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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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友達辞めます

掲載日:2026/08/30

***BL*** もう友達辞めようかなと思った。

ハッピーエンド


 友建辞めよう、、、


 そう思いながら、彼の横に立つ



*****



  僕、舘野誠には好きな人がいる。

「コイツ。俺の友達!」

小さい頃からそう言って紹介されて来た。


 その度に、僕は愛想笑いをしていた。


 小学生の頃からずっと、、、。


 僕は友達にしかなれないんだ。



**********



 俺は小さな頃から、誠が好きだった。

 誰にも取られたく無くて

「コイツ、俺の一番の友達!」

と紹介していた。

 

 誠は人見知りをするし、余り人と関わらない。俺が他の奴らと一緒にいると、いつも一人だった。

 俺には友達が沢山いるのに、アイツが俺以外と仲良くするのは気に入らない。

 だから、誰かがアイツに近付くと、俺はそれを邪魔してしまう。


 誠が一人でいると安心する、、、



**********



 休み時間は放ったらかしなのに、登下校は一緒。

 朝も放課後も迎えに来てくれる。

「誠!」

と呼ばれて、僕は立ち上がる。



*****



 中学校から家までの10分を、二人で歩く

「俺、彼女が出来たよ」

「え?、、、」

「誠も彼女欲しかったら、彼女の友達、紹介して貰うけど?」


 僕は達也の顔を見た。

 きっと、悪気は無いんだ。分かってる。

 でも、がっかりした。


「有難う。考えておくよ」 


当たり障りの無い返事をして、無視すれば良い。


 その内、登下校も別々になるかもな、、、。



*****



 達也は普通に迎えに来た。

 彼女と一緒に行かなくて良いの?

 いつも通りの朝。彼女の事を知りたいのに、聞きたく無くて、下を向く。

 下駄箱で靴を履き替えると、達也の友達が彼に挨拶をする。自然と友達と合流して、僕はおいてけぼり。

 

 少し遅れて教室に入ると、達也の横に女の子がいた。

 いつも男子だけの集団なのに、今日は達也の彼女らしき女の子がいる。紅一点で目立っていた。達也はモテるから、あの女の子が他の女子に虐められないか、心配だな。

「誠!」

と言って、僕を呼んだ。学校で話し掛けるなんて、珍しい、、、。

 僕が、達也の次の言葉を待っていると、大きく手招いて

「こっち来て!」

と言われた。

 僕は鞄を机の上に置き、彼等の元に行く。

 達也は、女の子に

「ね、誠に友達紹介してよ」

と言い出した。彼女は、僕を値踏みする様に見る。

「誰でも良いの?」

達也の方を見る。


 何だこれ、、、?罰ゲームかな?


 僕は達也が好きだから、別に紹介なんてして欲しく無い、、、。

 二人は盛り上がって話し出した。僕の事は無視。この状況をどうしたら良いんだろう、、、。面倒臭いな。


 チャイムが鳴って、ようやく僕は解放された。朝から疲れた、、、。

 


