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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第一章~「最初の街『ミストヴェイル』編」~

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【第8話】疑問の解消

翌朝、俺はかなり疲れていたようで熟睡してしまい朝食の時間を逃してしまっていたようだった。

1階に降りると看板娘のアリスが「よく寝れた?」と聞いてきた。

「お陰様で。そのせいで朝食を食べれませんでしたけどね。」

そう言うと、アリスは俺の為に残しておいたという食事を出してくれた。


「普通はこんな事しないんだけどね。セリーヌに感謝しなよー!」

やはり彼女は女神か!感謝!


朝食後身支度を簡単に整え、冒険者ギルドに行く。

そこは昨日と打って変わって人混みで溢れ、会話の声も大きかった。


どうやら冒険者同士で新しく張り出された依頼表を選んだり、奪い合ったり、一時的にパーティを組む相手などを探しているようだった。

なんとかカウンターまで行くとセリーヌさんが俺に気がついてくれたようで話しかけてくれた。


「おはようございます。ススムさん。騒がしくてすみません。毎朝はこんな感じなんですよ。」

なるほど、毎朝の恒例行事ならば人とあまり関わりたく自分としては依頼を受ける際はなにか工夫が必要かもしれないなと考えた。


「忙しい中受付業務お疲れ様です。ところでまた資料室に行きたいのですが、構いませんか?」

「今日もお勉強ですか?本当に熱心ですね。勿論部屋は空いてますのでどうぞ。」

「ありがとうございます。では、行ってきますね。」


そう言い俺は二階にある資料室へと向かう。

今日もまた昨日の本を手に取り、読み切れていなかった部分をしっかりと頭に入れ込む。

目的は勿論、素材を効率よく集めるための【ハックアンドスラッシュ】の能力である素材マーキングを発生させるためである。

その本にはかなりの量の素材があったために恐らくだが、冒険者初心者で扱うような素材を特にマーキングしておく。


「このくらいかなあ。他に何か面白い資料はないものか?」

一人でそう言いながら資料を漁っていると興味深い資料を見つける。


その本は『魔素と魔物の関係』という本だった。


魔素?マナでは無いのか?

そう思いその本を手に取り読み始める。


「なになに?魔素とは自然界で発生した負のエネルギーがマナと混じり合うことで生じる物である。また魔物とはこの魔素が自然界に存在している獣を飲み込み変質化したものと思われる。」


はあ、なるほど。

マナは自然発生的エネルギーであることには変わりないが、魔素はそのマナが更に変容したものなのか。

それに魔物も生まれたときから魔物ではなく、獣だったものが魔素にさらされることにより魔物に変化するというのもたいへん興味深かった。


「魔物となったものは、体組織が魔素によって完全に変容し、倒した魔物は大地へと自然に帰っていく。この時、不可思議なことに魔物として形作られていた魔素が稀に大地へと帰らず更に変容し、各種素材へとなり今日、冒険者たちはそれを戦利品として持ち帰ることとなった。何故この様な自然の法則を完全に無視した形となっているのかは要研究である。」


はー。RPGでお決まりのドロップアイテムの謎がここに書かれてたわ・・・。

ゲームではよく倒した魔物から宝箱がドロップし、その宝箱から素材や装備類などが手に入るという仕様だったが、はっきり言ってそれは普通に考えれば滅茶苦茶な道理だと昔から思っていた。

