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「ジャナイ方」の異世界見聞記  作者: 那内(元ちみーば)


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1/22

01:ジャナイ方召喚された

転移モノ連載です。

時々R15、残酷な描写、ご都合主義やチート等もございますので苦手な方はご注意を。


 は? と声にならない疑問が吐息と共に漏れた。


 白や灰を基色とした広々とした空間。

 三階分はあろうかという高い、ロマネスク様式に似た丸天井。

 一定間隔で並ぶ巨大な柱。

 正面には、翼を生やし両腕を広げた穏やかなかおで広間を見下ろしている女性の像。


 大聖堂としか形容できない、ここはどこだ?

 

「おお! 聖女さまが現れたぞ! 召喚は成功だ!」


 あたしをグルリと囲んだ人々が喝采を叫ぶ。


 魔道士風のローブを纏った人、神官風の人、金属の甲冑姿の人、人、人。

 西洋RPGが具現化したとしか言い様のない光景に呆然とする。


 いや、『あたし達』か。

 あたしの隣には、同じく驚き固まってる制服姿の女の子がいた。


 直前、歩道ですれ違った子だ。サラサラの髪は染めているのか栗色。ぱっちりした大きな目は優しげに垂れている。


 ほえーめちゃくちゃ可愛いな、と思った瞬間。

 あたしとその子の足元に魔法陣ぽい模様が光り輝き、気が付けばここにいたのだった。


「え、え。これってまさか異世界召喚……!?」


 女の子が口元を両手で押さえながら言った。即座に理解するとは、なるほど君も異世界モノを嗜んでいるのかな?


 チラとその子を見れば、目が合う。するとその子は自分以外にもう一人いる事に今しがた気付いたらしくギョッとしたようだ。

 が、あたしを上から下まで眺めた直後、ニヤっと勝利の笑みを浮かべる。


 おぉい! 今ナニ考えたか分かったぞ!


『顔、普通。年上。スウェット上下に百均エコバックぶら下げたダサ女』


 だろ!?

 仕方ないじゃん、今日は大学休みで、寮に籠もるつもりで、でも昼ご飯がなくて急遽コンビニに買いに行ったんだもの!

 寧ろ日曜なのになんで制服着てんの、とキミに問いたいよ!


 って、そんな場合じゃない。

 あたしはゲームならRPG専門で、漫画は乱読派。小説だと異世界モノ中心に読む。

 だから予測してしまう。これが本当に『聖女召喚』だとしたら、平凡顔の自分と可愛い女子高生って……。

 不味いパターンじゃない?


 どくどく鳴る心臓の音を感じつつ、周囲の様子を窺っていると、囲んでいた人垣が割れた。

 現れたのは、いかにも西洋の王族な感じの、きらびやかな衣装を纏った青年。

 金髪碧眼で大変な美形。


 そして嫌な予感を肯定するが如く、青年はあたしと隣の女の子を見比べ、当たり前のように真っ直ぐ女の子に近付き跪いた。


「聖女よ、よくぞ召喚に応えて下さった。俺はアーナンド・ゲルリス・バランドル。我がバランドル王国の王太子だ」


「王太子……王子さまってことですよね!? わ、わたしは姫奈です!」


「ヒメナ……良い名だ」


 立ち上がり、優しく見下ろす王子とうっとり見上げる『聖女』ことヒメナさん。


 美男美少女が一目で惹かれ合う……定番ですね。普段ならあたしも羨ましいキィーとハンカチ噛みつつ盛り上がるところだよ。

 でももう一人いんのよ。キミら、透明人間扱いしてるけどさ。『召喚』されちゃった奴がさぁ!


 てか、もはや事態は『不味いパターン』に向かって収束してる気がしないでもないけど。


 花を飛ばしてる二人を横目にこれからどうなるのか、どうすべきなのか頭をフル回転させていると、神官風の男性が進み出て来た。


「王太子殿下。恐れながら、『聖女』候補はお二人いらっしゃるようです。『鑑定の儀』を進言致します」


「ああ……『聖女候補が複数召喚された場合、真なる聖女を明らかにすべし』だったか。昔、とある国の愚かな王族が本物の聖女を追放し、姿だけは美しい偽物を優遇した為に国が滅亡した。故に召喚を行った国の義務となったのだったな、鑑定は。一応は試さねばならぬか……」


 説明ありがとね!

 けど、あたしにチラと向けた目が「コイツなワケねーだろうが」と語ってるよ!

「一応」とも口に出ちゃってるし!


 ていうか、昔の本物聖女さま追放されてんの?

 今は儀式とやらで本物が分かるとして、ジャナイ方をどうするつもり?


 そんな事をグルグル考えてる間に、ソフトボール大の水晶が用意された。


 王太子はヒメナさんに、水晶に触れるよう優しく促す。

 ヒメナさんが触れると、水晶の上に『ステータス』みたいな半透明のボードが浮かび上がった。


◇◇◇

名前:ヒメナ・ユズノキ

年齢:17歳

ギフト:聖浄化、言語理解

魔法:光魔法

魔力:大

◇◇◇


 おお! と広間から歓声が挙がり、王太子も興奮したように叫ぶ。


「『聖浄化』のギフトと『光魔法』! 間違いなくヒメナが聖女だ!!」


「え、えぇ〜? わたしがですか!?」


「王太子殿下、ヒメナ様の魔力も『大』ですぞ! 王宮魔道士であれ『中』がせいぜいですので、この魔力量は聖女にしかあり得ませぬ!」


「うむ!」


 決まったみたいです。

 うわ〜、んじゃあたし『ジャナイ方』確実じゃんと思ってると、「貴様も一応は鑑定せよ」とのお言葉が王太子からかかった。

 もう貴様呼ばわりですかそうですか。既に結果が出てるこのアウェー感の中、あたしのステータスも晒せってか。


 ただ、自分がどんな能力を持ってるのかは知りたい。何を持っていて何を持っていないか。

 地球に――元の世界に帰れるなら別に知らなくても構わない。でもそうじゃないのなら……。


 逡巡しつつ、あたしも水晶に触れた。


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― 新着の感想 ―
 いくら王子でも初対面の相手を「貴様」呼びするなんて人として最悪ですよね。これは、何だか良くないパターンの転移の予感がひしひしと……。次回、主人公はどうなるのでしょうか、続きが楽しみです。
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