*****



 それから二日後、達也と登校している時だった。

「綾が、友達紹介してくれるって」

「、、、」

「忘れてた?」

僕は達也を見ながら

「その話、立ち消えになったと思ってた」

と笑う。

「綾と二人でどの子が良いか考えたんだよ。誠は大人しいから、あんまり煩くない方が良いだろうとか、結構真剣に相談したんだ。放課後紹介するからな」

「ふぅ〜ん」

「良い子だよ。気に入ると思う」

達也は嬉しそうだった。



 大きなお世話だよ、、、。



**********



 綾は誠に、クラスの大人しい女の子を紹介した。

 顔も普通で、凄く可愛い部類では無い。平凡も平凡。むしろ、存在が薄くて、忘れられてしまいそうな子だった。

 多分、綾の友達と言っても、ちょっと話す位とか、小学生の頃は仲良しだったとか、同じマンションに住んでいるとかだろう。

 でも、俺には丁度良かった。誠に紹介するなら、あんまり可愛い子は嫌だったから。



 放課後、教室に残り、綾と二人で誠と彼女を引き合わせる。

「ね!お似合い、二人付き合いなよ!」

と綾が言うと、彼女、木村さんは迷惑そうに俯く。

「そんな事しなくてもいいのに、、、」

小さな声で言う。誠も何も言わない。

「二人とも大人しいし、良いと思うんだよね。試しに一週間付き合ってみようよ。お互いの良い所が分かって、気が合うかもよ!」



**********



 達也の彼女は、しきりに付き合わせようとする。

「誠は木村さんの事、嫌い?」

達也に聞かれた。


 その聞き方はズルい。


嫌いと言ったら、彼女が傷付くし、好きと言うのも違う。

「どうする?」

達也が僕を見る。

 チラリと木村さんに視線を投げると、彼女も困っていた。

「、、、一週間だけ付き合うよ、、、」

達也と彼女は、顔を合わせて喜んだ。木村さんが小さくため息をく。

「きっと上手く行くよ」

達也が言った。二人はさも良い事をした、と言う顔をしている。



 なんだかな、、、。



*****



 何と無く四人で帰る事になる。と言っても、校門を出たら綾ちゃんだけが右に進み、僕達三人は左に向かった。一つ目の信号で木村さんと別れ、僕と達也だけになった。

 別れ際、木村さんがペコリとお辞儀をした

「良い子だろ?」

と言われ

「そうだね」

と答えた。他に何て答えれば良いんだ、、、?



*****



 僕と木村さんは、特に一緒に過ごす事無く、一週間が過ぎた。

「舘野くん、、、ちょっと良いかな?」

木村さんに話し掛けられて、僕は振り向いた。

 視線の端に、達也と綾ちゃんが見える。綾ちゃんはニヤニヤ笑いながら達也を叩き、彼はジッと僕を見ていた。


 僕達は教室を出て、音楽室の前に行った。最上階のどん詰まり、昼休みは滅多に人が来ないし、来れば足音で分かる。

「あの、今日で一週間でしょ?」


 ああ、最終日だから、解散の確認かな?


「このまま、もう少し続けて欲しいの」

「え?」

「あの!迷惑なら断ってくれて構わない!ただ、好きな人がいないなら、このまま付き合ってるフリをして欲しくて」

「、、、どうしたの?」

「、、、実は、昨日、告白されて、、、世界で一番嫌いなヤツなんだ、、、」

「、、、」

「同じマンションに住んでて、小さい頃から虐められてるの。髪をひっばられたり、メガネを弄られたり、物を隠されるし、、、」


 それって、木村さんの事、好きなんじゃないかな?


「大っ嫌いなの、、、」

 指先が震えて、声が詰まる。


 ポロリと涙を流した。


「本当に、本当に大嫌いで、、、昨日だって、無理矢理腕を掴まれて「舘野と付き合ってるのか?嘘だろっ!」って大きな声で怒鳴られて怖かった。腕も、、、内出血していて、、、」


 僕は正直どうでも良かった。達也には彼女がいるし、僕は告白する気も無い。別れても、このまま付き合ってるフリをしても、どちらでも構わない。


「ごめん、ハンカチ持って無いんだ、、、」

「だ、大丈夫、、、私、持ってるから」

木村さんはポケットからハンカチを出して、涙を拭く。

「舘野くんに迷惑掛かるって分かってるんだけど、、、。彼女が出来るまで、このままじゃダメかな?」

「木村さんは好きな人いないの?」


 コクンと頷く。


「分かった、、、取り敢えずもう少しこのままで」

「、、、有難う、、、ごめんね、、、」


 木村さんはハンカチで両目を押さえた。



*****



 弁当をまだ食べていない僕と木村さんは、静かに後ろのドアから入り、お互い自分の机で遅い昼飯を食べた。


 達也の視線が痛い、、、。



*****



 それから僕は、たまに木村さんの席に近寄り、少し話しをする様になった。

 お互いフリだと自覚していて、ほんの少し話しをするだけ。それでも、あの、木村さんが泣いた日、僕達に何かあったんだろうと勘繰る人はいて、二人が付き合ってるんじゃないかと言われる様になった。



**********



 告白したのは綾だった。

 同じクラスの目立つ女。

 整った顔に、真っ直ぐな黒い髪。身長も高い方だ。

 初めて告白されて、それが可愛い子だったから、俺は調子に乗った。俺の周りには、まだ付き合ってるヤツとかいなくて、彼女が出来たのは俺が一番だった。


 誠が好きだけど、アイツとは付き合えないし、軽い気持ちで「いいよ」と言った。

 誠にも恋人が出来たら、きっと喜ぶんじゃ無いかな?。そう考えて、女を紹介しようとした。

 綾と相談して、木村と誠を引き合わせる。

 一週間付き合うと言った。俺の選んだ女と付き合うのが嬉しかった。


 それなのに、三日目位から何だかモヤモヤして来た。誠は木村と一緒にいる事は無い。それでも、二人は付き合っているんだ。

 休み時間、綾と一緒にいるのに、俺は度々誠を目で追っている。


 あの日から一週間経った日の朝、いつもと違った。

 今日で最後だ、、、とホッとした。

 誠を迎えに行き、一週間、木村と何も無かった事が嬉しかった。

 

 昼休み、初めて二人が一緒に行動した。心臓が止まりそうだった。


 待て、、、行くな、、、


 自分で、二人が付き合う様に仕向けたクセに、不安になった、、、。



 昼休み中はイライラしていた。綾に話し掛けられても、集中出来ない。ようやく二人が帰って来た時、明らかに木村は泣いた後だった。


 一体何があったんだ?


