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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第三章~「オーロ・ヴァレンツ『スラム街』編」~

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【第83話】青空教室

翌日、俺は準備を整え早速スラム街に行く。

今日の目的は学校の生徒となる者たちを選出するためだ。

この情報はバレッサの耳にも入ったようで既にスラム街で待機していた。

「おはようございます。バレッサさん。」

「おはようございます。ススム様。今日はいよいよ子どもたちの選出だと聞いて居ても立っても居られず参りました。」

「あはは。気持ちはわかります。」

「それにしてもたった数日見ない間にまた大きくスラム街は変わりましたね。とても清潔感が有り場所を間違えたのかと思ったくらいです。」

「それは僕も思いました。」


俺達が教会付近に近づくと人だかりができていた。

「うん?これってもしかして・・・」

そう、その人集りは子供連れの大人ばかりなのだ。

それもかなりの数が見受けられる。

その中には、俺が救出した子どもたちであるカイト、リア、レオンの三人の姿も見える。

子どもたちが俺の姿を見つけたようで声が上がる。

「あ、ススム様だ!おはようございます!」

「ああ、おはよう皆さん。それにしてもこの人集りは、学校の希望者ということでよろしいんですかね?」

俺が確認するように言うと、奥からルビアと前伯爵の姿が現れる。


「おはようさん。どうやらその様だ。早い奴らだと1時間以上も前から待ってたんだぜ?後から声を掛けると言うのにだ。」

「しかし予想以上の人数で私も驚いている。これから説明をススムが行うということでいいのか?」

「そんなに前から・・・。では早々に準備をしなければいけませんね。」


俺は収納鞄(マジックバック)から机と椅子をだし、筆記用具も揃える。

「これで良し。ではこれから設立予定の『学校』についての説明を行いますので、どうか皆さん子どもたちの手は離さず、迷子などにしないよう気をつけて話を聞いて下さいね。」

俺は校長になる予定の前伯爵と、支援者の一人であるバレッサ、そして自警団の長であるルビアに資料を渡す。


「文字が読めない人が多いと思いますのでこれから口頭で説明をします。質問がある場合は最後に質問の時間を設けますので手を上げて質問をして下さいね。」


そうして俺は学校についての説明を行う。

説明したのは以下の内容である。


・学校に入学できるのは6歳~12歳までで3年間の通学期間を予定している。

・学校に通学する際の費用は無料であり、必要なものは全て学校側から支給される。

・通学は週に5日間として朝8時半~12時頃までの予定となる。

・内容としては読む・書く・算術が出来るようになることが当面の目標である。

・冒険者ギルドから人員を派遣してもらい薬草類の知識や体力づくりなども行う予定である。

・お昼の配給食が毎日支給される。

・人数は40人程度を当初予定している。

・入学期間は毎年1回ある。

・成績が悪いからと言って退学させることはないが、素行不良が原因で退学させる場合もある。

・入学させる場合、子供の意思が絶対必要であり、保護者からの強制は認めない。

・逆に子どもに意思があるのに保護者の意思が反対の場合、基本的に子どもの意思を重視し入学を認める。


それと保護者たちには今後配給食を作るための人手がいることを話す。

配給食を作ってもらう際の報酬は子どもたちに作る配給食を分けることに加え、給金を払うことを伝える。

するとそれを聞いた保護者たちの顔色も非常にいい方向に変わるのが見える。


「以上です。何か質問はありますか?」

何人かから手が上がる。

「ではそちらの方?」

「子どもの年が5歳なんだがこの子は今は入学が出来ないってことか?」

「そうですね。毎年入学の季節がありますので6歳になり、子どもが入りたいと言う場合はその時に。」

「じゃあ13歳より上の奴らは?」

「まだ未定です。ですが決して腐らないで下さい。将来、子どもたちが知識を付けた際ある仕事を任せる予定です。その仕事に付くことで職には困らなくなると思います。それに現在でも各種建築や畑の増設、石鹸の製造それに加え今後は炭の自作を行う予定ですので、職には困らないと思います。」


別の人の質問はこうだった。

「学校に通う子どもたちだけ毎日食事が必ず貰えるのはずるくないか?」

「自警団結束後に定期的な食料支援が行われていると思いましたが?」

俺はそう言いルビアを見るとルビアも頷いているので間違いはないようだ。

「確かにあるが毎日ではない。だが子どもたちは学校に通うことで毎日食えるのだろう?」

「失礼ですが、何か勘違いをされているのではないですか?」

「あん?」

「子どもたちは『学校に通い勉学をする』という一種の労働の対価としてお金ではなく配給食を食べるという権利があるんですよ。決して食事が中心の場所の学校では有りません。当然、授業を受けず配給食の時だけ来て帰る子どもには退学してもらういますよ?」

