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「ジャナイ方」の異世界見聞記  作者: 那内(元ちみーば)


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8/22

08:みちのく一人+二頭旅


 膝丈をゆうに越えた、ボウボウ伸び放題の雑草を掻き分けながら進む。


 ガサゴソガサゴソ。

 ガサゴソガサゴソ。


 深い森みたいだけど、今は日が昇ってるから光が差し込んで然程に怖さは無い。

 夜になると真っ暗だろう。ランプはあるものの、魔物か獣か惹きつけそうだし、手が塞がるのは避けたい。

 夕方までには寝る場所を確保しないといけないかな。


 ガサゴソガサゴソ。

 ガサゴソガサゴソ。

 ブルルッ。


 ……そういえば、冬に山を越えるのは専用装備でもないと難しいんだっけ。というか、ベテラン登山家でも冬山での痛ましい事故は起こるっていうし。

 春が来るまで、どこかに拠点を作って過ごす方が良いのかもしれない……。


 ガサゴソガサゴソ。

 ガサゴソ。

 ブルルッ。

 ヒヒン!


 …………………………。


 さっきから……。

 いや森に入ってからずっと、気付かないフリをしてたけど……。


 限界だよね。

 観念して振り向いた。


 3メートルほど離れたそこで、二頭もピタリと止まる。


 そう。お馬ちゃんたちだ。


 街に帰れと促したにも関わらず、あたしの後をずっと尾行してくる。


 どうやら懐かれた模様。

 あたしも動物は嫌いじゃないし、通常なら嬉しいんだけどさ。


「……あのね? あたしさ、この山林を抜けなきゃならないの。危険は承知でさ。付いて来たら危ないよ? お前たちは、王都に帰った方が絶対安全だと思う」


 ブルル。

 ヒヒン。


 二頭はそれぞれキラキラ輝く目を向けていた。

 ……聞いてる?


 いや、これはもしや、あたしの側にいた方が安全だと思われてる?


 そりゃ【パーソナルエリア】の効果は抜群みたいだけどね?


 あと、二頭ともちょっと薄汚れてたから、魔法でちゃちゃっと綺麗にもしてあげたのよ。

 馬はこまめに体を洗わないと病気になりやすいって聞いた事があるから。二頭とも高齢馬のようだし。


 いやでもね。

 あたしにどうしろと……。


 困っている間も向けられる、キラキラのおめめ✕4。

 圧倒的な信頼がそれに込められてる気がする。たった一日に満たない付き合いなのに。


 う、うーん……?

 …………。


 いや、ここで街に帰したとして……。

 途中で別の獣とかに襲われたりしない?


 それか、とんでもなく腹ペコの盗賊とか、旅人とかがいたら捕まって食……。

 運良く善人に保護されたら、とは思うけど。この世界にも善い人は、いるだろうけど。


 あたしはこの国に、期待できないんだよね……。


 一度、上を仰いで深呼吸した。

 顔を戻し、馬ちゃんたちに近付く。

 二頭の鼻面や首を撫でながら言った。


「……分かった。一緒に行こ」


 自分の先行きすら分からないけど、無理。

 こんなに懐かれちゃって、置いてくのはもう無理。


 面倒?

 見たろーじゃん!

 なんとかなる! なるったらなる!!


✵✵✵


 そんなこんなで、改めて始まる一人+二頭の森歩き。

 割と快適。


『魔の山』の名称通り、魔物は出る。


 最初に襲われたあのハイエナモドキと同じ獣には何度も遭った。


 ゲームでしか見た事のない、ゴブリンやオークっぽいのもいた。


 地球でもいないであろう、5メートル越えかというほどの熊や猪、20メートル長の蛇にも遭遇した。


 しかし今のとこ危害はない。


 あたしのパーソナルエリア、どうやら普段は『敵が一定以上の距離から近付けない』機能があり、意識すると『敵に認識できない』とか『敵を吹っ飛ばす』機能に切り替えられるみたいなのね。


 例で挙げると、寝てる間に御者モドキが攻撃しようとしてもできなかった事象。

 これを通常モードとしようか。

 通常モードは意識してなくてもオートで張られているバリアみたいなもの。あたしの体表の150センチ前後か?

 社会的距離って言われてるギリギリの範囲だね。強度は、成人男性に刃物突き立てられても完全ガード。実証済みさ!


 これが、意識すると認識阻害ステルスモードや、吹っ飛ばしモードになる。


 ステルスモードは、ハイエナモドキがあたしに襲いかかったと思ったらスルーした、あれが参考になるかな。

 指定した対象から見えない、もしくは認知できなくなる機能だと思う。範囲は検証したとこ十メートル前後。あたしを起点にして、馬ちゃん二頭がすっぽり入る。


 吹っ飛ばしモードは、その効果はもはや説明が要らない気もするけど……。

 うーん、魔力を込めるとバリアが拡がって、弾力のあり過ぎるゴムみたいな感じになる……のか?


 分かりやすい例えだと、あれだ。バブルボール。

 見えない膜を纏った状態で体当たりすると、強烈に吹っ飛ばされるんだね。

 対象の指定可能。馬ちゃんにかぶりついたハイエナモドキは吹っ飛んで、馬ちゃんがそうならなかったのは対象外だったからと思われ。

 範囲はあたしを起点に円を描く感じで、最小だと半径3メートルくらい。瞬間的に膨張させるのも可で、周りにいる対象がポップコーン状に吹っ飛ぶ。


 吹っ飛ばされた対象がどこへ行くのかは知らない。

 知る気もない。


 だって深く考えたら怖いじゃん! 御者モドキの人とかどうなったの、とかさあ!

 吹っ飛ばした瞬間に破裂してるワケでもないんだし、どこかで生きてるよ多分。そう思わなきゃやってられないんだ!


 でもやっぱり怖いから、吹っ飛ばしに関しては奥の手という事にしたけどね……うん。


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― 新着の感想 ―
 旅は道づれ、世は情け、ですね。サクちゃんに旅の仲間が出来て良かったと思います。
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