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7/11

何度も何度も手に入れる

理解が、また脳内に流れ込む。


《能力:時間逆行》

《効果:10秒前に時間を巻き戻す》

《クールタイム:10秒》


もう、何度目か分からない。


私は戻っては触れ、

触れては戻り、

同じ能力を取り続けていた。


脳内の一覧には、

同じ文字列が、いくつも並んでいる。


《時間逆行》

《時間逆行》

《時間逆行》


……見慣れてきた。


その時、ふと、邪神の言葉が頭をよぎった。


――能力は、組み合わせることができる。


心臓が、強く鳴る。


――組み合わせ。


――同じ能力でも……?


脳内を探ると、最初に手に入れた《時間逆行》の感覚が、はっきりしていた。


――クールタイム……もう、終わってる。


私は、少しだけ息を整えた。


恐る恐る、二つの《時間逆行》を、意識の中で重ねる。


次の瞬間――

情報が、書き換わった。


《能力:時間逆行》

《効果:1分前に時間を巻き戻す》

《クールタイム:1分》


……え。


思わず、呼吸が止まる。


――20秒じゃ、ない。


――1分……?


胸の奥が、ざわつく。


――増え方が……おかしい。


でも、今は考えるより先に、確かめるべきだった。


私は、能力を使った。


世界が、深く引き戻される。


さっきより、明らかに長い。

音も、動きも、まとめて後ろへ引き延ばされる。


――……戻ってる。


――1分、前。


間違いない。


私は、唇を強く噛んだ。


――じゃあ……。


――これを、さらに……。


私は、また光る板に触れる。

また《時間逆行》を手に入れる。


《能力:時間逆行》

《効果:10秒前に時間を巻き戻す》

《クールタイム:10秒》


それを、既に持っている《時間逆行》と組み合わせる。


能力が、また書き換わる。

時間が、伸びる。

クールタイムも、伸びる。


私は、それを繰り返した。


戻って。

取って。

組み合わせて。


何度も。

何度も。


恐怖は、まだ消えない。

でも、それ以上に、

頭の中が、異様なほど冴えていた。


そして――

ある考えに、行き着く。


――これを使えば……。


――光る板にある能力、全部……。


喉が、鳴る。


――全部、取れる。


私は、周囲を見た。


人々は、まだ能力を奪い合っている。

叫び声。

押し合い。

混乱。


――間に合う。


――今なら……。


私は、決断した。


能力を、使う。


今度は、もっと大きく。


時間を、さらに巻き戻す。


白い空間が、遠ざかる。

ざわめきが、薄れていく。


邪神の声が、まだ響く前。


掲示板が現れる、前。


――邪神に拉致された直後。


世界が、静止する。


私は、そこに立っていた。


すべてが始まる、直前の時間に。


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