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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第二章~「商業都市オーロ・ヴァレンツ編」~

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【第56話】密会

明日も朝早くから通常のダンジョンに潜ろうとしていたそんないつものこと。

『ススム様、どうやら知らない方の来客のようです。』

「え?こんな時間に?」

『その様ですね。ただ一般の方ではないと思います。』

「うん?まあいいや。」


俺は玄関まで行き来客を迎える。

玄関を開けると丁度来客者がドアを鳴らそうとしていたようであった。


「今晩は。どちら様でしょうか?」

「あ、ああ。今晩は。失礼致しました。私はとある方の使いの者です。」

「使い?」

その人物は非常に整った姿をした老紳士であり振る舞いも一般人ではない。

貴族特有の気品さらしきものを漂わせている気がした。


「ええ。明日大変急ではありますが会って頂きたいお方がおります。お手数ではありますがこちらのお手紙を拝見して頂き、ご足労頂けないでしょうか?」

そうして一通の手紙を出す。

手紙もしっかりしており蝋封をしてある。


「自分に拒否権は?」

「強制ではないですがお会いしたほうが今後の様々なことにメリットがあると思います。」

「メリットねえ・・・。」

「はい。」

「分かりました。場所と時間は?」

「場所は役場になります。時間は午前10時頃にお越し下さい。」

「ではその頃に伺います。」

「感謝申し上げます。では失礼致しました。」


バタンとドアを締め早速手紙を見るがそれは感謝を示しまた直接会いたいと言った内容の手紙であった。

「感謝?俺誰かに感謝されるようなことしたかなあ?」

『あの方、貴族関係ですかね?』

「あ、フィルルもそう感じたか。うーん、じゃあ明日は洋服汚いままじゃ問題になりそうだよなあ。」

『では以前仕立てていた余所行のお洋服なんてどうでしょう?折角なので着てあげないと勿体ないですよ。』

「ああ、そんなのもあったなあ。じゃあ明日はそれにするか。」

俺はいつか重要な人物に会うことになった時のように一着だけ上等な服を仕立てておいた。

まさかこんなタイミングで着る事になるとは思っていなかったが。


翌朝、ダンジョンに行くこともせず10時から人と合うということで久しぶりにゆっくりとした朝を迎える。

『今日は随分ゆっくりでしたね。』

「やることもないしねえ。」

『お洋服の準備はできていますので。』

「ありがとう、フィルル。そうだ、ポチ。今日はお留守番出来る?」

『やだ!』

「即答かよ。」

『ポチは御主人と一緒なの!』

「うーん、じゃあ今日は連れて行くけど抱っこもおんぶも無しだぞ。」

『頑張って走っていく!』

「そうして。言う事聞けたら干し肉上げる。」

『やったー!』

「フィルルにも果物置いていくね。お昼どうなるかわからないし食べて良いから。」

『ふふ。ありがとうございます。』


そうして準備を整え、俺は役場に向かう。

気のせいか役場付近が若干物々しいような気もする。

うーん、これは面倒くさい予感。


中に入ると早々に止められる。

「待て!今日は特別警戒中だ。無用な立ち入りは制限させてもらう。」

「俺は今日この時間に来るようにと指名を受けたわけだが?」

俺はそう言い、昨日の手紙を出す。

すると警備員はすぐに事態を把握したようで態度を改めた。

「失礼しました!ご案内致します!」


警備員を戦闘に最上階の応接室まで通される。

コンコン

「失礼致します。お客様をお連れ致しました。」

「入れ。」

うん?この声何処かで聞いたことある気がするな。

そんなことを思い入室するとその声の主がわかった。


「やあ、久しぶりだな。ススム。」

「やはり、ヴォルフガング前伯爵でしたか。お久しぶりです。」

俺は跪こうとするもそれは止められた。


「今日は一私人として来ている。なので前伯爵も止めて貰えれば助かる。」

「わかりました。ヴォルフガングさん。それで、そちらのお方は?」

「初めまして。私はアインズと申すものです。よろしくお願い致しますね。ススムさん。」

アインズと名乗った男は非常に線が細く美形だった。

だがこの男、間違いなく貴族の中でも頂点に近いと感じた。

ヴォルフガングの前でも堂々としており物怖じ一つしていない。

何よりも気迫が違う。

下手したら王族関係者かも知れない。


