14:干物ちゃんたちは魔力を所望です
ゾロッと集う、茶褐色に干からびた小人たち。
50人くらいいる。
中には種が違うであろう、倍以上大きな小人も10人くらいいた。
その子たちも茶褐色でしなしな。
てか待って。
これを全員助けるとなると、流石にあたしの魔力が枯渇しない?
そう言おうとしたんだけど、中の数人の子は生命力が希薄な事に気付いた。
昨日、干からびて地面に落ちてた子ぐらい。今回ギリギリでなんとかここまでやって来ました、ぐらい。
フルフル震えながら精一杯立ち、見上げてくる集団。
良心やら罪悪感やらがとんでもなく刺激される光景だ。
元気に丸っこくなった先頭のコロポックルがじぃと見つめてくる。
他の子たちもこぞって、しなしなの顔を向けてくる。
…………。
……。
……わ、分かったから、やめて。
縋るようなその目(?)にあたしは弱いんだ…………。
✵✵✵
という訳で。
弱り方のひどい干物ちゃんから優先に、魔力授乳を開始した。
両手の全ての指を大きく開き、鉤爪のように曲げた先を、膝に乗せた十人の干物ちゃんが懸命に吸っている。
そして丸太に座ったあたしの足には待機中の干物ちゃんたちが、わらわら引っ付いていた。
一番最初の元干物ちゃん、今は丸可愛くなった子はあたしの肩で仲間の皆を眺めている。
端からみたらすんごいシュールな光景かも。
ところで、足に引っ付いてる子たちはその行動でも魔力が吸えているのかな?
少しずつ吸われてる感覚はあるけど、微弱過ぎるから吸収率は悪いのだろう。
魔法も手や指でアクションを取ると発動しやすいので、手に魔力を放出する回路みたいなものがあるのかもしれないな。
魔力。魔力ねぇ……。
満腹になったらしくオネムした十人を膝から降ろし、布を敷いた籠(下手くそ手編み)に寝かせてあげながら考える。
手に魔力の回路があるなら、全身から放出するのは無理かも? 世紀末の漫画みたいにオーラが立ち昇る感じの。あれ、カッコ良いからやってみたかったー……。
……じゃなくて。
えっと、『魔力そのもの』は操作できないかな?
魔法じゃなく、魔力。
手の平に集中してみる。
魔力が集まるのは、やはり指先が中心。次に手の平と……足裏? へえ。
すると、干物ちゃんたちがあたしの手の平をガン見しているのに気付いた。
やっぱり魔力を欲してるんだなと再確認しながら、それを彼らに近付けようとしたのだが。
「あ」
同時に集中も途切れたのか、魔力も霧散してしまった。
どことなしにガッカリした様子の干物ちゃんたち。スマン。
……うーん。魔力そのものを操るのは難しいのかな。こんな、ちょっとした動作で霧散するとは。
集中力の問題?
んー、他に何か方法がありそうな――あ。
「これならどうだろ?」
パーソナルエリアで直径5メートルぐらいのドームを作る。あたしを起点に、干物ちゃんたち全員が包まれた。
意識したのは、空調・指定対象の出入りの他『魔力を外に通過させない』こと。
それからもう一度手で魔力を練り、ある程度のところで放ってみた。
干物ちゃんが飛び跳ねて狂喜乱舞する。放った魔力はドーム内に広がり、だが外には出て行かず留まっているのだ。
その魔力を、干物ちゃんたちは跳ねながら取り込んでいる様子。
ちゃっかり肩の子も取り込んでた。キミ、まだ足りなかったの?
まぁしかし、成功だ。
よし、とドンドン魔力を練っては放っていく。
それを繰り返している内に、またもや閃いた。
手の上にボールをイメージする。
パーソナルエリアで作ったそのボールの中へ直接、魔力を練って注入していく。
充分かなと思ったところで手から切り離し、地面にポンと置いてみる。
たちまち干物ちゃんたちが群がった。
これも干物ちゃんたちは通れるように設定してあるので、触れれば中の魔力を吸入できるらしい。
よしよし、これも成功。
……と言い切るにはサイズが大きいか? バスケットボールぐらいをイメージしたんだけど、バランスボール以上に大きくなっちゃった。
ただ、パーソナルエリアについて、一層の理解は深まった。
このギフトは本当に『あたしが嫌だなと思うものを除外し、受認したものを受け入れる』という単純な能力なのだ。
単純だから使い易い上にイメージ次第で改変できる為、汎用性も高い。
割とチートかも?
いや、会った事がないだけで他に『すんごい能力』を持ってる人もいて、あたしの能力程度じゃチートじゃないやもしれないけどさ。
とりあえず、ボール状にもできた。練習すればもっと小さくサイズ調整できるようになる気がする。
すぐ練習したい。けど。
全身が気怠い。これ、魔力を使い過ぎたせいだね。
枯渇して次も無事でいられるんなら、いくらでも使い果たすけど。生憎そんな保証はない。
なので干物ちゃんたちよ。今日はもう店終いです。
見たとこまだまだ足りなそうだが、命の危機は全員脱してるみたいだし。
明日まで休んでも大丈夫でしょ。
そんじゃ。お休みなさーい。




