びかけに気付いたのか、オレのほうを見ると左手を振ってきた。
・・・良かった、無事だった・・・
警察には大丈夫と言われていたが、元気な姿を見た事で安堵してしまった。
ただ、右手には包帯が巻かれて三角巾で吊り下げられている。
見た感じ固定はされてない・・・おそらく骨折までは行ってなかったか?
良かった・・・
うん?どうしたんだ?
柾が慌てながらオレのほうに駆け寄ってくる。
「桜っ!ごめん、心配かけた・・・
ほら、ちょっとヒビが入ったから包帯してるけど、全然大丈夫。」
目の前まで走ってくると、元気な所をアピールして来た。
自分で右腕を叩き、痛みに顔をしかめる。
痛いのに何やってんだか・・・
「・・・な?だから泣くなよ。」
・・・え?
頬に手を当てる。
湿った感触が手に伝わってくる。
・・・あれ?濡れてる。
「あー・・・えっと・・・その・・・これ使っていいから。」
困った感じでハンカチを取り出し、目元に押し当てて来た。
「えっと・・・次はもっとうまくやるから・・・
こういう大事にならないように気をつけるから・・・」
柾が必死に弁明する。
というか、何でオレは涙なんか流してんだ?
「待ち合わせとか、日付の指定とかを任せた事で責任感じてるのなら・・・ 悪いのは僕の方だから・・・ほら、桜は悪くないから!!」
そんな事全然考えてなかった・・・
ただ・・・柾に何かあったらどうしよう。とか、会えなくなったら・・・としか思ってなかった。
「あぁ・・・ほら、だから泣くなって・・・」
どうしよう?止めようと思ってるのに全然止まらない。
「あぁ・・・もう!!
ほら、胸貸してやるから・・・
えっと・・・泣き顔、他の奴に見られたくないだろ?」
顔を赤くしてそっぽを向きながら、痛いだろうに左手を上に持ち上げてみせる。
何でオレがそんな事をしなきゃならねぇんだ!!
頭ではそう思ってるのに、体は勝手に柾の胸に飛び込み、大声で泣き始めてしまった。
「うわぁぁぁぁぁぁ、良かった・・・柾が無事で本当に良かった・・・」
後から後からあふれ出す涙に、自分の思いを認識させられる。
「ごめんって・・・
ええっと・・・ほら、僕はしにましぇん!!
・・・って古いか。」
「ぐずっ・・・馬鹿野郎、それはプロポーズの言葉だ・・・」
こんなにも軽い言葉のはずなのに、胸の中にストンと落ちてくる。
「ああ・・・もぅ・・・なら何て言えば泣き止むんだよ・・・」
「・・・ぐずっ・・・頭・・・撫でろ・・・」
「はいはい。」
頭に乗る暖かい手に、こんなにも安心させられる。
父さんと母さん以外で初めて撫でてくれたその手は暖かかった。
・・・そうか・・・
オレってば、このチャラい男の事が・・・好きになっちまったんだ。
「オレ・・・お前のことが・・・」
このような感じでお伝えしました。
桜模様の恋愛物語。いかがでしたでしょうか?
お楽しみいただけたなら幸いです。