東村高校生徒会
諸星かほるは新入学早々生徒会から呼び出しを食らった。
中学生時代はやんちゃで鳴らした彼だが、今のところおとなしくしていた。
生徒会室には、すでに先客が並んでいる。
生徒会の椅子に、いかにも真面目そうな眼鏡の生徒会長。
そして、その前に、いかにも風紀違反の見本帳といった連中が雁首並べている。
かほるは、茶髪をばさばさにきっただけと言う髪形をした男の横に立った。
その横は、いかにも不精で髪を伸ばしましたという中肉中背のロン毛だ。
その顔は細いのだろうけれどひたすら長い前髪にさえぎられて、その目が一重なのか二重なのかもわからないという有様だ。
そして、横の残薔薇は、黙って立っていればいい男なのだろう。その無造作にはさみを入れすぎた髪形も、ニューカットといっても通じそうな、すでに改造が入った学ランも愛嬌だ。
それに引き換え、自分のまともすぎる格好を見て、かほるは違和感を覚えた。
自分は征服を改造していないし、髪形も、野暮ったいが至って普通だ。
それが何で、呼び出しを食らったのだろうか。
「全員そろいましたね」
生徒会長は黒ぶち眼鏡の縁を持ち上げ、手にしていたリストを机に置いた。
「本日より、来期生徒会役員候補の選考会を行います」
その場にいた全員がずっこけた。
「本日より、来期生徒会任命式までの期間がタイムリミットです。その間に、生徒会役員を選ばせてもらいますのであしからず」
こけていた床から立ち上がりながらかほるが尋ねる。
「選考会って何をするんですか」
「それは内緒です」
生徒会長はニタリと笑った。