それはコーヒー牛乳です。
日曜日。
昼下がりの部屋。
「コーヒー飲みたいな」
朝から漫画を読みふけっていた花子は、キッチンへと向かった。
花子の部屋は二階にあり、キッチンは一階にある。階段を下りて、リビングへ。
母がドラマの再放送を見て、何やら突っ込みを入れている。それを横目に、花子は冷蔵庫から、牛乳パックとコーヒーのパックを取り出す。
自分専用のお気に入りマグカップを食器棚から出す。
「お母さんも飲む? 冷たいやつ」
「え? あーうん! 入れてくれる?」
もう一つのカップを出して、自分のものと並べる。
自分のには牛乳を多めに、母のものにはコーヒーを多めに入れる。よって白い茶色と、黒い茶色ができた。
「ん」
自分のカップに口をつけながら、母の前にカップを置く。
「さんきゅっ」
テレビからは目を離さず答える母。
テレビの画面には刑事らしき男が、犯人らしい女の話を聞いている。
花子はドラマに興味なかった。
コーヒーをこぼさないように階段を上がっていく。
今日はこれで三回目だった。
「どんだけコーヒー好きなのよ」
自分で自分に突っ込みながら、部屋に入る。
読みかけの本を開いて、再び漫画の世界へ。
恋愛ものの漫画が好きな花子。
しかし彼女自身、恋愛をしたことがない。
生まれて十七年ほど経つが、一度も浮いた話がないのだ。それゆえに恋愛に憧れている。密かに、恋したいと思っているのだ。
「ま、恋はするものじゃなくて落ちるもの、だけどね」
漫画から得た言葉をつぶやき、カップを取る。
ひんやり冷たくて甘いコーヒーが、のどを通る。
「苦いのは好きじゃないのよねぇ」
コーヒーも、恋も。
私は今日も、まったり一人を楽しみます。
わたくし田崎史乃のコーヒー牛乳が好きです。
お気に入りのマグカップもあります(ムーミンのやつ)。
好きなときに、好きなカップで、好きなものを飲む。
私はなんて幸せ者だろう!
ちなみに恋は、お休み中。
田崎史乃でした。