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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第三章~「オーロ・ヴァレンツ『スラム街』編」~

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【第87話】開校前夜

開校前日、俺はバレッサから紹介を受けた調理担当や今後毎日食材を安価で卸してくれる問屋と打ち合わせをしていた。

問屋の方はサーシャの伝手で手配してもらい、その日の内に使い切るということで店頭に商品として出すには時期は過ぎているがまだ安全に食べられるものを卸してもらう契約とした。

問屋側も本来なら関係者で食べて消費するか廃棄するかの二択の状態に更に卸せる場所が生まれたという事で両手で喜んでもらえ、無事契約に至っている。

「では、明日から早速食料品をお持ちしますので宜しくお願い致します。」

「ええ、よろしくお願いします。倉庫番を担当する自警団の方々もよろしく頼んだよ。」

「「「はい!」」」


「さて、じゃあお二人はこちらに。改めましてススムです。」

「バレッサ様のお食事を担当しております、ルークと申します。宜しくお願い致します。」

ルークは元々とある有名な高級食事処のメインシェフだったらしいがバレッサに気に入られ引き抜かれたんだそう。

ただ夕食がメインであり昼間に時間を持て余していた為に今回バレッサより紹介を受けたという運びだ。


「マフィです!よろしくお願いします!ルークさんほどお料理は上手では有りませんが負けないくらい料理をするのが好きです!」

マフィも元々この街の有名な食事処のシェフをしていたそうだが、もっと料理人としての腕を磨きたいと思っていた所、料理人馴染みのルークに声を掛けられたという少女である。


「よろしくお願いしますね。何せ初めてのことすし、作る人数も相当分必要です。それにメインで調理をするのはこの街の者たちですので色々と最初は戸惑うかも知れませんが何卒ご容赦下さい。それと給金については聞いているかも知れませんが、基本的に僕の夕飯を毎日交代で手伝ってもらうというかなり変則的なものです。もし金銭的なものをお望みでしたらいつでもご相談くださいね。」

「いえ、ススム様のお料理の話は伺っておりますしその腕はヴォルフガング様ですら唸らせるほどのものだと聞いております。」

ルークが目を輝かせて語りそれにマフィも続く。

「はい!とても斬新な料理方法だと聞いておりますので非常に期待しております!今後はバレッサ様の下で二人で働き、給金はしっかりと頂きますので大丈夫だと思います!」


そう、本来であればバレッサは今までルークだけを雇っていたが今後は二人を同時に、しかも給金も二人分しっかり払い雇うのだという。

恐らくはバレッサの料理人を育てるという投資なんだろうなあと邪推してしまうが、ありがたい話ではあるのでそこは黙っておく。


その後は保護者の中から立候補のあった調理補助人とルーク、マフィの顔合わせをししっかりと役割分担をする。

自身も食事にあり付け更に給金まで出るということで最終的に調理補助人は20名を軽く超える人数となる。

そのため二交代制とし交互に運用していくこととなった。

それでも今まで完全に食べるものがなく、金も無い状態だったのだ。

それが学校に通う子どもは通学時は毎日食事が与えられ、親も調理をすることで二日に一度食事が貰える。

しかも貰った給金で他の未就学児童も食わせられる。

それに加えて定期的なスラム街全体を対象とした配給食も行われる。

これは劇的な生活変化と言って良いだろう。


今日は夜に学校に関する支援者や関係者を集めた前夜の打ち合わせ確認をする予定なので俺はざっと問題がないことを確認した後は担当に任せ早々に帰宅し、夕食の準備をすることとした。

何から何まで俺が関わり、俺がいないと何も決定できず、行動ができないというのは論外であり基本的に俺は発起人ではあるが一支援者に徹していたいのだ。


ルークとマフィを連れ一足先に帰宅した俺は早速二人に初めての料理を教えることにした。

と言っても今日は人数が人数なので簡単かつ大量に作れるオムライスと実際に配給食で出すことを考えている水団(すいとん)にすることにした。

フィルルに二人を紹介し、今後は協力して夕飯作りをすることを伝えるとフィルルは更に仲間が増えたと喜んでいた。


早速俺達は米の準備を始めるが、そこからルークとマフィは初体験だったので質問攻めとなる。

「まさか、コメを食べるなんて・・・。」

「家畜の餌だと思ってました・・・。」

「まあ、最初は皆そう言うけど今じゃうちの食卓じゃあファンも多いんだよ?」

「「はぁー・・・」」

二人は呆気にとられているので今度収納鞄(マジックバック)を使った精米方法から教えないといけないなと思った。


それからドンドンと手伝わせるが、やはり二人は本職なだけあって非常に動きが洗練されている。

だが、不思議と呆気にとられる瞬間があるのに気が付く。

「二人とも、たまに動きが完全に止まるけどなんか不思議なことでも?」

「いえ・・・。食料が収納鞄(マジックバック)から出てくるのが想像もしてなかったので・・・。」

「えっ!?そうなの!?」

意外なことにプロの料理人達は収納鞄(マジックバック)などは使わず店に独自に設けている貯蔵庫などを多用するようだ。


「はー・・・、なるほど。確かにこの考えは冒険者じゃないと出てこないのかもなあ。ああ、そうだ。二人とも。今後のために俺が愛用している時を止める収納鞄(マジックバック)をプレゼントしよう。」

