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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第三章~「オーロ・ヴァレンツ『スラム街』編」~

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【第93話】国王ガイウス

馬車が役所前に到着し俺達はボディチェックを受けた後、案内を受け待合室に通された。

そこには既に到着していた前伯爵、バレッサ、アウレリアの姿がある。

「おはようございます。」

「おはよう、ススム。両手に花とはこのことだな。」

前伯爵が笑顔で迎えてくれる。

「あはは。本当ですね。僕には勿体ないくらいですよ。」

「随分と余裕そうだな、お前は・・・。」

「そういうアウレリアさんは珍しく顔色が優れないようですが?」

「顔色が優れているやつなんてお前くらいだろう、全く。」

「これでも緊張してるんですがね。」

それでもこの程度の緊張、毎朝胃が引きちぎれるんんじゃないかと思えるくらいの管理職時代に比べれば屁でもない。


メンバーが揃ったことが確認されると今日の段取りが文官より説明されるがそれは既に前もって受けていた情報なので一応念の為と言ったところだろう。

王との応対方法もここで説明を受けたが基本的にアインズ王子の時よりも更に厳格になる感じのようだ。


「では、お時間ですので参りましょうか。」

担当文官がそう言い、俺達を王達が控えている謁見の間へと案内する。

ちらりと横を見ればアリスとサーシャがカタカタと震えていたようなので二人の顔を見て、笑顔で「大丈夫だよ。」と小さな声で言うと少し震えが収まったようだ。


扉の前に居る番兵が大きな扉を開き俺達は謁見の間を進み、王が座る玉座の前で跪く。

「私の名はガイウス・ルミナス・アステリオ。このルミナス王国の現国王である。そなた達の働き、我が息子アインズより逐次報告を受けている。本来であれば今回の事業についてはアインズが対応していた事案であったが非常に興味深い物が非常に多い。よって国王である私も共に視察に来た次第である。ヴォルフガング前伯爵よ。」

「はっ!」

「お主、自身の立場を息子に渡し隠居するとの事だったが随分と愉快なことになっているではないか。まあ、息災ならば良い。」

「ありがたき御言葉。」

「皆、面をあげよ。」

そう言われ俺はゆっくりと顔を上げる。

そして王と目が合うがなるほど。

これが王か。

アインズとは比べ物にならないくらいの存在感、覇気の様なものを感じる。

「ふむ・・・。お主が冒険者のススムだな?」

「はっ。」

「まずは感謝の言葉を述べさせて欲しい。息子のアインズを助けてもらったこと感謝する。」

王が礼を述べるという異常な事態に周りがざわっとする。

「身に余る光栄でございます。」

「そなたについては諸々の情報が上がってきておる。今回の件についても基本的な発起人は御主のようだな。色々聞かせてもらおう。」

「仰せのままに。」

「さて、では挨拶はこの位にして早速だが件のスラム街を見させてもらおうか。」

そう言い王が立ち上がると一斉に移動が始まる。


ここの役場からスラム街まではそんなに遠くもない距離だが、護衛の関係だろう。

当然のごとく馬車での移動となり、更に周りには重装備の歩兵が連なって歩いている。

馬車の窓から外を眺めてみれば敬意を評し手を降る住民や、恐る恐ると言った感じで眺める住民など様々であった。


当然馬車での移動は非常に短い時間で済み、スラム街入口に到着し下車することに。

俺はアリスとサーシャを再度エスコートしながら馬車から卸すとそこには自警団の一団が跪き頭を垂れ、王達を出迎えていた。


「我が王よ。紹介させていただきたい。この街を守護する自警団『クリムゾンケルベロス』であります。このスラム街の警備活動は勿論、清掃活動や人的整理など様々な用途で活躍してもらっている組織でございます。」

