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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第一章~「最初の街『ミストヴェイル』編」~

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【第7話】チュートリアル

「ではこちらになります。」

そういってセリーヌさんは2階の資料室に案内してくれる。

今日はもうあまり時間はないので1時間ほどで閉めるのでその際、また知らせに来てくれるとのこと。


「ありがとうございます。早速なんですがなんですが初心者向けのクエストにぴったりな本とかってありますか?」

俺は到着するなり早々に聞いてみる。

何事も初心を大切にね。


「初心者向けのクエストは主に薬草類の採取になると思います。そうですね。こちらは如何でしょう。」

そう言って一冊の本を渡してくれる。

「では私は他の業務がありますのでここで失礼しますね。」


「何からなにまでありがとうございます。」

そうして俺は頭を下げると「その服、よくお似合いですよ。」と言い下に戻っていく。

やめて!おじさんこの年まで女性から褒められたこと無いから照れちゃう!!


「さて、どれどれ。よっこいしょ。」

座る時40才のおっさんらしい言葉が自然と出てしまうのは仕方のないことだ。

手渡されたのは、『初心者向け・薬草と毒草辞典』といった本で薬草と毒草の見分け方を中心に書かれていた。


なるほど。意外と細かく特徴や効能が書いてある。

昔から思っていたんだがこういう物を調査するときって間違いなく実際に試してその効果を記載しているわけで、薬草の場合は良いと思うが毒草の場合の効能ってどうやって調べてるんだろう。

囚人とかに試してるのかな?

そう考えると地球で初めてシャコとかナマコとか食べた人って凄いと思わない?


「んー、何かメモが取れれば良いんだがなあ。」

俺は職業柄記憶力は悪くはなかったが、それでもきちんとメモを取ることを重視していたのでトラブル等は少なく済んでいた。

この世界では紙やペン、インクなどは当然貴重品だ。

どうしたものかと考えていた時、【ハックアンドスラッシュ】の能力の一部である『システムメニュー』が起動する。


「んお!?」


びっくりして慌てて椅子から落ちそうになる。

突拍子もなく突然眼の前に現れるからな。

そりゃ慌てるわ。それで今回はなにがトリガーになったんだ?

大体この『システムメニュー』が発動する時は何かがトリガーになり、役立つことが記載されている場合が多い。


【素材:薬草(初級)を◯としてマーキングしますか? はい/いいえ】


なんてことだ。

薬草についての見識が深まったことがトリガーになったのか、それを素材と認識したことでマーキングしてくれるとのこと。

確かにハクスラゲーでは大量の素材が必要になるが故に欲しい素材が枯渇した際、効率良くその足らない素材を入手するために視覚的にわかりやすくするためにマーキング仕様というものがあった。

まさかそれが使えることになるとは思ってもいなかった。


そういや、素材のマーキングって複数個出来なかったっけ?

それに『◯として』と言うのが非常に気になった。

そう思った俺は、まず薬草(初級)をマーキング設定した後、素材本で中級程度の薬草の知識を頭にねじ込んだ。

すると予想は的中し再度『システムメニュー』が発動する。


【素材:薬草(中級)を△としてマーキングしますか? はい/いいえ】


ビンゴ!やはり複数個であっても記号が変わるだけで素材マーキングが出来る!

これは実際に明日にでも採取に行きたいと思ったが、いかんせんまだ冒険者証が出来ていない。


「たしか明後日だったか・・・。」

「何が明後日なんですか?」

セリーヌさんが時間になったので呼びに来てくれたようだ。


「ああ、いや。冒険者証ができるのが明後日何だよなと思って。」

「なるほど。確かに新人冒険者さんたちはいつも登録完了すると同時に依頼ができると思っているのか冒険者証を受け取るまでの2日間はソワソワしてますものね。」

そう言いながら「ふふ」っと笑っていた。


「では今日はこちらは施錠しますね。」

「はい、ありがとうございました。」


「ところで、ススムさんは今日の宿は決まってるんでしょうか?」

「あっ・・・、そういえば止まる所考えてなかったです・・・。」

セリーヌさんから言われてふと思い出したが確かに決めてなかった。


「でしたら私の幼馴染が勤めています、食堂兼宿がありますが、ご紹介しましょうか?値段も一般的ですのでお勧めですよ。」

女神!やっぱりこの人女神だよ!!!