 それから二人は、以前より少しだけ一緒にいる時間が増えた。



 誠と木村が付き合っている、、、そんな噂が直ぐに流れた。二人が消えた昼休みの日から、付き合っているんじゃないか、と誰かが言った。

 綾は、俺と綾が引き合わせたのにね!と笑う。その顔にもイライラした。


 自分の感情に振り回され、浅はかだったと後悔した。

 綾と付き合った事も、木村を紹介した事も、、、。


 でも、今更もう、戻れない。

 俺が綾と別れるのは簡単だ、だけど、誠に木村と別れて欲しいとは言えない。



 一緒に帰っている時、つい

「木村と仲が良いんだな」

と口に出してしまった。

「、、、達也が付き合えって言ったんだよ?」

「付き合えとは言ってねーよ。誠も彼女が欲しいなら紹介するって言ったんだ」

「、、、付き合わないと終わらない雰囲気だった」

「付き合ったら、好きになったのかよ?」


 自分で聞いて、自分で傷付いた。


「別に」

「でも、一週間経っても付き合ってるんだろ?」

「まぁ」

「なら、好きなんだ」

「好きだったらどうなの?」

「誠は簡単に誰かを好きになるんだな!」

「はぁっ?!」

「ちょっと紹介して、付き合ったら好きになるんだろっ?!」

「、、、」

誠は俺を睨んだ。今まで、こんなに悔しそうに俺を睨んだ事は無い。

「僕が誰を好きになろうと、達也には関係無いよ、、、」

「、、、」

「明日から、朝迎えに来ないで、、、」



 誠を本気で怒らせた、、、。



**********



 いつかはこうなるだろうと思っていた。

 達也には友達が多いし、僕と彼はタイプが違い過ぎる。今まで友達だったのが、不思議な位なんだ。


 これで良かったと思う事にする。


 僕の好きは絶対に届かないし、、、。友達でいる事に疲れてしまった。

 僕ばかりが彼を好きで、達也は僕以外を選んだ。

 友達も、彼女も、、、僕は対象外なんだ。


 

 友達を辞めよう、、、もう、無理だ、、、。



**********



 私には、本っっっ当に苦手な人がいる。

 幼稚園の頃から虐められてるんだ。顔も見たく無い。私はアイツが近くにいると、何と無く分かる。

 

 本当に嫌い


 ソイツが真逆まさかの告白をして来た。

 吐きたい位嫌だ。

 どうして私を苦しめるクセに、好きだとか言えるんだろう。訳が分からない。


「美雨、、、」


 しまった。考え事をしてたから、気付かなかった。

 マンションのエントランスで、待ち伏せされた。私はエレベーターのボタンを押す。


 一緒に乗るの、、、嫌だな、、、。


 エレベーターの扉が開く、私は乗り込んで、7階を押す。アイツも乗って来た。私は降りる。エレベーターの扉が閉まり、アイツを運んで行った。


 助かった、、、。


 私はアイツに掴まれた腕をさする。まだ、内出血の跡が残っている、、、。

 もう一度エレベーターを呼び、二基目のエレベーターが来た。ホッとして乗る。扉が閉まり、一人きりになると、怖かったな、、、と泣きそうになった。

 7階でエレベーターが止まり、扉が開くとアイツが立っていた。一瞬、降りるのを躊躇い、それでも足を前に出した。アイツを無視して家に向かう。どうか、後ろから着いて来ません様に、、、。

 玄関の鍵を開け

「ただいまー!」

と、誰もいない部屋に大きな声で言い、すぐに鍵を掛ける。荷物を置いて溜息をいた。


 疲れた、、、。


 何なの、一体。本当にイヤッ!



**********

 


 僕はいつもより早く学校に行った。達也にもう迎えに来るなと言ったけど、一応早目に家を出た。5分早く出ただけだった。

 小学生の頃からずっと二人で登校していた。帰りもいつも一緒。何だか変な感じがする、、、。でも、きっとすぐに慣れる。


「舘野ってお前だろ?」

下駄箱で話し掛けられた。

「 ? そうだけど、、、」

「木村と付き合ってるの?」


 、、、もしかして、木村さんの、、、


「付き合ってます」

「そっか、、、」


 彼はそれだけ確認すると、行ってしまった。

 ちょっと心臓がバクバクした。

 自分のスニーカーを拾い、下駄箱にしまう。

 横に達也がいた。僕達の会話、聞いてたかな?