だが、魔素が変容した結果なのだとしたらそれの方がまだ納得できた。

なんせマナという目に見えないエネルギー源が魔法という事象として変換され、魔法によっては物質化までするのだ。


ゲーム好きの身としては本当にある意味では感激するような本だった。

いつか実際にそれを目撃したら涙が出そうである。


他にも色々と見ていたが、特に目ぼしいものは現状では見つからなかった。

後は実際どの様な依頼があるかによって、またここの資料室で資料を漁ることにした。


「しかしお腹へったな。なんか街の出店かなんかで軽く済ませるか。」

そう思い軽く街を散策しながら出店で買った良く分からない肉の串焼きが手頃な価格で香りも良かったため買ってみたが、味は正直イマイチだった。

血抜きはされてるようだったが、獣臭かった上に味付けも塩だけだった。

正直このレベルで出店として出せるなら自分で料理したほうが良いかもしれないなあと考えた。


なんせ40才になるまで独身だったのだ。

趣味程度ではあったが料理も楽しんでいたので資金が溜まったら調理器具などを自前で用意して料理をしてみようかと考えた。


そんなことを考えているとある店が目に入る。

「これは・・・!武器防具の店か!?」


そう、ゲーム好きなら一度は行ってみたい場所でも上位に当たる所、要はリアル武器防具店だった。

「金は無いが、今後の参考程度に見てみるか!」

そう思い店に入ってみる。


「うおおおー!すごい!本物だ!」

そこには画面越しでしか見たことのないような武器や防具類が所狭しと並んでいた。

どうやらこの店は品揃え的に前衛職向けの店だったようだ。


「あん?客か。いらっしゃい。」

奥から出てきたのは無愛想な感じの店主だった。


「ここらじゃ見たことねえ顔だな?新顔か?」

「ええ、最近来たばかりで昨日冒険者登録を済ませたばかりのものです。」

そう言い頭を下げると「ふん」と興味なさそうな顔で見られてしまう。


ああ、なるほど。新人=金無しだとわかっているので態度が悪いのか。

まあ確かに今日は見るだけなので実質冷やかしなのは間違いない。


「手に持ってみても良いですか?」

俺は念の為確認すると、「ああ。」と素っ気なく返されてしまう。


実は俺はゲームを楽しんでいる中でドロップ品の他にもう一つ謎に思っていたことがあった。

それが『装備品による職業縛り』だった。

これは簡単に言えば、職業で魔法使いが片手剣や重装甲鎧を装備ができないとシステムで弾かれるようなものである。

普通に考えれば装備はできるだろうし、なんで出来ないのかというのが疑問だった。


試しに立て掛けてあったコモンの片手剣を手に取る。

「ぐ、重い・・・!!」


片手剣のはずなのに予想以上に重い!!

その様子を横目で見ていた店主がため息を吐きながら質問してきた。


「兄ちゃん、本当に冒険者か?なんで片手剣程度でそんな必死な顔してるんだよ?・・・まさか兄ちゃん魔法職か?」

「・・・ええ、魔法使いです・・・。」

俺は少しの沈黙の後そう答えると店主は呆れたように天井を見上げた。


「あのなあ。片手剣って言っても、そいつは正真正銘の金属製だぞ?木剣じゃないんだ。訓練もしてないやつがそんなもん持てるわけねえだろ。仮に持てたとしても振り回すことは出来ねえし、出来たとしても手首が壊れるだけだぞ。」


店主からの言葉で全て理解した。

装備は決してできないわけではない。だがデメリットが多すぎる。

前衛職が魔法職の装備で着飾ったとしても、貧弱すぎる前衛職が誕生するだけだし、逆に魔法職が前衛職の装備を着ればまともに動くことが出来ない。

故に装備が出来ないのではなく『適さない』が正解だったようだ。


だが、逆を返せば、これらのデメリットを持ってしても装備品の効果次第では遥かにそのデメリット以上のメリットがある場合それは選択の余地があるということになる。

これは大きな発見だった。


そこに聞き慣れた声の人物がやってきた。

「こんにちはー。依頼の品の納品にやってきました。ってあれ?ススムさん!?なんでこんなところに?」

鍛冶ギルドの副マスターであるガルドンの弟子カッフェであった。


「あ、カッフェ君。いや、興味本位で入ったんだけど良い勉強になったよ。ははは。」

そんなやりとりをしてると店主が顔色を変えて急に俺に敬語を使い始める。


「カッフェさんのお知り合いの方でしたか!?いやあ、そんな方とはつゆ知らず!ささ、ごゆっくりなさっていってください!」

キャラの変貌っぷりに若干引いてしまう。


「ああ、いや。ご迷惑になると悪いので今日はここらへんで失礼しますね。色々教えて頂きありがとうございました。」

一応タダで情報を教えてくれたんだ、ここはカッフェに間接的に「この店主は良い相談を聞いてくれたので良くしてあげてね。」という意味を込めて返しておいた。


「あ、僕も行きます。依頼品はこちらに置いておきますからね。ススムさん行きましょう。」

「ん?カッフェ君忙しいんじゃないの?」

「いえ、配達の依頼なだけでしたので。良ければなんであの店にいたのかお話聞きますよ。というか聞かせてください!」

ずずい!っと例に漏れず押しが強いカッフェに押し負けて近くのベンチで話をすることにした。


「なるほど。それで試しに色々見てたわけですねえ。というかススムさん、力が強いと聞いていたのでてっきり前衛職なのかと思ってたんですがまさか魔法使いだったんですね!驚きました。」

