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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第三章~「オーロ・ヴァレンツ『スラム街』編」~

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【第86話】開校一週間前

早朝、真壁先生方3人が帰路についた後、アリスとサーシャに話をする。

「アリスさん、サーシャさんおはよう。実はお二人にお話があります。」

「ススムさん!お話とは何でしょうか!?私たちはいつでも大歓迎ですよ!!」

サーシャとアリスはお互い顔を見合わせなにか盛大に勘違いしているらしい。


「いや、学校の開校が1週間後に決まったので良かったら開校式に出席をと思ったんですが・・・。」

「ああ、なるほど。」

見るからにショボーンとする二人。

だがこの学校計画も開校してしまえば後は自分よりも遥かに教職者として適任な真壁先生とその愛弟子二人、更には学校長にアインズ王子の名代として前伯爵を中心に動き出し時間的余裕が出来るので、その際は少し二人へ真剣に話をしようかと考えていた。


「この開校式が開かれ運営が安定を見せたら、・・・どうでしょうか。三人で今度何処かにピクニックにでも行きませんか?」

サーシャとアリスは再び顔を見合わせ手を取り合いぴょんぴょん跳ねている。

「それはもう!」

「是非にだよ!」

「それで開校式には?」

「「参加しまします!」」

「よろしくお願いしますね。」


4人娘と家を出て穴熊亭スタンドへと送った後俺はその足で商業ギルドに向かう。

バレッサに開校を知らせるためともう一件の要件があったからだ。

「おはようございます。バレッサさん。」

「おはようございます、ススム様。どうやら教職員の方々が到着したようですね。」

「流石耳が早いですね。昨日到着しましたが、遥かに自分よりも能力が有り完全にお任せできる人達でした。ですので学校運営者達と昨日の内に話し合い、1週間後に開校する運びとなりました。良ければ開校式に来ませんか?」

「・・・!それは素晴らしい!是非参加させていただきます。アウレリアには私から声を掛けておきますね。」

「助かります。」

「そうそう、ススム様。裁縫ギルドより腕章が完成したと連絡がありましたよ。」

「本当ですか!後で回収しに行きます。あ、それとお願いなんですが。」

「何でしょう?

「料理人の手配ってどこですれば良いんでしょうか?」

「料理人ですか?ご理由をお伺いしても?」

「学校で作る配給食と今後定期的にスラム街で行う炊き出しの担当をお願いしたいんですよね。」

「なるほど。それでしたらば私の専属料理人に声を掛けてみましょう。」

「そんな人がいたんですか!?」

なんと豪華な。

伯爵家の令嬢サーシャですら残念料理しか作れない二人しかいなかったというのに一商人がその様な人材を雇っているのは正直驚きだ。


「ええ。主に夜だけ雇っていてそれだけでも十二分に収入は渡しているのですがやはり昼も体裁的に仕事がしたいようでしたので。それにススム様の関連で仕事をすれば格段に腕が上がりそうですし。ふふ。」