基本的にこの街の紹介は前伯爵が行い、補助として俺が説明に入ることになっている。


「なるほど。自警団か。皆良い面構えをしておるな。ご苦労である。」

「彼らは今日もこの街で活動します故、どうかご容赦を。」

「うむ。」

前伯爵が伺い、王が許可したことで自警団の面々は立ち上がり自身の持ち場へと戻っていく。


「それにしてもここがスラム街だと言うのか?非常に清潔に保たれており異臭もしないではないか。」

やはりこのスラム街の清潔度は王都よりも清潔なのかも知れない。

俺は前伯爵の隣に立ち、今まで行ってきた清掃活動や現状の病気の発生率や回復率などを記したデータを担当文官に渡す。


そこに記された細かなデータは文官ですら驚くような情報が記されている。

「これは・・・。なるほど。この纏めたものもススムだな?」

「はっ。」

「非常に素晴らしいな。今後この様な情報の取り方を文官たちにも広げたいと考えるが協力してもらえるだろうか。」

「王のお望みのままに。ですがお願いがございます。」

「申せ。」

「私はここでの活動から離れることが今暫く叶いませんので、可能であれば文官様を派遣していただきたくございます。」

「良かろう。許可する。」


スラム街内を歩きスラム街の住民たちも自身の職場があるものはそこで最初は跪き頭を垂れている。

そして許可が出ると実際に仕事の内容を見せて回る。


王が驚いていたのは荒れた土地で作物など育ちはしない場所などにも関わらず、バルト達がこの街で実際に作った堆肥を下に作成している大きな田畑である。

そこではまだ収穫には満たないが確実にすくすくと育っている野菜たちの姿がある。


「こちらの田畑は実際に肥溜めにて作った堆肥にて耕したものです。元は非常に痩せた土地でありとても農作物は育たない不毛の場所でしたが今ではこの様な状況になっております。」

「報告では上がっていたが実際にやはり自分の目で見て正解だったな。そうは思わないか?アインズよ。」

「ええ・・・。私自身驚いております。」

王に同行していたアインズも目を見張り驚いている様子だった。


そして学校に足を踏み入れるとそこには賑やかな子どもたちの勉強に取り組む声が聞こえてくる。

「実際の教育風景を見せるべきだと思いましたので今日も普段通りの授業を行っております。また報告した通り、現在のこの学校の学校長は私が行っております。教職には、貴族院で教鞭を振るっていた3人を引き抜きこちらの教員としてあります。」

「それは例の『迷い人』とその弟子夫婦か?」

「はい。」


この学校が始まってまだそれほど時間は立ってはいないが子どもたちの成長は目を見張る物があった。

それを今日この場で実際に披露することになる。

6歳~12歳の年齢で構成されたクラスで、子どもたちがこちらをちらちらと見ながらしっかりと授業を受けている様子が見て取れる。

真壁先生の教室では手作り教科書を下に文字の書き取り練習が行われていた。

熱心に取り組み、しかもきちんと内容を理解し文字の読み書きが出来ている様子に王やアインズは勿論だが同行している文官たちですらとても驚いている様子だった。

他の2クラスも見て回るが授業の内容は様々であったが、きちんとそこには勉学に真剣に向き合う子どもたちの姿上がり、それは『学校』として機能していることを示していた。


「確かに貴族院とは教えていることは大きく異なるが、これは立派な学校だな。子ども達の意欲も高く、学んでいる事も下手をすれば同じ年頃の貴族の子よりも進んでいるのではないか?」

「その可能性はあります。」

「ふーむ・・・。」

俺はすかさず、この学校のシステムや要点、更には勉学内容や計画を書き示した資料を文官に渡す。

ちなみにこの資料には運営費についても記載しており、実際に国に負担してもらうべき金額も書いてある。


「・・・。これだけの内容なのにも関わらずこれだけの支出で良いというのか?」

その問に前伯爵がちらりと俺を見たので代弁する。

「恐れながら。この学校の運用資金は基本的に私個人が有しております商人としての商品登録によって入ってくる金額を基金として割り当てております。こちらは別紙の資料ですがお目通しいただきたく思います。そちらの資料には今後、数年の後に私の基金だけではなく現在この学校で就学している子どもたちが中心となる基幹産業を作りその財力で学校の運転を行う予定です。正直な所、一番欲しいのは国としての全面的な協力及び庇護です。」

「子どもたちを中心とした新たな基幹産業・・・。」

それを聞き王やアインズ達は絶句していた。


「ススム、御主一体何処まで先を見通しているのだ・・・。」

「そうですね。私が死んだとしても学校という機能自体だけは100年、200年と残る様な基盤を作っておきたいと考えております。」

「何と言う壮大な計画・・・。」


「そう言えばこの学校はヴェリティア様を祀った教会だったと聞いている。そして報告では実際にこの地で祝福をしたと聞いているが。」

「事実であります。目撃者は私たちだけでは有りません。」

「幸運の女神に祝福されし学校か。」

「そうなります。」


その後一通り街を見終わった際、今後のことについて国との約束事を役場で締結しようとしていた時である。

ある一通の手紙の魔道具が文官に届けられ、その手紙の内容を見た文官が今まで以上に見たことのない顔をし、王に矢継ぎ早に話をする。


「なにい!?それは本当か・・・!?」

威厳を保っていた王ですら言葉が乱れるようなその様子にただ事ではないと言った空気が流れる。

「ヴォルフガングよ。私は直ぐに王都に戻る用事ができた。詳しくはまた後日改めて話をする。アインズよ!」

「はっ。」

「この計画については全て御主が国側の代表となることを認める。この後の締結も一切を任せるが良いな?」

「はい!」

そうして急遽、王達は二分することとなり、王は帰路についた。

一体何が起きたのやら?

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