【第51話】ダンジョンを作成しよう!
俺は風呂に入りさっぱりした所で新しいベッドの上で早速『一時的なダンジョン作成モード』を起動する。
『一時的なダンジョン作成モード』で設定できるのは以下の内容だった。
・ダンジョン全体のレベル
・ダンジョンに出てくる敵の種類
・ダンジョン内部の特徴
これは俺が予想していた一時的なダンジョンを作成する時に必要な3つのピースに振り分けられている物だと予想した。
俺は今のレベルって幾つだっけと『ステータス』を確認すると、フィルルのダンジョンでレベルが上っていたのかレベル27に上がっていた。
SPも2余っていたのでとりあえず今のビルドに合う様に一応振る。
ということで俺の今のレベルは27だが感覚的に+3までくらいのダンジョンであればクリアできると考えていた。
なので俺は今回作成するダンジョンの設定を以下の様にする。
・ダンジョン全体のレベル:27~30
・ダンジョンに出てくる敵の種類:なんでも可
・ダンジョン内部の特徴:敵が多い開放型ダンジョン
この様に設定すると後は『システムメニュー』が必要になる3つのピースに自動でタグ付けをしてくれるようだ。
明日早速『黒鉄の鍵亭』に行き、対象のダンジョンのピースが売っているかを確認することにする。
翌朝、準備を終え出発しようかと思っていた所来客があった。
『サーシャ様達のようですよ?』
フィルルは敷地内部に侵入した者たちは瞬時に把握できるようでそれがサーシャ達だと教えてくれる。
多分風呂の事を聞きつけてきたんだと思った。
まあ正直今日来るとは思ってはいたが予想通りで少し笑ってしまった。
「フィルル、通してやってくれ。俺は湯を沸かす。」
『分かりました。』
そうして俺は庭のドラム缶で湯を沸かし始める。
するとフィルルに案内されてきた三人娘たちが俺の様子を見に来た。
「おはようございます。御三方。」
「ススムさんおはようございます!良く私たちだってわかりましたね!」
「フィルルが教えてくれたからな。」
「なるほどー。それで早速お湯を沸かしてくれてるんですね?」
「目的はわかってたからな。」
「流石です!」
今後のためだ。
俺が不在の時でも風呂に入れるように昨日の一連の動作を教えることにした。
「これは俺が昨日風呂に入る際に考えた効率のいい方法なんだが・・・。」
そうして収納鞄を使用した湯の運搬方法を教えると非常に便利だと驚いていた。
特に世話係のナナリーとセリルは感心していた。
「収納鞄にこんな使い方があるとは。」
「一応俺はこの後ダンジョン屋に行ってダンジョンを買えたらそのまま突入すると思っています。フィルルが留守番しているのでここに三人が来た場合は案内させるのでいつでも自身で湯を沸かして風呂に入ってくれていいですからね。」
そう言うと三人はきゃいきゃい喜んでいた。
女子だなあと俺はおっさん目線で眺めていた。
「火と熱湯の扱いだけは気をつけてくださいね。」
「一応火傷用のポーションもありますので!」
「準備万全ですね・・・。」
「商人ですからね。」
そして俺は風呂の準備方法を一通り教え無事、湯を張れたことを確認すると後は三人とフィルルに任せて家を出ることにした。
「では行ってきますね。お風呂楽しんでくださいね。」
「ありがとうございます!お気をつけて!」
三人とフィルルに見送られ俺は『黒鉄の鍵亭』に足を運ぶ。
早い時間だからだろうか、昨日も人は多い印象だったが今日は一段と賑わっていて所構わず売買やパーティメンバー募集の声掛けが行われていた。
俺はピース売り場に行き早速、昨日の夜にタグ付けした3つのピースがあるか物色すると意外とすんなり3つ揃ってしまった。
ピースの値段はかなりピンキリであったが、何故この値段になってるのかが良く分からない値段設定のものもあった。
だが大半の物は低価格帯で揃えられる。
物によっては3つセットで割引なんてのもあったくらいだ。
だがそれがダンジョンになると一気に化ける。
それこそ数百ミラルで買えるようなダンジョンもあれば数万ミラルで取引されているダンジョンもあるくらいだ。
より詳細な情報がついているダンジョンは付加価値が更に跳ね上がる。
この街では下手に冒険者として食っていくよりもダンジョン専門としての方が食い扶持は良いのかも知れない。
そんなこんなで様子を一通り見た後、俺は意を決し3つのピースを一つにする。
一つ一つのピースは簡単なパズルのようになっており接続し、一つに形をすることでそれが鍵となる。
そうして俺は『一時的なダンジョンの鍵』を入手した。
『ダンジョンの入口を発見しました。』
名前:“荒野で” “暴れる” “大量の獣” ダンジョン
推奨レベル:29
『ダンジョンに侵入しますか? はい/いいえ』
ということで今回作ったのがこのダンジョンだ。
俺は早速、一通り準備が確認できていることを確認しダンジョンへと潜る。
ダンジョン内部はその名の通り全く今までとは違うパターンで見渡す限りの荒野が広がっていた。
「おー、すごいすごい。こんな感じなんだ。『地図』を見ても一本道って感じじゃあなさそうだな。」
さてどうするかと移動しながら考えていた時、『気配察知(LV3)』と『地図』の端に反応がある。
当然ながら敵対反応を示しているがあちら側は一切気がついていない。
ならここは先制広範囲魔法の出番でしょ!