どうやらそっちが本音のようだ。


「その料理人は何人いますか?」

「一人ですが、何人入り用ですか?」

「最低でも二人は欲しいところです。」

「分かりました。そちらは私の方から交渉しておきましょう。給与はどうしますか?」

「うーん。そうですね。給金に困っていないのでしたら僕の夕飯を作るのを手伝ってもらい、それを差し上げるというのは?」

「それは・・・!給金以上の価値があるのでは?」

「あはは。食のレパートリーが増えるのは個人的に大歓迎ですから。」

「はあ。本当に商人としてはススム様は三流ですね・・・。わかりました。必ず教える料理は同時に商業ギルドに登録すること。これを条件に致しましょう。」

「うっ!まあ・・・でもそれで良いのでしたら・・・。お願いします。ではこの足で裁縫ギルドに行ってきますね。」


そういう訳で俺は腕章についての作成依頼をしていた裁縫ギルドに向かう。

これは自警団の証明を表す腕章でいつぞやに俺がデザインを考えルビアが修正したものを裁縫ギルドに特急料金を払い依頼していたものだ。


「おはようございますー。」

俺は裁縫ギルドに顔を出すと上客として顔を知られていたのか直ぐに腕章作成担当に繋いでくれた。

「こちらになります。ご確認下さい!」

「おおー、これは素晴らしい・・・!」

「デザインが大変よろしかったので、私たちも腕を振るいました。」

「料金は十分でしたか?」

「それはもう!他にも何か必要なものが有りましたら是非お声掛け下さい。」

「んー。そうだな。確かに今後必要になるかも知れないなあ。では新たにデザインを考えまた依頼します。」

「ありがとうございます!楽しみにしております!」

俺は笑顔で手を振り見送りまで受けるほどの上客となったようだ。

今後は現在臨時で雇っている各職について、腕章を作成する必要があるかも知れないと思ったので、ルビアに働いてもらうことにしよう。


スラム街に入りいつものように住人や自警団達から歓迎を受ける。

子ども達やその保護者から学校について聞かれたので開校日を教える。

すると「わっ!」と声が上がったため本当に期待されていたのが良くわかった。


旧教会付近に近づくと今まで以上に大きな音が響いている。

どうやら以前よりちょくちょく進んでいた旧教会の修繕について、開校日が決定したため本格的な修繕に入ったようだ。


その様子をルビアとブルが何かを言い合うでもなく静かに眺めているのが印象的だった。

「おはよう。二人とも。」

「ん、ああ・・・。ススム、おはよう。」

「(コクリ)」

「大丈夫か、二人とも?」

「ああ、ただな。自分たちがやってきたことが意外な形にはなったが無駄にならなかったんだなと思って。」

「ああ。そうだな。お前たちが踏ん張ってくれたお陰だ。助かった。」

俺は二人に対し素直に謝意を伝え頭を下げる。


「おいおい、止してくれ!それに『これから』なんだろう?」

「その通りだ。ルビア、受け取ってほしいものがある。」

俺はそう言い先程裁縫ギルドから回収してきた腕章を二つ取り出しルビアとブルに渡す。


「!!これって、あの時の・・・!」

「ああ、ルビアが手直ししてくれた自警団としての腕章だ。勿論俺が把握しているはく全員分持ってきた。良ければ受け取ってくれ。」

「ああ・・・!お前ら!!」

ルビアは大号令を掛けて自警団を招集し、メンバーに自警団の証となる腕章を配布していく。

各々がそれを腕に巻き固定しお互いを見ながら笑顔で感想を言い合っている。


「1週間後、ついに正式にこの旧教会は学校へと変わり、ここには学びを求める子どもたちがやってくる。是非その子どもたちの守護者としてあって欲しい。よろしく頼む。」

自警団に頭を下げる。

「「「おーーー!!」」」

という怒号のような歓声が上がり歓迎の意を示された。


その後ルビアに、学校に通う保護者達に向け、昼の配給食を作る調理補助員の募集をしたいため、参加したものがいれば明後日の今の時間旧教会前に集合する様声掛けを頼んだ。


「おはよう。ススム君。」

「おはようございます。ま・・・コーイチ先生。」

「あはは。お互い大変だなあ。」

「そうですね。」

真壁先生の後ろ一歩下がった位置からフリューセル夫妻が頭を下げる。


「昨日の今日ですが、先生はお休みになったほうが?」

「馬鹿を言わないでくれ。私はまだまだ現役だぞ?」

「あはは。冗談ですよ。そう言えば学校の備品で必要なものはドンドン教えて下さい。ディナさん経由でも構いません。」

「流石、景気のいい話だねえ。」

「ふふ。昨日言った通り給金も出しますし家賃補助も出しますので言ってくださいね。住居についての相談は知り合いの不動産にお願いしますので。」

「何から何まで済まないね。」

「いえ。ああ、そうだ。そう言えば昨日はカイゼル先生とルナ先生はこのスラム街を案内させましたが、コーイチ先生はまだでしたよね。良ければ僕がご案内しましょう。」

「おお、それは良い。」


そうして俺は3人を伴い様々な人物たちと挨拶をしながら各施設や取り組んだこと、これからやろうとしていることなどを紹介しながら街を回る。

俺の姿を見つけた何人かの子どもたちは黒板を持って自分の名前の練習の成果を持ってきてくれる。

「ススム様!みてみてー!」

「お、上手になったなあ。そうだ。皆に紹介しよう。新しく出来る学校の先生達だ。」

「えー、ススム様が教えてくれるんじゃないの!?」

「あはは。そう来たか。だが安心しなさい。このコーイチ先生は僕の先生なんだぞ!」

「え!?」

そう言って真壁先生を紹介すると子どもたちの熱い視線が一気に真壁先生達に向けられる。


「良ければ君たち、この街の事を教えてくれないかな?この街の事は君たちの方がよーく知ってるだろう?」

「うん!!」

そう言って一瞬の内に子どもたちの心を掴む真壁先生はやはり俺の尊敬すべき師だった。

どうやらフリューセル夫妻も穏やかな性格をしているためか子どもたちに好かれやすいようだ。


「それにしてもこれが本当にスラム街なのかね?下手すると王都よりも清潔なんではないかい?」

「あはは。そうなんですかね?ただ少なくともこの街のメインストリートよりは綺麗かもしれません。」

「それに子どもたちのやる気も素晴らしい。とても貴族院では見れなかった笑顔だよ。」

「ええ、本当に。まさか爪弾きにされ、冷遇され続けてきた僕達の努力がこういった形で芽を開くとは思いもしませんでした。」

「御三方の仕事に期待します。勿論僕自身もやれることは協力を惜しみませんので。」


そうして数日の内に配給食の調理支援のことを説明したり、実際に食材の納入についての段取りを整えたり、更には学校内で使用する備品等も可能な限りで準備したりとあっという間に1週間という日は経過し、学校開校日を迎えることとなった。

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