他の学校の生徒会
ざんばらは諸牙狼、不精ロンゲは五十嵐博次といった。
なんとクラスメイトだった。
面倒で、クラスの人間の顔をよく見ていなかったのだ。
五十嵐はともかく、諸牙は名前が近いのですぐ前の席に坐っていた。
今のところ、選考会の候補選びの古い落しらしきものは行われていない。
クラブ活動も今のところしていないので先輩の知り合いもいない。だからこれが恒例行事なのかもわからない。
ただ、なんとなく三人でつるむようになった。
いかにも不良といった風貌の狼はクラスでも浮いた存在だったが、それとつるむようになってかほると博次も巻き添えで遠巻きにされるようになった。
他の選考対象とはさして話をしたこともなく。このまま何もかも忘れられて平穏な高校生活を送れないかと、かほるは考えていた。
放課後、文房具店で買い物をすませてふと背後を振り返ると、小学生のように小柄な少女が立っていた。
まん丸の顔にツインテールの少女が小学生ではないのは、北斗女学院の制服。紺に紅いラインのセーラー服姿だったので同年輩とわかったのだ。
少女はかほるを見て戸惑ったような顔をした。しかし、同じように買い物をしていた五十嵐が、少女に駆け寄った。
「博次知り合いか?」
学ラン姿の博次は、少女と何事か話しをしたあと、振り返った。
「単なる幼馴染」
この界隈は文房具屋が多い、そして次に多いのが軽食を出す店だ。
おにぎり、ピザ、ハンバーガー、クレープなどなど、多彩な顔ぶれはやはり土地柄というものだろうか。
ちなみに西部高校は、チェックのブレザーだ。
とはいえ近いので、学校の垣根を越えて友人関係を気付く連中も多い。だから博次と北斗の生徒の交友関係もありふれたものだが。
彼氏彼女には見えない、なら博次の言うと折り単なる幼馴染なのだろうか。そこまで考えてかほるは髪を引きむしる。
まるででばがめじゃないか、別に博次に彼女がいようがいるまいが関係ない。
博次は数分立ち話をしてすぐに離れた。
少女は、背後にいた長い髪の少女二人のもとに駆けて行った。
そのうちの一人に既偲感があった。
「何でも、あいつも生徒会役員選考に入ったそうだ」
博次がそう言った。
「どうやら東村だけじゃない。この四つの高校すべてが、選考会という形で生徒会役員を決めているらしい。
博次はさも呆れたという気持ちを隠さないでそう言った。
「あのさ、右側の女の子どっかで見たことなかった?」
「名前も聞いたよ、火乃宮一実さんと、諸牙葉月さんだと」
その名前に唐突にさっきの感覚の理由を理解する。
狼に似ていたのだ。