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「ジャナイ方」の異世界見聞記  作者: 那内(元ちみーば)


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09:節制森歩き


 で、馬ちゃんたちはといえば。

 

 馬は賢いってよく聞くけど、付いてきた馬ちゃんたちも例に漏れずとっても賢い。


 草食動物らしく異変に敏感。視界の悪い森の中でも、怪しい気配がしたらササっとあたしの側に寄って来る。

 その行動であたしも警戒を強め、ギフトを切り替えられるのだ。


 凶悪そうなでっかい魔獣がバアーと現れても、パニックになったりしない。ステルスモードの効果を信じているようで、落ち着いてやり過ごす。


 野宿でのマナーも完璧。シッコやウンは、あたしのいる場所から離れた所でやる。

 どうも最初にあたしの足元をヒタヒタにしたのを反省している気もするね。

 良い子たちだ。


 餌代もかからない。なんせそこらに生えてるから。

 ただ本格的な冬が来て、もし雪が降ったら食べられなくなるかも。なので、ちょくちょく草刈りして溜め込んでいる。


 草刈りは買ったナイフじゃ小さくて苦労しただろうが、安心して下さい!

 吹っ飛ばした時、御者モドキが長めの短剣を落としていったんですよ。せっかくなので頂戴しました。慰謝料代わりです。


 なので刈るのは問題ないけど、二頭が一日に食べる量からするとまだ微々たる量しか貯蓄できていないので心配だ。


 あたしの餌も、だね。

 王都を発ってはや半月。買い込んだ食料は減り続けてる。

 一日二食ぐらいに抑えてはいるんだけど。


 でもこれ以上の節制は死ぬ。

 一日の三分の一は歩き、三分の一は草刈り、三分の一は睡眠。

 摂取と消費エネルギーのバランスが合ってない。


 ダイエット要らずでちょっぴり痩せたかもーとか言ってる場合じゃないんよ。マジでヤバい。


 ゆえに、採取路線に切り替えました。


 秋の山林なので恵みは多い。

 木の実、キノコ、果実、葉っぱ。

 あと川が流れてたので、魚釣りもした。


 食材になり得るものは多い。

 問題は、それが食べられるかって点。特にキノコは……。


 派手な模様のキノコは流石に採取しないけど、落ち着いた色合いだって気が抜けない。だって異世界だもの。


 毒性がパッと見分からない物は、テレビでやってたサバイバル術を少し知ってたのでマネをした。

 汁をちょびっと肌に塗るパッチテストや、ちょびっと舌に乗せてピリリとしたのを避けて調理するんだけども。

 その手法では探知し切れない事もあり。たまに熱を出して寝込む羽目になる。

 そういった類は微毒らしく、だからまだ生きてるのは幸運、なんだろうか……。


 鑑定能力が欲しいな、と思う今日この頃。


 なんなら、ネット通販タイプの能力も欲しい。

 ポテチ食べたい。お茶飲みたい。ケーキも食べたい。マットレスも欲しい。

 おにぎりはたまに一口食べてストレージバッグに戻すのを繰り返している。非常にさもしいが、食べ切ってしまえば二度と米にありつけないかもしれない、そう思うと……。


 お金さえあってポチれば必要な物が手に入る……非常に羨ましいです。


 まあ、今お金ないけど。


 王都で、必需品を購入するのにほぼ突っ込みましたが何か。

 暫く山林に籠もるのが確定してたからね。パァっとはたいたよ。残金小銅貨三枚。

 日本円で言うと三百円くらいかな?


 隣国に着いたらどうしようねえ、ハハハ……。

 泊まるアテも稼ぐアテもないが、今は考えないようにしている。


 異世界といえば冒険者でしょ? 薬草の採取ぐらいならできるよ、てかやるよ?

 と思ったのに、この世界は冒険者ギルドなるものがなかったのだ。

 それともバランドルの王都だけに無いのかな? 隣国に期待したいとこだ。


 なかったらどうしようね。

 世知辛くて泣く未来しか見えないね。



 ――ついでに言うと。


 肉に関しては半分以上諦めている。


 考えてみて下さい。日本の現代っ子の大半は狩りをしません。

 こんな事ならマタギ修行でもしとけば良かった、なんて今言っても遅い。


 万が一あたしが獲物を仕留めたとして、だよ。

 その毛皮を剥がして解体してとか、できる訳がないです。


 小動物なら?

 余計に無理ぃい!!


 ウサちゃんとか、狐ちゃんとか、狸ちゃんとか? 小鳥ちゃんとか?

 それに似た生き物は時折見かけるけどね?


 現代っ子にとって、小動物は食いもんじゃない! 愛でるものなんだよぉお!!

 この価値観はもう刷り込みみたいなもんだよ、空腹と引き換えにしたって可愛い生き物達を口に入れたいとは思わないです!


 ……襲って来る凶悪なヤツなら考えるけど。

 でもあたしのギフト、倒す力じゃないんだよね。吹っ飛ばす力なのよ。その場に残らず遠くへフェードアウトする素体をどう捌けと……。


 タンパク質は魚から摂れるので、肉は現時点では諦めるしかない。

 せつないけども。


✵✵✵


 そんなこんなで更に数日が経った。


 ここで一つ思い出す。

 聖女召喚の理由が『瘴気』だとか言ってたこと。


 なんで思い出したかって、こごった黒い煙みたいなモヤが最近見えるようになったからだ。

 この場合、視える、か?


 コレが瘴気なのかな、と目の前のモヤを見つめる。


「あ」


 手を伸ばして触ろうとすると、吹っ飛ばしモードが発動した時みたいに霧散してしまった。


 何やらあまりにも簡単に消えてしまったので、大して危険だとも思えないんだが……。

 でも馬ちゃんたちは、コレが漂ってると怯えるんだよね。


 あたしを頼って側に寄る様子は可愛いけど、怯えさせたくはない。

 なので見つけたらガンガン消そうと思います。


 ていうか、さ。

 あたしのこの力って、浄化とは違うの?


 うーむ、聖女の持ってるのは『聖浄化』だよね。

 それが瘴気を清めて消滅させる力なら、あたしの力はその場から祓う感じだろうか。

 浄霊と除霊の違い、みたいな?


 ま、馬ちゃんたちの周りから消えてくれれば良いので、細かい事はどうでもいいか。


※主人公は「異世界だもの」と言ってますが、地球にも落ち着いた色の毒キノコは生息しています。

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― 新着の感想 ―
 那内様の仰るとおりで、現実世界のキノコも地味な色合いをしていて危ない物がたくさんあります。図鑑を見る限りでは地味な方が多いくらいです。そして恐ろしいのは、地域によって「毒キノコ」が「食用キノコ」とし…
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