 まぁ、いいや、、、。


 達也は僕の後ろを通り、階段を登って行った。



*****



 教室で木村さんに話し掛けると、周りの空気が変わる。

 誰かが「ほらね」と言ったのが聞こえた。


 教室だと誰が聞いているか分からないから、音楽室の前に移動する。

「今朝、鈴宮くんに話し掛けられたよ」

「、、、」

不安そうに僕を見ている。

「木村さんと付き合ってるのか、確認された」

「、、、大丈夫だった?」

「特に何もされて無い」

「良かった、、、」

「アレッて、鈴宮くんの事?」

「、、、うん」

「そっか、分かった。僕も鈴宮くんの前では特に気を付けるよ」

「ごめんね、有難う」


 朝会った時の鈴宮くんは、普通の人だったけどな、、、?意地悪する様には見えなかった。


「今も虐められてるの?」

木村さんは首を振る。

「出来るだけ会わない様にしてるし、二人きりにならない様に気を付けてるから」

「腕を掴まれたのは、久しぶりだったの?」

「うん、、、」


 鈴宮くんは木村さんの事、どう思ってるんだろう、、、。



*****



 放課後、ホームルームが終わり、僕は席を立って一人で帰る。

 誰も僕の事なんて気にしない。

 達也は綾ちゃんと話しをしているし、僕はそっちを見ない様にした。


 鈴宮くんが歩いてる。信号を渡る為に立ち止まり、俯いていた。

 誰かを虐める様には見えないけどな、、、。でも、木村さんは震えていたから、本当にイヤなんだろう。



*****



 それから暫くして、達也と綾ちゃんが一緒にいるのを見なくなった。どうしたんだろうと思っていたけど、確認する事も出来ず、僕はいつも通り一人で過ごしていた。

 木村さんから二人が別れたと聞いたのは、そのもう少し後。

 理由は木村さんも知らなかった。誰かが話しているのを聞いたらしい。僕は何だかなぁ、、、と呆れた。



*****



 あ、鈴宮くんだ、、、。本屋の絵本コーナーにいる。小学校低学年位の女の子と一緒にいた。妹かな?女の子は絵本に夢中だった。

 彼と目が合うと、小さくお辞儀をしてくれた。そんなに怖く無い、、、。僕もお辞儀を返し、近付いた。

「妹さん?」

「うん」

「一年生?」 

「そう」

「、、、あのさ、、、。木村さんの事、好き?」

「なっ、、、?!」

「にぃに?」

妹さんが鈴宮くんを見上げた。彼は顔を真っ赤にして

「何でも無いから、本、読んでな」

と笑う。


 僕達は、少し離れた場所で立ち話をした。

「木村と舘野が付き合ってるって聞いて、信じられなかった。木村に好きな人がいるなんて知らなかったし、舘野の事も知らなかったから。舘野も俺の事、知らなかっただろ?」

「うん」

「どっちが告白したの?」

「あー、、、友達の紹介で付き合う事になって」

「そうなんだ、、、」

「鈴宮くん、木村さんの事、好きだったの?」

「その話しはめない?」

「、、、今も好きなの?」


はぁ、、、と溜息をいた。


「好きだけど?それが何?」

「好きだから虐めたの?」

「ぐっ、、、」

「木村さん、凄く嫌だったって、怖がってた」

「ああ、そうかよ、、、悪かったな」

僕に言われて、カチンと来たみたいだ。でも、お店の中だからか、大きな声を出さない。

「内出血してたよ」

「え?」

「木村さんの腕、強く掴んだでしょ?」

「、、、ごめん」

「僕に謝っても、、、」

笑う。何だ、意外と良い人かも、、、。

「本人に謝れば良いのに」

「いや、嫌われてるの知ってるから、、、」

「嫌われてるのに、好きなんだ」

「、、、自分ではどうにも出来ないだろ?」

「そうだね、、、」


 僕もまだ、達也の事、好きだもん、、、。


「にぃに、ガチャガチャ見に行こう!」

鈴宮くんの妹が、誘いに来た。

「ごめん、色々話せて良かった」

彼はそう言って、ペコリとお辞儀をして、妹の手を繋いで本屋を出て行った。



**********



 夕方、私が学校から帰って来ると、鈴宮くんがエレベーターの横に立っていた。


 はぁ、、、と溜息をく。


 彼を避けながら、ボタンを押すと

「ごめん、、、」

と小さく聞こえた。

「え?」

つい声が出てしまった。

「この間、内出血してたって、、、ごめん」

「、、、」

「それから、イヤな事ばかりして悪かった」


 びっくりし過ぎて声が出ない。


「舘野が、内出血の事、教えてくれた」


 そうなんだ、、、ん?何で?