「だが・・・!」

「失礼ですが、御主人お仕事は?はっきり言わせて頂きますが、私は『働かざる者食うべからず』だと考えております。先程も申したように今は、以前までは存在していなかった『職』が生まれてきており、働いている者には給金が発生しております。まさか、『働かないのに食事だけ貰う』だなんて考えていませんよね?」

俺が質問者をバッサリ切り捨てる。

どうやら図星だったようで顔を赤らめているのが分かる。


「働きたくても、怪我や病気で働けないでしたらまだ分かります。・・・だが働く能力が有り、職も生まれているのに働かないという選択をする人間を助ける気は毛頭ないとだけ先に言っておく。」

俺は他者へは余り使わないような強い口調ではっきりと伝える。

それに気圧されたのか、その質問者は「けっ!」と捨て台詞を吐いて何処かに言ってしまう。


「確かに学校に通える子どもばかりと思う方は少なくないでしょう。こちらも様々な方法は考えております。自警団も協力してくれております。分け与えて貰うのを当たり前とせず、可能な限りで協力を申し出てみて下さい。短時間の仕事であってもきちんと評価し、実際に賃金を支払っています。正当な仕事には正当な報酬を。そして働かざるものは食うべからずを頭に入れておいて下さい。」


その後は手が上がることもなかったのでなにか新しい質問があったり、この場で聞きづらいことがある場合は個別で聞きますと言い説明は終了とした。

その後続けて、子どもたちの入学申請を開始する。

当初から入学を希望していたカイト、リア、レオンを始めとして、この日だけでなんと定員の40人を超え43名もの希望者が集まってしまう。


「これは・・・。まさか今日だけで定員になるとは。」

「それだけ期待されているということでしょうか?嬉しい限りですね。」

バレッサは笑顔で言う。

「そうだな。学びを得たいという子どもたちが多いのは非常に嬉しい話だ。私も精一杯の努力をしたいと思う。ところで何故子どもを残したんだ?」

そう、今この場には希望をした子どもたち43名が残されている。


「それは今から授業を試しにやってみるからですよ。」

「今からか!?」

「ええ、非常に簡単なものですが。」


俺は再び子どもたちの前に立ち名前を呼ばれたら元気よく返事をした後、俺の前に来るように伝える。

そうして一人一人名前を呼び、子どもたちにその場でその子どもの名前を書いた『手作り教科書』とノート代わりの『小さな黒板』、そして『白墨』を渡す。

それを受け取った子どもたちは顔いっぱいに笑顔を浮かべる。


「いつの間にあの様なものを?」

前伯爵が手作り教科書を見て顎髭を撫でている。

「あはは。あの教科書は僕の手作りですよ。それに黒板や白墨は簡単に手に入りますからね。」

「なんと・・・。」


手作りドリルの内容はまず自分の名前を書ける様にするところから始まる。

「じゃあ皆、『沢山失敗しながら』その場で自分の名前を練習してみようか。」

「「「はーい!」」」


そうして思い思いにその場でしゃがみ教科書に書かれた初めて見る自分の名前に感動しながら何度も失敗しつつ、黒板に名前の練習をする子どもたち。

その様子を嬉しそうに保護者達も見ている。


「それにしても『沢山失敗しながら』ですか・・・。私たちが受けてきた教育とは真逆ですね。」

バレッサが興味深そうに聞いてくる。

「僕が考える教育は失敗しながら学ぶ教育です。最初から完璧にこなさなければ行けない教育というのは実は頭に残りにくいし身に付きにくいのですよ。逆に失敗しながら徐々に成功していく過程があれば、何故失敗したのか、どうやれば成功するのかを模索しながら答えに近づくことが出来、その経験は残りやすいと思っています。」


バレッサや前伯爵などは思い当たる節でもあったのだろう、うんうんと頷きながら聞いている。

そうして何人かの子どもたちが「書けました!」、「見て見て!」などと持ってきてくれた際は精一杯褒める。

褒められた生徒は非常に嬉しそうな表情を浮かべる。

俺は最後にここをもう少しこうすればもっと上手に書けるんじゃないかな?と少しだけアドバイスをする。

すると子どもたちはなるほど!と言った表情で再び取り組みだす。

そんな事を大体30分ほどやった所で今日のお試し教室は終了とする。

子どもたちからは「えー!?」と言った声が上がる。


「教科書だけは無くすと大変だから僕が預かるけど、黒板と白墨は持って帰ってくれていいからね。一杯練習してきてくれ。」

俺がそう言うと子どもたちは大切そうに黒板と白墨を手に家路に付いた。

子どもたちを見送ると前伯爵やバレッサから非常に良い授業だったと感想が聞かれた。

「教職のお二人が来たら今のやり方を徹底してもらい、本格的に授業を開始したいと思います。」

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