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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第三章~「オーロ・ヴァレンツ『スラム街』編」~

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【第92話】突然の知らせ

穴熊亭の本格的な運営が始まってから数日後、スラム街での畑で本格的な変化が始まっていた。

「これは・・・。」

「はい。やはりあの堆肥は凄いですよ。まさかこれだけ痩せていた田畑ですらこれだけの成果が出るんですから。」

畑を担当していたバルトも興奮が抑えられない様子であった。

それもそのはずだ。

まだ収穫には早いが、辺り一面植えた野菜は見事に開花し下手な田畑よりもよっぽど経過が良いからだ。

この光景は農業を担当していた住民たちすらも圧倒させていた。


「非常に良いですね。このまま行けば皆さんで作った野菜をたらふく食べられる時が来そうです。頑張ってくださいね。」

「「「おおー!」」」


この調子で野菜について一定以上の自給自足ができるのならば、更にこの街に住む住民たちの食糧事情が改善される。

最近はスラム街全体で見ても住民たちの体格も改善されつつ有り、病気に掛かる者も大幅に減っている。

更には衣・食・職が充実してきたことにより、精神的な安定感も増してきたためか犯罪率も大幅に減少傾向にある。


今後は炭の自給や共同浴場をどうにか出来れば更に病気に対しては強みが出るとは思うが場所の確保や浴場を作る場合、給水もそうだが排水をどうするかを考えなければいけない。

当然下水などと言ったシステムは存在していないので悩みどころだった。


俺が一人物思いにふけっていると自警団の一人より前伯爵が緊急で俺を探していると知らせてくれたため、俺は学校に向かうことにした。

まあ、恐らくこのタイミングで緊急の呼び出しとなればきっと王家絡みだろうと予想はした。


コンコン

「ヴォルフガング様、お呼びですか?」

「おお、ススムよ。いよいよの様だぞ。」

そう言い前伯爵は一通の手紙を差し出す。


「拝見します。」

その蝋封は見たことがある蝋封ではあったが若干違う。

「この蝋封は・・・。」

「まあ、察しの通りだ。読んでみろ。」

手紙の差出人はやはり、想像通りこの国の現国王だった。

教育や疫病対策などについて非常に興味があるとのことであり第三王子からの報告だけではなく自身の目を通して確認したいとの内容が書かれている。

当然、王が直接来るとのことで警備の調整などもする必要もあるが、余り時間もないため先行して既に各担当者を派遣済みであり実際に王がこの街に来る日は1週間後ということであった。


「1週間って・・・。随分な強行スケジュールですね?」

「まあ、それが許されるのが王の特権だな。」

「一番割の食うのはこの街の長だったり、役人、兵士達だろうなあ。」

「まあ、そこはしょうがない。ただこの街に王が来るというのは街にとっても大変名誉なことだ。」

「ふーむ・・・。」

「ススムは王が来るというのに反応が薄いな。」

「まあ、来るだろうとは思っていましたし正直どんな人物かも分かってはいないですからね。それにしても1週間ってそんなにこの街と王都は近いのですか?」

「まあ、他の街に比べればかなりな。それでも準備期間等も考えれば既に出発していると考えて良いだろう。」

「はあ・・・。まあでも分かりました。僕はこの手紙を持って学校関係者などに連絡してきますね。」

「頼む。」


俺は受け取った手紙を片手に穴熊亭支店であったアリスを呼び出し声を掛けるとアリスは口から魂が抜けた様になった。

まあ、一般人ならこういう反応が当然なのかもなあ。

俺は急遽手紙の魔道具で事情を書き、サーシャにヘルプを頼むとサーシャ達が営業先からすっ飛んできた。

ついでにその場にバレッサも居たようでバレッサにも事情を説明するとアリスを回収する。

「衣装の準備などがありますからアリスを連れていきますからね!」

「よろしくお願いします。」

「ススム様は衣装はよろしいので?」

「ああ、僕はこの前王子と謁見した時ので十分ですから。」

「そうですか。アウレリアには私から伝えておきますね。それにしても本当に急ですこと。」

「それが王の特権らしいですよ?」

「はあ・・・。」

バレッサはため息一つを吐き、自身や弟子たちの準備があるということで早々に切り上げていく。


やはり中間管理職として働き日々、上下からの圧力を受けていた身としては正直王様との謁見と言われても「面倒くさい。」程度の処理にしかならなかった。

だが周りは違うようで、1日、1日と経過してい行く内に周囲の人間たちは焦燥感やプレッシャーが垣間見えたし、街も先んじて入ってきている王都からの兵たちや担当の文官達が何やら忙しなく動いている。

俺が一応窓口係としてこの担当者達の相手をするが特別な相手をしている感覚はなく、いつも通りの接し方をしている。


「ススム君ってこういう時すごい平静としてるけど何かコツでもあるの?」

アリスが飄々としている俺の様子が気になったのか夕食時に聞いてきた。

「確かに不思議ですよね。なんというかススムさんは場馴れ感が凄いです。」

「うむ。普通王族との面会、特に王そのものと直接会うとなると流石に私でも怯むというのに・・・。」

サーシャは勿論、最近では当たり前のように前伯爵も夕食を共にすることが多くなっている。


「あー・・・。まあ、前の世界ではこんな事日常茶飯事で、もっと酷い目に会ってたんで・・・。」

思い出すのも億劫な光景が脳裏を横切る。

「えっ!?ススムさんはそんなに立場のある人だったのですか?」

サーシャはなにか勘違いしている様だ。


「いやいや、自分はただのここで言う行商人みたいなものの一人でしたよ。ただ組織がものすごく大きくて自分は部下も多かったですし、上司も居ました。」

「へー・・・。落ち着いたら今度そこら辺の話し聞いてみたいねえ。」

アリスが興味を持ったようで聞いてくる。

「ええ・・・?あまり面白くもない話ですよ?」

「それでも、ススムさんを知るにはいい機会ですからね。」

サーシャも気になるようだ。

「まあ、じゃあ今度ということで。」

「約束だよー!」


そうして更に時間が過ぎていき、いよいよ王との直接面会の日がやってくる。

街はかつてない程物々しい雰囲気となり、オーロ・ヴァレンツの兵は勿論、王都からの兵も来ておりこの日は商店も基本的に強制的な休みを街全体で言い渡されている。

王達一行はどこに滞在するのかと思った所、どうやらアインズ王子が滞在したときと同じ様に役場がこの街での王達一行の滞在場所となるということだった。

確かに役場には何度か赴いているが一部が完全閉鎖されている箇所があり、どういった場所に使われているのかが謎だったがどうやら王が直接この街に赴いた時のみ解放される施設だったようだ。


アリスとサーシャは短い期間ながらも非常に美しい衣装を身に纏い、俺がプレゼントしたネックレスをしてくれていた。

「ど、どうかな・・・?」

アリスとサーシャが頬を赤らめながら聞いてくるので俺は素直に答える。


「二人ともとても綺麗だよ。」

そのストレートな物言いに二人とも更に頬を赤らめている。

「さ、行こうか。二人とも。」

俺は二人を両脇にエスコートしながら用意してもらった馬車に乗り込み、王達が待ち受ける役場へと移動を開始した。

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