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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第三章~「オーロ・ヴァレンツ『スラム街』編」~

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【第71話】真紅の番犬

ルビアとの約束の日になり俺は準備をしているとアリスより声が掛かる。

「ススム君、今日は『学校』になる教会に行くんだっけ?」

「うん、そうだね。ただアリスさんとサーシャさんはこれから『穴熊亭スタンド』の話し合いだものね。」

「そうなんだよねえ。本当は私達も学校になる場所を見に行きたかったんだけど、やっぱりこういった事は早い内にやらないとね。」

「うん、その方が結果的に学校の設立にも繋がるし良いと思うよ。こっちは任せて。」

「ありがとうねえ。気をつけて行ってきてね。」

「うん。そちらも気をつけて。」


俺はアリスとフィルルに見送られながら家を出て商業ギルドに向かう。

今日はバレッサも同行する予定だからだ。

商業ギルドに入ると直ぐにバレッサともう一人の賛同者の顔が見えた。


「おはようございます。バレッサさん。アウレリアさん。」

「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」

俺はアウレリアに視線を移す。

「おはよう。今日は私も付いていくことにした。ススムの言うことが本当かどうか自分の目で確認したかったもんでな。」

「なるほど。問題はないと思いますよ。ただあっちは驚くかも知れませんが。」

「話はしてあるんだろう?」

アウレリアが俺に確認してきた。


「ええ。賛同者として二人の名前は既に出しております。恐らく組織のナンバー2であるブルという男が一番驚いていましたよ。」

「それは驚くだろうな。まあ、アイツの顔を見るのが楽しみだ。」

二人とも既に準備は万全と行った形だったので早速移動することにする。


やはり旧教会に近づくにつれてどんどん貧富の差は目に見えて見えるようになる。

「ここは相変わらずだな・・・。」

アウレリアが嘆くように言葉を出す。


「ええ、ですが昔よりはかなりマシになりましたよね。」

バレッサも思い出すように言葉にした。

「というともしかしてここはかなりの危険地帯だったので?」

「そうだな。まさに無法地帯だったよ。だがそれも彼奴等がここを仕切りだした後はぱったりとそんな話は聞かなくなった。」

なるほど。

ルビアは相当尽力したに違いない。

確かにカリスマ性は抜群に高そうな印象はある。


いよいよスラム街にまで足を踏み入れると見張りの人間だと思われる男たちが声を掛けてくる。

「ススムさんですか?」

見た目とは裏腹に丁寧な言葉が飛んできて自然と笑顔になってしまう。


「ああ、ススムだ。ルビアに会いに来たんだが。」

「話は伺っています。そちらは?」

「協力者だ。同じ様に丁重に扱って欲しい。」

「わかりました。どうぞ。」

俺はきょとんとしている二人の顔を笑顔で見て頷く。


恐らく『クリムゾンハウンド』のメンバーと思われる腕に同じ柄のバンダナを巻いた連中は俺の姿を見るなり、「お疲れ様です!!」と元気良く挨拶してくれた。

体育会系だなあと思っているとアウレリアが小声で聞いてくる。

「ススムは一体どんな魔法を使ったんだ・・・?」

「ふふ、さあなんでしょうね?」

そういって話を誤魔化した。


旧教会前には既に一団が整列しており、中心にルビア、その横にブルが並んでいた。

「おはよう、ルビア。熱烈な歓迎に感謝する。」

「よう、ススム。待ってたぜ?忘れちまったのかと思ってたぐらいだ。」

「ふふ。約束は今日だっただろ。」

「まあな。それでそっちは・・・。一人は知った顔だな。」

ルビアはバレッサとアウレリアの顔を見て驚いた顔になる。


「ああ、今日は前に話した協力者を連れてきた。紹介する。商業ギルド副ギルマスのバレッサさんと冒険者ギルドマスターのアウレリアさんだ。」

バレッサがまず一歩歩み出て会釈をする。

「バレッサです。今日は皆さんにとって良き日となることを望んでおります。」

続いてアウレリアさんが一歩進む。

「アウレリアだ。恐らく何人かは私のことは知っているだろう。・・・ブル。久しぶりだな。息災か?」

声を掛けられたブルは驚いた表情をしている。

「ええ、お陰様で。未だ覚えてくれていたとは光栄です。」

「忘れるわけ無いだろう。まあ、積もる話はまたな。」

「・・・ええ。」


「俺はこの『クリムゾンハウンド』を纏めていたリーダーのルビアだ。ススムの話は半分嘘なんじゃないかと思ってただけに二人に会えて真実なんだと改めて思い知ったよ。」

「全く、どれだけ信用されてないんだか。」

「信用ってのは少しずつ積み上げていくんだろう?」

「あはは。確かにな。それで?そちら側の答えはどうなった。」

俺が問いただすとそれを合図に、一斉に『クリムゾンハウンド』のメンバーが跪いた。


「俺達『クリムゾンハウンド』、総人数56名は1名も欠けること無く、恩人であるススムの話を受け入れ全面的に協力させてもらうことを誓う。」