「えっ!?それってすごい高価なものでは!?」

「まあ、二人への就職祝いだと思って受け取ってよ。丁度今一番小さいサイズのが二つ空いてるからさ。と言っても食材の保管程度なら十二分な大きさだと思うけどね。」

俺は今は使っていない極小サイズの時を止める収納鞄(マジックバック)を二人に渡すと二人は飛び跳ねて喜んでいた。


夕食が完成する前には何時ものように最初に穴熊組が帰宅するが今日は残念ながらアリス以外のメンバーは帰宅してもらう。

ただどうやら実店舗予定となっている部分の居住区についてはそろそろ完成する様で従業員はそちらに移動がそろそろ可能となるようだ。

アリスについては・・・、うんまあその内に話すとしよう。


その後サーシャ組が帰宅し、ヴォルフガングと共に教員組も来る。

最後にバレッサとアウレリアが共に来た。

「はあ・・・。ここがあの幽霊屋敷ねえ・・・。信じられないくらい良物件だったんだな。」

「いらっしゃい。アウレリアさん。皆さんそう言いますね。」

「そりゃ、ここはオーロ・ヴァレンツ内ではトップクラスに有名な場所だったしな。」

「あはは・・・。まあどうぞ。」


そうしてメンバーが揃った頃、夕食を開始する。

今日の夕飯は基本的に俺は最初に指示だけだして作ったのはルークとマフィだ。

「早速二人が役立ってくれたようで何よりです。」

そう言い、バレッサはニッコリと笑う。

最初は米を初めて食べる者たちは躊躇していたが、米に馴染みのある者たちは皆、新たな食事に大満足してその様子を見てから周りも少しずつ食べだすがその味に驚き結局全員皿が綺麗になっている。


「コメがこんなに美味しいものだとは思いませんでしたね・・・。」

「ああ、驚きだ・・・。」

「おかわりが無いのが残念だな。」

「そのおかわりの代わりのこのスープです。非常にお腹が膨れると思いますよ?」

そう言い俺は水団(すいとん)を進めるも皆、やはり謎の白い物体に抵抗感があるようだった。

俺や真壁先生は全く抵抗無く食べると皆恐る恐ると言った感じで口に運ぶ。

「これは・・・!」

そういい、一口、二口と食べ始め結局全てを平らげる頃には皆腹が一杯と言った感じになっていた。


「あの白いのは何だったのだ?」

前伯爵が見たこともなかった物体の正体を聞いてきたがなんてことはないありふれたものだ。

「あれはただの小麦粉に水を混ぜてそこに少し塩を入れただけのものですよ。それを茹でるとあの様になり、非常にシンプルながらも腹に溜まるものになります。安価ですので、今後配給食で大活躍してくれるでしょう。」

「な、なんと・・・。」

「いや、それだけで出来るとは驚いた。あれは冒険者の間でも流行るだろうな。」

アウレリアは感心している。

だが、俺はそんな感心している二人とは裏腹にサーシャとバレッサのしっかり登録しろよ?という無言の笑顔の圧に気圧されていた。


食後はフィルル達に用意をしてもらったフルーツをデザートに学校についての話をする。

「いよいよ、明日ですね。」

「明日は私達もスタンドはお休みして学校見に行くからね!」

アリスとサーシャは嬉しそうにしている。


「備品等で問題は無さそうですかね?」

「ああ、あそこまで準備しておいてもらって失敗するということはないだろう。」

「そもそも僕はコーイチ先生が教育において失敗し続けていたという方が驚きですけどね。」

「ははは。まあ、ここでは伸び伸びとやらせてもらうさ。」

ウンウンと夫妻も頷いている。


「そう言えばアインズ王子の方はどうなんですか。」

「ああ、その件なんだが実はなとんでもないことが起きそうだ。」

前伯爵が珍しく困惑したような表情をしている。


「・・・なにか問題でも?」

「いや、逆だ。王子の方は問題はない。話は無事にまとまり正式に国家事業として運営が行えそうだ。」

「では何が?」

「実はな・・・。王自らが見学に来る可能性が高い・・・。」

その言葉に全員が驚愕した。


「恐らく見学に来るのはまだ先だが、それほど遠くというわけでもない。いつ来ても対応できるように心がけておいて欲しい。」

「と言っても、恐らく僕達に出来ることはあまりないでしょう?普段通りにするのが一番ベストなのでは?」

「うむ・・・。そうだな。」

「まあ、やれることを確実に進めていきましょう。皆さんどうか宜しくお願い致します。」

こうして打ち合わせも無事終わりいよいよ開校の日を迎えることとなる。

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