「この間、本屋で会って少し話したんだ」


 私は彼を見ない。

 エレベーターの扉が開いて、私だけが乗った。扉が閉まって、ホッとした。


 、、、謝ってくれた、、、



**********



 廊下の端に、誠と二組の鈴宮が一緒にいる。

 アイツら知り合いだったのか?


 初めて知った。誠を怒らせてから、何もかもが上手く行かず、面倒に感じた。綾とも別れた。

 鈴宮とは小学校が違う、誠は部活も委員会も入っていない、一体どこで知り合ったんだろう、、、



**********



 朝、鈴宮くんに呼び止められて、廊下の一番端で話しをした。

「美雨に謝ったよ、、、内出血の事、後、イヤな気持ちにさせた事」

「仲直りしたの?」

「それは無理だよ、、、。美雨は俺が嫌いだから」

「そっか、、、」

「でも、ずっと謝りたかったから、、、」

「うん、、、」


 うーん、言葉が続かない、、、。



*****



 昼休み、木村さんに声を掛ける。

「ちょっと、良いかな、、、」

彼女は椅子を引き、僕に着いて来た。

 最近は音楽室の前が定番になっている。

「鈴宮くんに話しを聞いたよ。謝ったって」

「うん、びっくりした」

「、、、もう、付き合ってるフリしなくても良いかなって、、、」

木村さんは少し考えて

「うん、、、多分大丈夫」

と笑った。鈴宮くんは、そんなに嫌なヤツでは無いと思う。だから、木村さんが心配する様な事、無いんじゃないかな。

「もし、何かあったら相談してくれれば良いし」

「有難う、、、色々ごめんね」

彼女はそう言って、教室に戻って行った。


 僕も遅れて教室に戻る。



**********



 最近、舘野くんと鈴宮くんが一緒にいるんだけど、どうして、、、?

「木村さん、お早う」

と挨拶する横で、鈴宮くんがペコリと頭を下げる。

 下駄箱で靴を履き替え、二人の後ろから階段を登る。鈴宮くんは舘野くんに

「じゃあ」

と言って二組に入り、私達は一組に入る。

 鞄の中身を机にしまい、横に掛けた。


 あの二人、仲良くなってる?

 何だか変な感じだ。



**********



 俺は一組の教室、後ろのドアから舘野を呼んで貰う。

「誠っ!」

一番近くにいた男に頼んだら、めちゃくちゃ睨まれて舘野を名前呼びした。舘野の友達かな?

 誠っ!と呼ばれて、舘野は肩をビクッとさせて振り向いた。舘野の延長線上に美雨がいた。後姿。美雨を見れて良かった。

 舘野は、ドアの近くまで来て

「どうしたの?」

と聞いて来た。

「あのさ」

と言いながら廊下に出る。

「買い物、付き合って欲しいんだ」



**********



 結局僕は、鈴宮くんに本当の事を話した。

 木村さんとは、紹介されて付き合っただけで、今はもう付き合っていない事。それから、木村さんが鈴宮くんの事を怖がっていた事。

 彼は静かに聞いていた。身に覚えがあるからか、木村さんを責める事は言わなかった。暫く考えて

「分かった、気を付ける」

と言った。

 それから、挨拶をする様になり、帰りに会えば信号機まで一緒に帰った。



 彼が僕の教室に来て、買い物に付き合って欲しいと言う。

「美雨、もうすぐ誕生日なんだ」

「そうなの?」

「それで、、、」

「ああ、プレゼント?」

「お詫びもしたいし」

「良いよ」

「もし、美雨の好きな色とか、物が分かればと思って」

「探れば良いの?」

ぼくは笑った。鈴宮くんが恥ずかしそうに、少し視線をそらした。

「出来れば」

「頑張ってみるよ」

「週末、買いに行きたいんだけど」


 僕達は、土曜日に買い物の約束をした。



*****



 木村さんの持ち物を盗み見る。

 文房具はシンプルだ。筆箱も薄い水色で、柄は入っていないし、文字やイラストも無い。前にハンカチを使っていたけど、あれも小さなタオル地で派手な感じはしなかった。

 みんなが鞄に着けているキーホルダー。彼女のもチェックする。10センチ位のぬいぐるみが一つ着いていた。



*****



 女の子が、何が好きかなんて分からない。可愛い物は一杯有るけど、可愛いにも個人差があるだろうし、木村さんが好きな物なんて見当が付かない。

 