「あはは。腕力はあまり自身がなくてね。そうだ、カッフェ君に相談なんだが・・・。」

そういうとカッフェは食い気味に「なんでもお聞きください!」と言ってくれるので遠慮なく聞くことにした。


「魔法使いがSTRやVITを上げるにはレベルを上げる他に装備品に頼るべきだよね?」

そう、俺の相談とは【呪われた】銅の短剣に付いてるデバフの相殺方法だった。


「STRやVITですか・・・?ああ・・・。のろわ、いや家宝の短剣についてですね!」

気を使わせて済まないな、カッフェ。


「そうですねえ。魔法職の方がSTRやVITを補強するなら一番早いのは装飾品(アクセサリー)だと思いますよ。」

言われてハッとした。

そうか、装飾品(アクセサリー)は盲点だった!

今までのゲームでは魔法職での装飾品(アクセサリー)は主に半強制的に付くステータス補正は魔法職に関係するステータスばかりだった。

だが、先程の武器屋での考えどおりならば、確かに魔法職であっても前衛職の装飾品(アクセサリー)を装備するのは制限が掛からない!


「さすが、カッフェ君だ!」

そう言うとカッフェは「いやぁ。」と照れていた。


「でも装飾品(アクセサリー)か・・・。きっと高いんだろうな。手に入れられるのは当分先になるか。」

そんなことを考えていると意図せず口から出てしまっていたようで、カッフェが目をキラキラさせながら「お力になれるかと思います!」と強く拳を握っていた。

「へ?」

「鍛冶ギルドははその性質柄、彫金ギルドとも付き合いがあります。なので鍛冶ギルドを通せば安く手に入ると思いますよ!」

なんと言うことだ、ここにも神がいた!カッフェが輝いて見える。

だがしかしだ、今は当然まだ依頼をこなせていないので手持ち金が宿代だけで手一杯だ。


「じゃあ、何回か依頼をこなして報酬が入ったらカッフェ君に仲介を頼もうかな。それで良いかい?」

「だめです!」

「ええええーーーー!!」

カッフェから持ちかけてきた話だったのに断られて思わず変な声が出た。


「そんなお金を用意せずとも簡単に手に入る方法がありますよ!」

「へ?」

そう言われカッフェに連れてこられたのは再び鍛冶ギルドであった。


「師匠!ガルドン師匠はどこに居られますか!」

「ここだ!何をそんなでけえ声出してやがる?うん、ススムじゃねえか。どうかしたのか。」

そう言われ俺自身なんで連れてこられたのかわからず「カッフェ君に相談したら連れてこられまして。ははは。」と答える。


「カッフェに相談だ!?何を相談した?カッフェに相談するよりまず俺が先だろう!」

やはり師弟というのは似るのだろうか、カッフェと同じ様かそれ以上にガルドンの圧が強い。

「いや、実は・・・」

先程のカッフェとのやりとりを話すとガルドンは納得した様子で頷いている。


「なるほど。確かに駄目だな!」

「えええーーー!!!」

ガルドンからも拒絶されたことで変な声が出て明らかに凹んでしまった。


「なんて声出すんだ、お前。何も仲介を拒むってことじゃねえぞ?」

「そうですよ!だれも仲介しないなんて言ってないじゃないですか。」

「は?」

「お前、色々大変なんだろう?それなら俺を頼ってくれればそんな装飾品(アクセサリー)の1つや2つ、金額次第だが立て替えてやっても良いんだぞという事だ。」

な、なんだってーーー!!

なんとガルドンとカッフェ曰く俺はとんでもない道のりでここまで来たんだからもっと頼れとのことだった。

すまぬ、すまぬ!!ガルドン、カッフェ!!あれ全部嘘なんだよ!!!