「本当に何から何までありがとうございます!!」

「私の家までの途中にありますので一緒に行きましょうか?」

な、なんだってーーー!!それは実質デートなのでは・・・!?

「残念ですが、デートにはなりませんので。」

どうやら顔に出ていたようだ。穴があったらバンジージャンプしたくなるほど恥ずかしかった。


「では行きましょうか。」

そういってセリーヌさんとともにその宿屋に向かう。

場所は比較的人通りもあり、賑やかな場所に位置していた。


「ここがその宿屋兼食堂の『森の穴熊亭』です。幼馴染に見つかると飲もうとうるさいので見つかる前に私は失礼しますね。では。」

「あ、はい。ありがとうございました。」

あっさりと行ってしまった。


外からでも賑やかなのが分かる程度に繁盛しているその宿屋兼食堂に入る。


「いらっしゃいませー!一人ですかー?」


元気いっぱいというようなセリーヌさんと同い年くらいの少女が声をかけてくれる。

「あ、いえ。冒険者ギルドからのおすすめで宿を取りたくて。」

「冒険者ギルド?セリーヌかしら!?あの子は?」

「帰りましたが。」

「逃げられたかー!!」

ということはこの少女がセリーヌさんの幼馴染なのだろう。


「あ、私この店の看板娘のアリスです!聞いてるかもだけど、セリーヌは私の幼馴染なんだ!」

「お聞きしています。」

「そっかー!まあいいや、宿だったね。確か丁度一部屋空いてるよ!うちは朝夕の2食付で1泊四角銅貨4枚。素泊まりなら四角銅貨3枚だね。連泊するなら前払いで払ってもらうけど割引もあるよ!」


そういやどれぐらい泊まろうか考えてなかったなあ。

とりあえず冒険者証が出来るまでの2日間は泊まったほうが良いだろう。それ以降はクエストを受けて報酬次第で考えることにした。


「とりあえず2泊を食事付きでお願いしようかな。」

「わかった。じゃあ前払いで四角銅貨8枚ね。」

「わかりました。ではこれで。」

そう言いながら財布代わりの革袋から銀貨1枚を出す。

「銀貨1枚ね。先に食事するなら適当に座っててくれれば今日の分の夕飯とお釣り、あと部屋の鍵持ってくるけどどうする?」

そう言われればこちらの世界に来てからまともな食事を取っていないと思い出したら急にお腹が鳴り出す。


ぐーー


「あはは。先に食事だね!じゃあ適当に座ってて!」


地球にいた頃もそうなんだが、特に席を指定されないと一番端っこで人があまり来ないだろう場所に座る癖があり、今回も自然とそういった席に座る。

人と接するのは苦手だが、こういう場所で他人を観察するのは比較的好きな方だった。

なんせ、なにが起きても他人事だしね。


しばらくすると、アリスが食事とお釣り、部屋の鍵を持ってきてくれた。

「おまたせ!なにもこんな端っこに座らないでもいいのに。まあいいや、これ鍵ね。部屋は二階だよ。ごゆっくりー!」


今日の夕飯は野菜が多めなスープにソーセージ、そして固めなパンだった。

当然だが、お米は無いよなー。

自分はこういうおかずでも主食はいつもお米だった。

まあでも文句は言ってられない!


「いただきます!お、うまいな。」

スパイスは当然高級品だろうがハーブ類や塩加減が丁度良く、非常に美味しいスープだった。

ソーセージもよく火が通り焦げ目が香ばしい。

パンは硬かったのでしょうがなくスープに浸して食べた。

パンだけはやっぱり日本のパンがいいなあ。


腹が満たされたので、「ごちそうさまでした。美味しかったです。」と言い、2階の部屋に行く。

部屋は非常に簡素でほぼベッドだけの部屋だったがそれでも十分だと思った。


「あー、疲れたー。しかし本当に色んなことがあったなあ。初めての魔法も使うことが出来たし。まあ若干やらかしたっぽいが・・・。そうだ!」


ガバっと起き、今日初めて魔法使いになったことにより自身のステータスが表示された。

以前は職業が空白だったため発動しなかったが先程見れたということは、今も見れるのではないだろうか?