 鈴宮くんと二人で買い物に来たけど、どの店で選べば良いか分からないし、取り敢えず文房具を見に行く。

 木村さんの好きな物が分からないから、何を見てもピンと来ない。

「妹、連れて来れば良かったかな、、、」

困り果てた鈴宮くんが言う。

「あ、、、これ、木村さんの鞄に着いてた」

女の子が好きそうなお店に二人で入り、肩身の狭い思いをしながら商品を見ていた。ぬいぐるみが置いてある一角に、ウサギがいた。

 鈴宮くんがぬいぐるみを手に取る。掌からはみ出る位の大きさだった。

「うわ、気持ち良い。触ってみてよ」

と差し出した。両手で受け取り、いじくる。

「ホントだ。めちゃくちゃ気持ち良い」

「これにしようかな」

鈴宮くんは値段をチェックして、暫く悩んでからレジに行く。

「プレゼント用でお願いします」

と声を掛けて、金額を支払った。ラッピングが出来るまで近くで待つ。


 

**********



 俺が友達とフラフラしていたら、誠と鈴宮が一緒にいた。

 ぬいぐるみコーナーで、うさぎのぬいぐるみを弄っている。誠の顔が嬉しそうで嫌だった。

 鈴宮が値段を見て、レジに行く。それを横目で見ながら、友達が隣のスポーツ店に入って行くのを追い掛けた。


 鈴宮が羨ましかった。自然に隣に立っている。


 誠、、、俺の事なんて、何とも思って無いんだろうな、、、。

 


**********



「木村さん」

舘野くんに呼ばれた。

「一緒に帰ろう」

と言われて、びっくりした。彼はそう言うタイプでは無いし、そう言う関係でも無い。まぁ、信号までの短い距離だ。

 一緒に教室を出ると、舘野くんは二組の教室を覗く。

「鈴宮くん!」


 ギョッとした。私が彼を嫌いだって知ってるのに。


 私は思わず視線を逸らす。

「一緒に帰ろう」

と舘野くんが言っている。


 何で?


 私は何も言えず、着いて行く。知らん振りをして離れてしまおうとしたのに、舘野くんに話し掛けられるから、距離を置けない、、、。

 ま、信号で別れるから良いんだけど、、、。

 と、思っていたのに、彼は一緒に信号を渡った。

 30メートル程歩き

「ね、公園寄って行こうよ」

と言い出した。返事も待たずに彼は曲がる。


 何で?


 すぐ近くの公園。小さな小さな公園で、ブランコと滑り台しか無い。幼稚園生が遊ぶ様な公園だった。

「木村さん、鈴宮くんが渡したい物があるんだって」


 え?


 舘野くんが言うと、鈴宮くんが鞄からラッピングされた物を出した。

「きょ、今日誕生日だから、、、後、今までごめん」


 えー、、、?!


「あ、ありがとう、、、」

「じゃ、僕は此処まで、後は鈴宮くん、頑張って」

「うん、サンキュ、、、」


 えー、、、



**********



 鈴宮くんは、折角買ったプレゼントをちゃんと渡せるか不安そうだった。不安過ぎて、緊張して渡せないんじゃ、二人の距離は縮まらない。僕は彼が、ちゃんと渡せる様にしただけだった。


 後は鈴宮くんに任せて、僕は帰る。信号の先に達也がいた。


 

 信号を渡り切り、もう一つの信号が変わるのを待つ。

 達也が僕の横に、距離を開けて立った。何も話さない。

 信号が青に変わり、僕達は歩き出す。

 いつも一緒に帰っていた。彼と話しをしなくなって随分経った気がする。

「誠、、、」

少し後ろから声がした。

「木村さんと上手くいってる?」


 そっか、まだ付き合ってると思ってるんだ。


「最近、鈴宮と仲が良いんだな」


 へぇ、、、僕の事、見てくれてたんだ。、、、ちょっと嬉しい、、、。


「俺はもう、誠の一番の友達じゃ無いんだな、、、」

「、、、達也には友達が沢山いるじゃ無いか。僕より仲の良い友達、一杯いるだろ?」

「、、、それはそうだけど、、、俺には誠が一番だから」


 ははっ、、、笑える。


「通学時間しか一緒にいなかったのに、一番だったんだ、、、」

「うん、、、でも、誠は俺が一番じゃ無かっただろ?俺の友達と一緒に遊ぶ事無かったし、人見知りするから無理に誘わなかった」

 

 達也が一番じゃ無いなんて、勝手に決めないで欲しい、、、


「達也は身体を動かす事が好きだったし、友達が多かったから、休み時間は外に出てばかりだったよね?僕は外より教室にいる方が好きだっただけ。僕にも達也は一番だったよ」


 後少しで分かれ道だ。


「、、、今は?」

「え?」

「今は、木村さんと鈴宮が一番?」

「、、、木村さんは、達也に勧められたから付き合っただけ、別に好きとか無いよ」

「鈴宮は?」

「、、、この話、長くなるけど、、、」

「良い、聞きたい、、、」


 僕達は、分かれ道にあるコンビニの角で、ガードレールに寄りかかって話しをした。


「木村さんと、一週間だけ付き合えば良いと思ったんだ。木村さんも納得して無いみたいだし、達也と綾ちゃんも僕達が付き合えば満足すると思った。一週間経ったら別れれば良い、って考えた。でも、鈴宮くんと木村さんがトラブって、もう少し付き合ってるフリをする事になった。木村さんは小さい頃、鈴宮くんに意地悪をされていた時期が有って、怖がっていたから。だけど、鈴宮くんは木村さんの事が好きだった。鈴宮くんと話しをしたら、そんなにイヤな奴じゃ無いし、木村さんの事好きなら仲良くなると良いなって、協力したくなったんだよ」

