【第55話】普通✕呪い=?
ダンジョン攻略と薬草類の納品を行いだしてから数日が経った頃、冒険者ギルドより一斉に『収納鞄解体術』が公表されることとなり暫くの話題はそれ一色となった。
これで自分としても今後より人の目を気にせず『収納鞄解体術』を使えるようになったので何よりだ。
最近ダンジョン攻略は経験値0、戦利品がピースだけでも積極的に毎日のように通うようにしていた。
目的は【呪われた】ダンジョンのピースの自給自足である。
数回ほど通常のダンジョンを通い気がついたが、今のところほぼ100%の確率で【呪われた】ダンジョンのピースが落ちている。
それならそれを逆手に取り周りから怪しまれること無く、ピースを自給自足すればいいと思った。
何より経験値が得られなくても、ダンジョンや戦闘における『経験』を得られるのは非常に大きかった。
『最近ススム様は毎日ダンジョンに行ってますね?大丈夫ですか?』
「大丈夫って何が?」
『体力です。』
「ああ、それは大丈夫。休み休み攻略してるからね。トラップの存在も狼が気がついてくれるし。」
『ポチも最近わかるようになってきたのー!』
「ああ、そうだな。確かに最近はポチも見つけてくれるね。」
そう言い俺はわしわしとポチを撫でる。
『明日もまたダンジョンですか?』
「ああ。明日はちょっと試してみたいことがあってね。」
『そうですか。まあススム様が元気ならフィルルは何も言うことはないですが。』
「フィルルもありがとうね。あの三人毎日大変じゃない?迷惑だったら言ってくれて良いんだぞ?」
『迷惑だなんてそんな。言葉は伝わらないですが、可愛がってくれてますよ。』
「そっか、じゃあ良い。任せるね。」
『はい。お任せ下さい!あ、お米炊けたか見てきますね。』
「うん、よろしく。」
あれからフィルルもお米の美味しさに目覚めたようで毎日のように食卓に米が並んでいる。
「さてと・・・。」
俺がそう言いながら取り出したのは最近集めてきているダンジョンのピースが入った箱である。
今回俺が実験しようとしたのは、通常のピースと呪われたピースを混ぜると、完成するダンジョンはどうなるのか?だった。
俺は2種類のピースを組み合わせてダンジョンを生成した。
『ダンジョンの入口を発見しました。』
名前:“寺院で” “眠れる” “悪魔の” ダンジョン
推奨レベル:31
『ダンジョンに侵入しますか? はい/いいえ』
今回はこのダンジョンの“悪魔の” が呪われているピースでそれ以外の2種は通常のダンジョン屋で購入してきたものだ。
俺は翌朝、米で作ったおにぎり等を弁当として時を止める収納鞄に入れ、早速ダンジョンに足を運ぶ。
ダンジョン内部はその名の通りでかい寺院の様な見た目をしている。
今回も複数の部屋があるタイプだが、フィルルの館のダンジョンまで細くはない。
かなり大きなダンジョンだ。
早速敵対反応があるため俺はファイアボールをぶっ放して狼を先頭に行かせ様子を見た。
すると敵対する目標が消滅した途端、少なくはあったが経験値が入る。
「おお?経験値が0じゃなくなったぞ?と言うと一部でも呪われていると経験値は少ないながらも入るのか。これはでかい情報だ。」
俺は一人で確認しながら休み休み進む。
ダンジョンの良い所は倒した場所からは敵が再出現しないことだ。
お陰で一方的な戦闘とその後の休憩を行い、安全に歩を進めることが出来ている。
ある程度進んだ所で俺は作ってきたおにぎりを食いながら敵を殲滅していく。
うーん、遠距離誘導形魔法最高・・・。
それにおまけのルーンの狼達も率先して敵陣に突っ込んでくれる。
自分は敵対反応があった場所からほぼ動かず、安全地帯で待機しているだけなのだ。
そうしてどうやらボス部屋の前までたどり着くことが出来る。
ボス部屋は通常だろうと呪われていようとやはりどこかしらのオーラと言うか圧力のようなものを感じる。
なので存分に休憩を取って、準備万全になった所で俺は侵入する。
ギィィ・・・バタン!