そう思い心のなかでステータスと考えるとやはり出てきた。


『ステータス』


名前:ススム

職業:魔法使い

年齢:20才

出身地:不明

種族:ヒューマン

レベル:2

残りSP:1

各ステータス:HP:3、MP:5、STR:3、VIT:3、AGI:4、MND:6、INT:8、LUK:-10

初期スキル:言語理解、ハックアンドスラッシュ

取得魔法:ファイアボールLV1


それにしても魔法使いだからって言うこともあるだろうがやはり基本HP、STR、VIT、AGIはかなり低い。

あの【呪われた】レアの銅の短剣を装備すれば、STRとVITはマイナスになるだろう。

恐らくこの世界においてステータスがマイナスになるということは、短剣の前の持ち主だったゴブリンの様に扱いきれず体調不良を起こすと考えた。

なので当面レベル上げを重点に考えせめてSTRとVITが順当に行けば後7あがれば短剣のマイナス分と相殺出来るので最低限LVを7上げるか、もしくは装備品のバフで相殺するかの2択を考える必要がある。


次に考えたのはスキルツリーだ。

同じ様に心の中でスキルツリーと言うとやはりそれは表示される。


それは魔法使い用の『スキルツリー』であり、恐らくこの世界に住まう一般住民は視ることの出来ないものなのだろう。

教官とのやりとりや反応を見る限り、このスキルツリーを見ることやこれにSPを任意で割り振り、自在にそれを使えるようになるのも、俺の持つ【ハックアンドスラッシュ】の固有の能力なのだろうと考えた。

おれはそのスキルツリーをじっと眺め今後のルートをざっと考える。


主にこの『魔法使いのスキルツリー』に書かれているのは以下の通りであった。


基礎魔法

応用魔法

防御魔法

召喚魔法

バフまたはデバフ魔法

特殊魔法

究極魔法

そして各魔法を強化する常時発動するスキル通称パッシブの強化


ちなみに魔法属性は火・水・風・土が基本であり、稀にスキルツリーの条件を満たすとそれ以外の魔法属性に繋がる場合がある。

更に例えば今回覚えたファイアボールも、それを覚えたら次の魔法という事も出来るが、ファイアボールを最大で5段階強化した上に更にそこから特性を2個付けることが出来る。

恐らくこの世界では重要視されていない基礎魔法のファイアボールですら、きちんとこのスキルツリーを理解し、適切にSPを振るとそれだけで主力の魔法にまで強化ができるということだ。


ただしこれもハクスラゲーではあるあるなのだが最初に自分が思い描いていたスキルツリーの完成形と、実際に手に入った装備の性能が乖離している場合は、その構成は成り立たず破綻する場合がある。

その場合はスキルツリーを見直すか、装備を見直すかをして現状に即した形を取るのだが。

そこまで考えてもしやと思った。

スキルツリーの見直し、つまり『SPの振り直し』は可能かどうかと。

これがなければハクスラゲーは成り立たない。

それ故自分はスキル【ハックアンドスラッシュ】の能力を信じ声に出してそれを確認する。


「SPの振り直し」


するとやはり現れた『システムメッセージ』。


【現在のレベルでスキルを振り直すには1ポイントに付き100ミラル必要です。振り直しますか? はい/いいえ】


このメッセージが出たことで俺は思わずガッツポーズをしていた。

SPが振り直しは【ハックアンドスラッシュ】の固有スキルで恐らく他の誰も使えないと思われたからだ。

自分しか持っていない能力というのはそれだけで大きなアドバンテージなる。

振り直しが不可だった場合は装備を振ってしまったスキルツリーに合わせる必要があったが、振り直せるならば、装備に合わせて、振り直しをすれば良い。


最低限のこの【ハックアンドスラッシュ】の能力を確認した後、眠気が襲ってきたので俺は床についた。


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