「二人で買い物してた」

「うん、木村さんの誕生日が今日で、、、。どうして知ってるの?」

「買い物してる所を見たから」

「そっか」


 そうなんだ、、、。


「鈴宮くんは、木村さんの誕生日だからお祝いしたいかったんだ。今までの事も謝りたくて、一緒に買い物に行った」

「すごく、仲良さそうだった。誠が笑ってて、、、羨ましかった、、、」

「何だよそれ、、、」 

「、、、」

「、、、僕は、綾ちゃんが羨ましかったよ、、、。校内では達也の横に行けなかったから、、、」

「、、、」

「ま、そう言う訳で鈴宮君と一緒にいたんだ」

「、、、俺は?」

「、、、」

「俺はもうダメなの?」

「ダメ?」

「、、、友達にもなれない?」

「、、、そうだね、、、友達は辞めよう」

「何で?」

「、、、」

「俺は、誠の一番の友達が良い、、、」

「、、、それで、また女の子紹介して、良い事したって顔すんの?」

「そんな事」

「はっきり言って嫌だった。学校で、綾ちゃんと二人で木村さんを紹介されて、いい迷惑だった。、、、僕に好きな人がいるとか、木村さんに好きな人がいるかもって考えなかったの?」

「誠、好きな人、いるの?」

「、、、いるよ」

「い、いつから?」

「小学生の頃から」

「知らなかった、、、」

「隠してたからね、、、だから、もう、友達辞める」


 僕はこれでお終い、とガードレールから離れた。


「誰?」

「え?」

「誠の好きなヤツって、誰なの?」

「、、、達也だよ」



 これで本当に友達には戻れない、、、達也は僕を軽蔑して、きっと離れて行くんだ、、、



**********



 待って?


 誠の好きなヤツが俺って、どう言う事?


 え?ちょ、、、っと、待って?


誠は、点滅する信号を渡ってしまった。


 ああ、どんどん先に行ってしまう。


なかなか変わらない信号に、イライラする。やっと変わった信号を走って渡り、誠を追い掛けた。


「誠っ!」 

彼の腕を掴む。怒っている様な、泣き出しそうな顔で俺を見る。

「あの、、、」


今、離れたら終わる、、、。


 誠が、マンションのエントランスの鍵を開ける。俺は何も言えず、着いて行く。

 一階の彼の家。玄関の鍵を開け、ドアノブを回して動きを止めた。

 他の住人が後ろを挨拶しながら通る。此処で立ち話は目立つな、、、。

「入って」

誠が言う。

「うん、、、」

「どうぞ」

と言って、扉を大きく開けた。

 誠は玄関横の部屋に入る。俺も着いて行く。彼は鞄を置いて、制服の上着を脱いだ。

「ちょっと待ってて」

と言って部屋を出る。俺は誠の机の椅子に座り、部屋の中を眺めた。昔と変わらない、、、。

 机の上には余計な物が無くて、整頓されていた。

 台所からカチャカチャと音が聞こえる。暫くして、誠がコップに水を入れて、持って来てくれた。

「ん」

と言って手渡される。

「ありがと」

受け取り、口を付ける。冷たい水が上手い。

 誠も水を飲むと、コップを机に置きベッドに座った。

「何か言いたい事があるなら、今言って。これで最後にしよう」

「最後?」

「もう、近寄らない、絶対に」

「何でそんなにかたくななんだよ」  

「、、、傷付きたく無い、、、」

「傷付かないよ」

「女の子、紹介されて傷付いた」

「二度と紹介しない」

「僕と一緒にいても、詰まらないよ」

「分かった、、、俺も友達やめる、、、それなら良い?」


 誠がグッと手を握った。唇をキツく結び、何かを我慢している。


「恋人になる、、、」

「え?」


眉間に皺を寄せ、何を言ってるの?と言う顔をする。

 ギ、、、と音を立てて椅子から立ち上がり、誠の前に立つ。

「俺も誠が好きだから、友達辞めて恋人になる。両思いだから問題無いだろ?」

「両、、、思い?、、、だって綾ちゃんと付き合ってた」

「ずっと好きだったのは誠、、、。でも、付き合うとか出来ないと思ってた。男同士だから、諦めてたんだ。だけど、誠も俺の事好きなら、諦める事無いよな?」


 誠は俺の目をジッと見た。少し瞳が左右に揺れる。彼の瞳が潤んで来た。

「待って、、、」

視線を落とし

「受け止め切れない、、、」

俺は彼の頬に触れた。

「いつから、、、?いつから好きだったの?」

もう一度俺を見てくれる。

「かなり前から、小学生の低学年の頃には、特別の好きだった」

「、、、」

誠の瞳に涙があふれて、こぼれた。

 