大きな鉄扉が自動で開き、俺が入ったと同時に勢い良く閉じる。
どうやら最終地点で間違いなさそうだ。目の前には3体のガーゴイルの石像が並んでいる。
目視できる距離だがいまだあちらに動きはない。
ならこちらからやることは唯一つ。
『紅蓮の理よ、我が掌に!――ファイアボール!』
遠距離からのファイアボール、そしておまけのメテオフォールだ。
今回は敵と思われるガーゴイルが三体居るので一気に巻き込んでメテオフォールが雨あられと降り注ぐ。
一連の攻撃が終了する頃にはガーゴイルだっただろう石が転がっているだけだった。
それと同時に経験値も少ないながら入ってくる。
「一応ボスからも経験値は入るようだな。よしよし。」
そんな事を思っているとポチが暴れ出す。
「御主人!なんか出るよ!」
「うんー?わかったから暴れるな暴れるな。」
俺はポチを抱っこしながら戦利品が生まれるであろう場所に行く。
するといつもの如く、ルーンが一つがある。
そして弱々しい光を放つズボンが手に入った。
この光方からするとアンコモンかレアくらいかな?
だが、それに対しポチは遠吠えのようなことをする。
するとそのズボンに見た事が無い文様が一瞬浮かび上がり消えた。
「ポチ、今のは?」
『わかんない!』
「・・・、そうか。」
まあ、良いやと俺は深く考えずそのズボンを手に取る。
【レア:魔術師のズボン(加護)】
効果:HP-10、MND+2、INT+3、LUK-5
【レア:魔術師のズボン(加護)を鑑定しますか? はい/いいえ(鑑定用アイテム0個)】
「LUKが下がっているってことは間違いなくこれは【呪われた】装備だろうな・・・。それにしてもこの加護っていうのは何だ?」
俺は頭に?を浮かべていると、先日の幸運の女神の一件を思い出す。
「まさかこれが『女神ヴェリティアの加護』か!?ならさっさと鑑定しないといかんな!」
俺は崩壊を始めたダンジョンからさっさと脱出する。
そう言えば鑑定用の魔道具買わないと無かったな・・・。
不本意だがサーシャにお願いするしかなさそうだ。
時間感覚は通常のダンジョンだった様で今は午後3時頃だった。
まあ、多分今日も夕飯食べに来るだろう。
そんな事を考え、まずはダンジョンで汚れた身体を風呂で流す。
「ふー、ダンジョン帰りの風呂は最高だな。」
『気持ちいいのー。』
丁度風呂から出た頃だった。
フィルルがサーシャ達が来たと教えてくれる。
「まだ夕飯には大分早いがなんだろう。まあ鑑定用の魔道具も聞かにゃいかんし良いか。」
そうしてフィルルに通すよう言うとサーシャが突っ込んでくる。
「ススムさん!どうしてこんな便利なこと教えてくれなかったんですか!というかススムさんの名前がないのは何故ですか!?」
「おうおうおう・・・。どうしたの?そんな興奮して。」
「興奮もしますよ!昨日発表された収納鞄解体術、あれ発案者ススムさんですよね?」
俺はスイーっとめを逸らしながら「いいや?」と答える。
「なんで私の目が見れないんですか!」
「そ・・・それは・・・。サーシャの目が綺麗だから?」
「な!?そういうことは私の目を見て言って下さい!!」
「何バカなことしてるんですか、サーシャ様。」
セリルにガッと掴まれたサーシャは正気を取り戻す。
「ああ、そうだ!なんでススムさんの名前がないんですか?」
「僕には関係ない話だからなじゃないの?」
「うむむー!!」
あくまで白を切る俺にサーシャがふくれっ面をした。
「ああ、それよりもサーシャさん。今低級ので良いので鑑定用の魔道具あります?」
「【呪われた】装備ですか!」
そんな目をキラキラさせて言うことじゃないと思うぞ、残念美少女よ・・・。
そうして俺は早速サーシャの力を借り早速レア等級の『魔術師のズボン(加護)』を鑑定士てみたのだがその結果がとんでもないものだった。
【レア:魔術師のズボン(加護)】
効果:HP-10、MND+2、INT+3、LUK-5
鑑定効果:魔法詠唱が成功すると防御力が10%上昇する。
加護効果:【召喚属性】のスキルを発動した時、1体多く召喚する。
加護:女神ヴェリティアの加護
空きスロット:2個
やっぱり『女神ヴェリティアの加護』で二重特性になってたか・・・。
仮にスキルが1個しかつかなかった場合でも今回の場合で考えれば防御力が10%→20%になるのだからとんでもないチート加護な気がする・・・。
これで『レア等級』とか等級感覚おかしくなるわ・・・。
「そう言えば、僕も鑑定用の魔道具を低級、上級欲しいんだけど鑑定屋か商業ギルドで買えるんだっけ?」
「はい、買えますよ。ただめちゃめちゃ高いですよ?」
「・・・マジ?」
「大マジです。その分私にお願いすればこうして気軽に鑑定してあげれますよ!」
「それは単純にサーシャ様がススム様に会いたいのと呪われた装備を見たいからでは?」
「セリルー!!!シー!」
兎にも角にもこうして俺は更に装備の性能が今後一段階どころか3段階位上の物が揃うようになったのだった。