その光景はまさに圧巻だった。

そしてその光景に圧倒されていたのは俺よりも同行者の二人だった。


「おいおい、止してくれ。俺達の関係に上も下もない。対等な立場で行こう。」

俺はそう言いルビアに手を差し伸べる。

「だが俺達は色々と支えて貰う立場だ。」

「いや、違う。これから一緒に学校を作っていく協力者であり、ここを守護してくれる者たちだ。今までここを大切に守り続けてくれたこと、感謝する。」

俺がそう言うとルビアは俯きボロボロと涙を流す。

「ああ・・・。ああ・・・!」

「さあ。」

そして改めて俺は手を差し出すとルビアはしっかりと手を取り、涙を拭き立ち上がる。

その瞬間に大歓声が沸き起こった。


「なるほど。これがススムか。」

「ええ。そうですね。」

アウレリアとバレッサが俺に聞こえない程度の声で話をしていた。

暫く後、落ち着いてきた所で俺はルビアに提案をする。


「ルビア、折角だしギャング団では無く正式に『自警団』を名乗ったらどうだ?今ここに冒険者ギルドのギルマスも居るんだ。敵意がないことを示すにはぴったりだと思うが。」

アウレリアもそれに同調する。

「ああ、そうだな。そうしてくれれば私たちも協力しやすくなる。」

それを聞きルビアは何かを考え始める。

「自警団・・・。自警団か・・・。ススム、良ければ俺達に新しい自警団としての名前をくれないか?」

えええーーー!!??

そこまでは考えていなかったな・・・。


「うーーん・・・。そうだな。『クリムゾンケルベロス』なんてどうだ?真紅の番犬っていう意味だが。」

「真紅の番犬、『クリムゾンケルベロス』か・・・!よし!お前ら!!俺達は今日から自警団『クリムゾンケルベロス』だ!!」

その瞬間うおおおお!!という再び大歓声が起きる。

どうせならもっと深く考えてやればよかっただろうか?

まあでも当人たちが気に入ってくれたならそれでいいか。

あ、そうだ。

折角ならお揃いの腕章でも作ってやるか。


場が落ち着いた後、ルビアを先頭に旧教会内部やスラム街の状態などを確認して回る。

「ふむ。やはり教会の屋根の補修は必須だな。」

俺は手にしたメモ紙にやるべくことリストを書き連ねていく。


「ですが思っていた以上に綺麗な状態で残っていて驚きましたね。」

「ああ、私ももっと荒れているかと思ったが。」

アウレリアとバレッサが感心していた。


「まあ、ここは俺達の重要な拠点だったからな。」

「その様だ。だが要塞化は徐々に解除していかないと駄目だな。」

「うっ!やっぱりか・・・。」

「何か不安な要素でも?」

明らかに動揺しているルビアに話を聞く。

「この要塞化はある意味では印だったんだよ。抑止力としてのな。それが解除されるとなると心もとない。」

「ああ、なるほど。それなら問題はないだろう。」

俺は思い当たる事が合ったのでそれを説明する。


「前にも言った通り、今回の話は場合によっては『国』が後ろ盾になる可能性がある。そうなった場合はこんな要塞よりも遥かに印象深く抑止力になるものが掲げられるぞ。」

それを聞いたアウレリアが納得していた。

「確かに。もしここに国の象徴となる『国旗』が掲げられれば、それ以上の抑止力はないな。なんせ『国旗』が掲げてある建造物に攻撃したものはもれなく『死罪』だ。」


その話を聞いたルビアが驚愕していた。

「な・・・!其処までの事になるのか・・・!」

「まあまだ、未定だけどな。」

「だが、それならば要塞化は解除するのは問題ない。良かった。」


俺達が街の様子を見ていると、見知った子どもたちが俺に近寄ってくる。

「ススムの兄ちゃん!」

「ん?ああ。君たちか。」

俺はしゃがんで目線を低くし、声の主に挨拶をする。

その声の主はダンジョンより救助したカイト、リア、レオンやその友人たちだった。


「おはよう皆。体調はあれから問題はないか?」

「うん!」

「ありがとうね、ススム兄ちゃん!!」

「あはは。元気ならそれでいい。」

「ススム兄ちゃん、ルビアが言ってたんだけどここに『がっこう』っていうのが出来るの?」

「ああ、その予定だ。もし良ければ君たちもその『学校』に入らないか?」

「いいの!?」

俺が子どもたちに話を振ると子どもたちは目を輝かせ始める。


「ああ。まだいつからとは約束できないが可能な限り早くに『学校』を始めるよ。」

「「「やったー!!」」」


「ルビア、この街全体で子どもたちはどれくらい居るんだ?」

「数はかなり居るな。学校に通える子どもたちはどの程度を見込んでいるんだ?」

「そうだな。最初は20~30人位か?」

「そんなもんか。まあ学校そのものが始まらないと、親たちも賛同出来ないだろうしな。」

「ああ、そうだな。だが、学校が始まる前にやっておくべきこともありそうだ。」

子どもたちは皆痩せ、ボロボロな衣服を身に纏っていた。

俺はそれを確認しバレッサも同じ事考えていたようだ。

「ルビア、誰でも良いから狩りが出来るやつは居ないか?」

「狩りだって?何だってまた。」

「これから食料調達に行くぞ。」


そうして俺達は緊急食糧調達をしに街の外に出ることにした。

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