**********



 舘野くんが帰ってから、鈴宮くんは何も言わなかった。何かを言いたそうだったけど、言葉を探して諦めたみたいだった。

「帰ろうか、、、」

一言言って歩き出す。公園を出て、マンションに着くとエレベーターのボタンを押す。6階と7階。

 もうすぐ6階に着く。お礼を言わないと、、、。緊張する。「あの、、、」と言いたいのに、喉が詰まる。

 エレベーターが開き、癖で「開」ボタンを押す。鈴宮くんが降りた。

「ありがとうっ!」

思い切り大きな声が出ちゃった!



 鈴宮くんは振り向いて、にっこり笑った。



*****



 家に着き、自分の部屋でプレゼントを開ける。うさぎのぬいぐるみだった。私の鞄に付いてる子と同じ。触り心地が良い。悔しいけど、嬉しかった。頬擦りするとうっとりする。

 私はそっと枕元に置いた。鈴宮くんの事は嫌いだけど、この子は大好き、、、。



**********



 朝、エントランスを出ると達也がいた。

「え?」

「迎えに来た」

「何時に来たの?」

「10分前」

「早過ぎじゃない?大丈夫?」

「先に行かれるの、イヤだから」

「そっか、、、」

「今度、買い物に行きたい」

「良いよ。いつ?」

「いつでも」

「今日の放課後とか?」

「うん」


僕達は、放課後買い物に行く約束をした。二人で出掛けるの、、、初めてだ、、、。



 放課後も勿論一緒に帰った。達也の方が家が遠い。でも、バス停は彼の家の方が近い。

「着替えたら、家まで迎えに行くよ」

「分かった」

 あれからまた、二人で登下校するけど、まだ学校では一緒にいられない。達也には達也の友達がいるから。

 会話もちょっとぎこちない。



 達也は、鈴宮くんが木村さんにぬいぐるみを買ったお店に、入って行った。

「これ、誠にプレゼントしたい、、、」


 あのうさぎだった。


「え?何で、急にどうしたの?」

「あの時、誠が嬉しそうに触ってたから、欲しいのかな?って」


 まぁ、触り心地も良いし、可愛いけどさ、、、


「これ貰ったら、木村さんとお揃いになるよ?」

達也は、そっと棚に戻した。

「じゃあ、ダメ」


 ヤキモチかな?


「達也は好きな動物とか、好きなキャラクターいるの?」

「うーん、ゲームしかやらないから」

うさぎの横のラッコを弄りだした。


 ふふ、、、と笑う。気に入ったのかな?


「誠に似てる」

「じゃあ、達也に似てるのは、、、」


 シベリアンハスキー、、、


「これだね!」

僕がシベリアンハスキーのぬいぐるみを達也の顔に並べて

「ほら!そっくり!」

と笑うと、僕の手を掴みながら

「じゃあ、コレにする」

と言った。触れられた手から、熱が身体中に回るみたいで恥ずかしかった。

「コイツと毎晩一緒に寝て」

耳元で囁かれた。

「俺の代わりに大事にして」

ぬいぐるみを持った手に、キスをされた。


「いいいいい、いつからそんな、気障な男になったんだよ!」


小声で叫ぶ。


「だって、誠を誰にも取られたく無い、、、。誠に格好良いって思って欲しい」

僕の心臓は壊れそうな位ドキドキしてるのに、達也は平気な顔をしてレジに行く。

「ラッピングして下さい」



 彼の後ろ姿の耳が、赤かった。



*****



 帰りのバスは結構混んでいた。会社員と学生で満員だった。押し潰されそうになる僕を、達也は心配してくれる。

 幾つかバス停に停まる度に人が降り、僕達も二人掛けの椅子に座る。

 窓の外が暗くなり、鏡の様に車内を映す。


 達也がそっと手を繋いだ。


 わぁ、、、


 顔を見ると、窓枠に肘を掛け、頬杖を着いている。窓の外を見る横顔が格好良かった。


 こんなに大人っぽい顔だったかな、、、。


 僕の彼氏なんだ、、、。

 嬉しかった。




いつまでもお幸せに!

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