「初めまして。冒険者のススムと言います。」

「お噂は聞いております。何でも、命がけで『灰石(かいせき)還しの秘薬』の主材料を集めてくださったとか。」

「ああ、『朝露のセージ』ですね。確かに。」

「おかげで私の命は今ここにあります。感謝申し上げます。ススムさん。」

「では、緊急で必要としていたのは貴方だったのですね。間に合ったようで良かったです。」

「それにどうやら、私の孫娘サーシャが再び大変な世話になったようだな。」

「ダンジョンの件・・・、ですかね?」

俺はアインズが居る手前ぼかしながら答えることにする。


「左様。本当に何から何まで世話になった。」

「まあ、困ってる人が目の前に居て、自分の力であれば助けられる状態だったら助けもしますよ。」

「なるほど。素晴らしいお考えのお方だ。ヴォルフガングさんが気に入るのも納得です。」

「いえ、そんな高尚なものでは有りませんから。お二人共お気になさらないで下さい。」

「本当に君というやつは・・・。」

ヴォルフガングがそう言いかけたその時だった。


「し、失礼致します!ヴォルフガング様に至急のお話があります。」

「なんだね?今は大切な客人と会談中なのだが?」

急いで入ってきた男がヴォルフガングに耳打ちをしている。


「何!?ミストヴェイルの街が!?」

「はっ!」

「しかし困ったな。ここからはかなり距離がある・・・。」

俺はミストヴェイルという言葉を聞き、嫌な気配を感じる。


「どうかしたんですか?」

「うむ・・・。お主になら話をしてもいいだろう。どうやらミストヴェイルに『スタンピード』の兆候が現れているらしい。」

「『スタンピード』・・・ですか?」

「そう言えばお主は余り時勢に詳しくなかったな。『スタンピード』とは大雑把に言うなれば魔獣たちの大量襲来だ。原因は未だに良くわかっていないのだが、『スタンピード』に襲われた街は原型を留めないほどに破壊される場合が多い。その兆候が今ミストヴェイルに現れているらしい。」

「えっ!?大事じゃあないですか!軍などは動かせないのですか?」

「ミストヴェイル正規軍は勿論出陣する。それに冒険者ギルドも傭兵団を結成するはずだ。だが他の街からはあの街へ軍を派遣したとしてももう終わってしまっている可能性が高い。」

「そんなに侵攻性が早いものなんですか?」

「かなり早い。」


らしく無く、俺は深く考えるよりも先に言葉が出てしまった。

「僕がミストヴェイルの街に行きます。」

「そう言ってもらえるのは心強いがそれでも間に合わない可能性が非常に高い。」

「いえ、間に合います。僕にはその手段がありますので。」

「手段・・・?」

「ええ、ですがこれはあくまで僕個人が行うことです。干渉しないでいただければ助かります。」

「・・・わかった。任せよう。」

「ありがとうございます。では失礼致します。ポチ行くぞ!」

『わかったのー!』


俺は即時家に帰り支度を整える。

『ススム様・・・。』

「大丈夫だって、フィルル。そんな顔するな。すぐ戻ってくるさ。」

『はい・・・!フィルルは信じてお待ちしております!』


そうして俺はこの館のダンジョンを攻略した際の報酬である、扉の形をした石の前に立つ。

転移陣(ポータル)起動。」

俺がそう言うと、石の扉がガパっと開きひしゃげた空間が浮かび上がる。

俺はそれに触れると『システムメッセージ』が起動する。


『現在転移陣ポータルに登録されているされているのは以下の街。』

・ミストヴェイル

・商業都市オーロ・ヴァレンツ


「じゃあ、行ってくる。」

『行ってくるのー』

『お気をつけて!』


俺は『ミストヴェイル』を選択し、その転移陣(ポータル)に飛び込む。


うわぁあ!空間がぐにゃぐにゃだあ!!

そう思ったのも一瞬のことで俺はある部屋に放り出された。


ゴロゴロゴロ、ドターン!!

「ぐえ。イタタタ・・・。」

俺がぶつけた頭を抑えながら周りを見ると見慣れた風景がそこにはあった。


「ああ、この部屋に繋がってたのか。」

この部屋は俺がミストヴェイルで活動していた時に寝泊まりしていた、穴熊亭の部屋だった。

後ろを振り向くと何故かポータルの石も存在している。

「あれ?一方通行じゃなくて繋がったのか?」


そんな事を考えていると下からドタドタドタ!とすごい勢いで階段を駆け上がってくる音がする。

バターン!!

扉が勢い良く開かれるとそこにはパックとアリス兄妹がいた。

「す、ススム君!!?」

「ススム!!」


「あはは・・・。ただいま。」

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