間違え
どうしてこうなってしまったのだろうか。
すべてが上手く行かなかった。
これまで選択した決断がことごとく裏目に出てしまった。
どうしてそんな選択をしてしまったのだろうと後悔ばかりが募ってしまう。
「俺が悪かったんだ。これからは心を入れ替えるよ! 許してくれ!」
離れていく愛する人に俺は叫ぶことしかできなかった。
周囲に人の姿がないことだけが救いである。
彼女にその叫び声は届かず、彼女は離れていく。
彼女の心はすでに離れてしまっている。
その原因はすべて自分自身にあるということはよくわかっている。
俺はまだ彼女とやり直したい。
俺は彼女のことを心から愛しているからだ。
どうすれば離れてしまった彼女の心に俺の言葉が届くのだろう。
「ごめんな……。こんな俺で……。それでも俺は君の事を愛しているんだ!」
地面に膝ついてしまった。
顔に涙が流れている。
愛する人に見捨てられてた事と、優しい彼女にそんな決断をさせてしまった自分の情けなさに涙が出てしまった。
「ごめんな……。ごめんな……」
地面に涙がこぼれ落ちる。
「幸せになってくれよ!」
俺は彼女に向かって再び叫んだ。
すると彼女の足が止まった。
彼女に俺の言葉が届き始めている。
「これまでありがとう! あすか!」
「あなたは最後までそうなのね!」
彼女はそう叫ぶと、バッグを地面に叩きつけた。そして怒って、目の前から消えてしまった。
最後の最後に彼女をブチギレさせてしまったようだ。
彼女の名前は『あかり』なのだ。
しまった! 別の女と間違えたと俺は再び後悔するのであった。
(了)