『紅蓮の理よ、我が掌に!――ファイアボール!』
超遠距離の目標に向かい飛んでいくファイアボール。
現れた二頭の狼は俺の護衛にして様子を見ていると、そのファイアボールが着弾した瞬間雨あられの様にメテオフォールが降り注ぎ辺り一帯を焦土と化していた。
暫くするとこちらまで衝撃波が来た。
「うわぁ!俺・・・あんなとんでもないもの間近で撃ってたのか・・・。死ななくてよかったー・・・。」
その様子を見ていた炎の狼もガクガク震えていて笑ってしまった。
だがここで一つのことに気が付く。
「ん?あれ?経験値が入っていない?」
そう今の一撃で8頭居た敵を倒したにも関わらず経験値が1も入っていなかった。
あれえ?フィルルのダンジョンの時は入っていたと思うんだが、なんでここでは入らないんだろう。
「うーむ。わからん。わからん時は考えるのをやめよう。」
ということで俺は前進することにし、今まで通りMPを回復したら前進して敵を発見したら長距離から殲滅、休憩という流れで地道に攻略する。
最初の集団を倒した付近に来たがまさしく一面焼け野原になっていたがここでもあることに気が付く。
「ドロップ品がコモンの物すら無い?」
どういう事だ?
ここがそういう特別なダンジョンなのか?
偶然なのか?
とにかく俺はここで心を乱されないように冷静を保ちつつ歩を進める。
ある所に来ると不思議な反応が一つあった。
「うん?なんだこれ?」
近づいてみると一つの大きな石のようなものだった。
「これってもしかしてダンジョンを進める為の鍵か?」
ハックアンドスラッシュゲームのダンジョンで有りがちなギミック付きダンジョンの鍵のように見えたその石は人の頭ほど大きかったが不思議と重さを感じない。
「うーん・・・。ファンタジー・・・。」
運ぶのが楽だったのが助かったので再び殲滅しながら歩を進めるがやはり経験値と戦利品は何一つ落ちることがない。
何でだ?
もしかしてダンジョンクリアした際に一気に入るとか?
だとしても戦利品が何一つ無いのが気になる。
他のダンジョン攻略者達は戦利品も売買していたことから落ちないということはないはずなのだ。
「このダンジョンが特殊?うーん。」
等と考えているとどうやら先程の石をはめ込む台座があったのでそれに先程の重さを感じない石をはめ込む。
ガコン!という音がしたと思うと地面に魔法陣のようなものが現れる。
「うわ!なんだ・・!!」
俺は慌てて防御型に切り替え体制を整える。
魔法陣が完成すると石の台座がすっと消えそこに空から一体の大型のワーウルフが出現する。
「で、でかい!!」
その上とんでもなく早かった。
一気に間合いを詰められ熊よりも二回り以上でかい手で思い切り引っかかれるが、それは俺が事前に張っていた土の防壁に弾かれ、そして追加効果でワーウルフは四方八方を大岩の壁で阻まれ一切の行動ができなくなった。
「あっぶな!!本当にビルド構築が上手く出来てなかったら何度死んでたことか。」
俺は一気に距離を離れ、息を整えMPを回復する。
土の防壁が切れるギリギリまでの時間粘り待ち続ける。
土の防壁内部で暴れていたワーウルフは徐々に追加効果の棘で体を傷つけられ出血が酷くなり、地面を血で濡らしていく。
当然当初の勢いはドンドンとなくなり、土の防壁が切れる間近には息切れしている声も聞こえてきた。
そうして俺は一気にビルドを距離が余り取れていないことから安全策として召喚型に切り替え水精霊召喚を唱え、氷の上位精霊でとどめを刺す。
「ふぅーー。焦ったあ。」
今回もダメージは無く終わることが出来たが正直肝っ玉が小さい俺は急に間合いを詰められたりするのが大の苦手だ。
今後はこの点に対策を置くのも良いかも知れない。
そして気がついた。
「あ、あれ・・・?やっぱし経験値がない?あ、でも今回は戦利品がありそうだ。」
俺はワーウルフが落としたと思われるものに近づくがそれを見て唖然とする。
「え?これってダンジョンのピース1個だけ?あ、でもこれってもしかして・・・。」
俺は手に取り思った。
もしかしたらこの鍵は呪われているのではないかと。
それと今回の一連の経験値、戦利品、そして最後に手に入った呪われているのではないかと思われるダンジョンのピース。
これらを全部含めてある一点の答えにたどり着く。
「もしかして【LUK】が関係しているのか?」
だとしたら何度か検証してみる必要がありそうだ。
俺はダンジョンから脱出すると、丁度時刻は夕方になりかけていた。
今回もダンジョンと現実の時間の流れは同じくらいだったらしい。
「うーむ。LUKと【呪い】かあ。関係なくはなさそうだよなあ。」
そんな事を考えながら俺は家路に付く。