「でも装飾品(アクセサリー)ってかなり高いんでは?」

「だから金額次第だといっただろうが。と言ってもうちと彫金ギルドの付き合いは切っても切れない縁だ。当然俺も顔が利く。原価に近い金額で売ってくれるだろうよ。」

ま、まじか・・・。

それは考えてなかったな。

「でもそれではお金は後で返すとはいえガルドンさんやカッフェ君にご迷惑をかけるんでは?」

「良いって良いって。気にするな。お前とはしばらくの付き合いになるだろうしな。」


そこでふと思い出した。

実は街を歩いている時に、外壁の修繕らしき工事をしているのを見かけて、その際大きな石片をテコの原理の応用で持ち上げてるのを見たのだ。

その時は、「なんだ、テコの原理ってもう知られてるんじゃないか。」と深く考えずに見ていたが、先日のガルドンの反応だとそこまで意識されてないのかもしれない。

未知の情報は時として大金を産んだりするものだが、応用が知られているならば価値もそこまで高くはなく、基礎知識は教えて問題ないと考えた。


「では、ガルドンさん。これから教えることでその借りは無しにして貰いたいのですがよろしいですか?」

「ん?なんだ?」

「この間の馬車の件です。」

それを聞いたガルドンとカッフェがびくー!っと身体を硬直させ慌ただしく動き出す。

「カッフェ!!そこ閉めろ!!鍵もかけろ!!」

「勿論です!!誰も入ってこないようにしますね!!!」

「えええーーー!!」

なにやらとんでもないことになっているのに俺は再び変な声が出た。


「そんなに大事になるようなことですか?黙っていたほうが良いですか?」

「い、いやいや!教えてくれるなら是非教えて欲しい!それに教えてくれれば装飾品(アクセサリー)の代金を立て替えるどころか、お前にプレゼントしてやるよ!」

プ、プレゼントだってーーー!!

男からの装飾品(アクセサリー)のプレゼントはあまり気持ちの良いものではないが現状の貧弱な装備で装飾品(アクセサリー)が無料で手に入るのはでかい。

それに建築界隈では既に使われている技術。

多少の技術革新はあるかもしれないが問題はないだろうと考える。


「わかりました。そこまで言ってくださるならお二人だけにお話します。この力を今後どう利用するかはお二人で決めて下さい。私は介入しません。」

そう、俺が発見し口伝したということではなく、最初の始点をガルドンとカッフェにすればいいのだ。

そうすれば俺が知らない所で勝手に発展するかもしれないし、廃れるかもしれない。

その時に俺の名前は出てこない。

人付き合いは面倒なのだ。


「わ、わかった・・・!決してススムの名前は出さないとガルドンの名と腕を賭ける。」

「僕もです!このカッフェもガルドン師匠と同じように名と腕を掛けてお守りします!」

「あ、ああ・・・。そこまで言ってくれるなら・・・。」

あまりの熱の入りっぷりに若干引いてしまったがこれならば大丈夫だろう。


そこで簡単に平たい頑丈な板、鉱石がたくさん詰まった箱そして大きめな石を用意してもらう。

やることは簡単だ。

石を支点にし、板を乗っけて一方には鉱石の入った箱を乗せる。これが作用点だ。

そして力点となる方向の板にぐっと体重を乗せればあら不思議。テコの原理の完成だった。


「実際に試してみて下さい。」

俺がそう言い、ガルドンとカッフェに勧めると非常に興味深そうに何度も何度も試していた。

一応のセーフティとしてそれ以上の情報は渡さず、後はガルドンとカッフェに自分たちで研究してもらうことにする。

モノづくりの人たちって研究するの好きだしね。


「いやはや、すごい技術だなこれは。」

「研究のしがいがありそうですね!師匠!」

「お気に召してもらえたようで良かった。」

「お気に召したどころの話じゃねえよ!!」

ガルドンにそう言われ背中をバンバンと嬉しそうに叩かれる。

だから、ガルドンの力強いんだって!!


ガルドンとカッフェはすぐにこの場を片付けて、これから彫金ギルドに行くとのことだったので準備ができるまでカッフェが用意してくれたお茶を飲みながら時間を過ごした。


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