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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら


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【第5話】冒険者登録と初めての魔法

「ススムさん、こちらです!」

ガルドンと鍛冶ギルドで別れた俺は、ガルドンの弟子であるカッフェに案内してもらい、冒険者になるべく冒険者ギルドへ向かっていた。


「しかし、本当に冒険者になられるんですか?師匠に認められるくらいなら鍛冶師でも・・・。」

カッフェが名残惜しそうにそういう事を言う。

「君こそガルドンさんに気に入られてるじゃないか。もし冒険者として成功したらカッフェ君に僕の装備品を作ってもらいたいな。」

そんなセールストークをしたら「頑張ります!」と鼻息を荒くしていた。チョロいなカッフェ君。


目的の冒険者ギルドは、鍛冶ギルドと比較的近い場所に位置していた。

なんでも冒険者と鍛冶師は切っても切れない関係なので基本的にどの街でも似たような位置関係になるという。まあ、納得ではある。


「ではこれで失礼します!お互い頑張りましょうね!」

カッフェ君が爽やかな笑顔で手を降ってくれている。


「はあ、やっぱし人間関係は疲れるな・・・。」

そう言いながら冒険者ギルドに入る。


そこはやはり異世界だ。RPGが好きな人なら目が輝く光景間違いなし!と言えるくらいの雰囲気を放っている。

どうやら食堂兼酒場も隣接されているようだ。


周りを観察すると如何にも目を合わせてはいけないような人々が多数いる上にかなりジロジロと見られている。

なるべく関わりたくないなあと思いながら壁を見ていると、どうやら依頼表らしきモノが張り出されている。

鍛冶ギルドでもあったことなんだが、不思議なことにこの世界の言葉で書かれている文字なのに、脳内で勝手に日本語に修正され、日本語で表示されているように見える。


これが当初あの女神が言ってた読み書きの術なんだろうなあと改めて思い返していると、奥のカウンターより声がかかる。


「失礼ですが、そちらの方。初めてですよね?依頼でしょうか?」

その声は若くハツラツとした女性の声だった。


「ああ、いえ。自分は冒険者になりたくギルドに来たのですが、受付はここでしょうか?」

あまり女性に慣れていないこともあり若干挙動不審になってしまう。

伊達に40才まで独身を貫いていない。

と言うかその年になるまでまともに異性とお付き合いしたことがない。悲しみ。


「冒険者希望の方でしたか!ではこちらで大丈夫ですよ。」

受付のお姉さんと言っても地球で見ればまだ未成年じゃないだろうか?と思われる見た目だった。


「ありがとうございます。では、登録をお願いします。」

そう言って頭を下げると、受付嬢に笑われてしまう。


「随分と丁寧な方なんですね。ふふ。」

そう言われたことで思わず赤面してしまう。


「読み書きは出来ますか?」

恐らくこの世界では識字率は高くないのだろう。そのことから慣れた感じで聞かれた。


「大丈夫です。見せてもらいますね。なになに・・・。」

そう言いながら俺はその提出すべき書類に目を通す。


【冒険者登録用記入票】


・この書類に記入し、冒険者ギルドに提出したものは冒険者ギルドにおける以下のルール全てに同意するものとする。


1、危険業務への自発的従事の同意

  冒険者業は生命・身体・精神に重大な危険を伴うことを理解し、自らの意思で登録する。

2、自己責任原則の承諾

  任務遂行中の負傷・死亡など、いかなる損害についてもギルドが責を負わないことを認める。

3、ギルド規約の遵守

  ギルドが定める規律・法令・任務遂行手順および安全指示に従うこと。


等など全部で15項目ほどあった。


「ふむふむ」と読んでいると再び受付嬢に笑われる。


「それを真面目に読んでいる方、初めてお会いしました。あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。」

そう言いながら姿勢を正す受付嬢。


「私、当ギルドで受付を担当しております、セリーヌと申します。今後とも宜しくお願いしますね。」

非常に可愛らしい笑顔で自己紹介をしてもらった。


「僕はススムと言います。ご迷惑にならない程度に努力します。」

そう、迷惑は掛けるのも掛けられるのもゴメンだ。


「なにかご質問があれば承りますね。」

セリーヌが初めて会うタイプの人間に興味を示したのかなんでもどんと来い!といった感じであったがルールにおいては至極真っ当なことばかりが記載してあったため特に質問はなかった。


が、しかしである。次が問題だった。

「特にルールで質問はないので・・・、名前はススムと。年齢は20才(仮)で。」

やはりここでも日本語で書いたはずのものがこの世界の言葉によって自動で書き直される。

すごいよ、読み書きスキル。


「出身は・・・。」

出身だと!?まさか『地球の日本』とは書くことは出来まい。

どうしたものかと考えているとセリーヌが助け舟を出してくれる。

「どうかなされたんですか?」


「実は・・・。自分の村の名前がわからないんです・・・。村では『村』としか呼んでなかったので正式名称が・・・。」

そんな様子にセリーヌは非常に驚いていた。


「その村はどこらへんですか?冒険者ギルドなのである程度は分かると思いますが。」

流石セリーヌ、冒険者ギルドの受付嬢である。ある程度の村の名前はわかるというので、先程のガルドンやカッフェの話をした。

更に追加として「一度海に面した場所に出て、そこからどうしたものかと思ったら運よく小型の船が打ち上げられていたのでそれを使って海に出たは良いが、嵐か何かに巻き込まれてしまって船が破壊され打ち上げられたのがここから相当くない場所だった。」という事にしてみた。

頼む!海があってくれ!


「まあ!そんなことが!大変でしたね・・・。では私でも知らない村の可能性が高そうなので未記載で大丈夫ですよ。」

セリーヌが笑顔一つでOKを出してくれる。

セーフ!だったのか?若干怪しいな・・・。

いつか地図見ておかないとな。


「わかりました。ありがとうございます。次は職業またはクラス・・・。」

これまた問題なものが出てきた。

先日ゴブリンを倒した時にスキルポイントが入ったが、自分のジョブや職業がわからない為に放置しているぐらいだ。

わかるなら教えて欲しい。


「あ、あの・・・。」

俺がそう言うとセリーヌが「何かありましたか?」と聞いてきたので「ここが・・・。」というと更に驚かれる。


「ま、まさかススムさん。20才まで『無職』だったんですか!?」

←ぐさっ

いや、おじさん40才までサラリーマンでしたよ・・・。


「・・・村では主に何でも屋として各家々の手伝いを生業としてました。この場合の職業ってどうなるんでしょうか。」

流石にセリーヌも困った様子であった。


「うーん、通常だと13才の成人式を迎えた時に自分の職業を決めるんです。冒険者希望の方は、そこで適正を見て各々ジョブを決めるんですが・・・。なにか得意な戦闘術などはありますか?」

そう言われ冷や汗ダラダラである。


「いや・・・。特には・・・。魔法を使いたいとは思ったことありますが・・・。」

それを聞いたセリーヌは一気に表情を明るくする。


「魔法使い希望でしたか!では魔法使いの教官をお呼びしますので少々お待ちください!」

やったー!!どうやら魔法について教えてくれるらしい!

しばらく待っていると中年の如何にも魔法使いですといった出で立ちをした女性が現れる。


「こいつかい?セリーヌ。20才にもなって魔法使いになりたいっていう変人は。」

「しー!それは言わないでください!あ、ススムさんお待たせしました。こちらが魔法使い教官のキャシディーさんです。」

セリーヌさん、思いっきり俺を変人扱いで紹介しましたね。聞いてましたよ。


「ススムと言います。ご指導のほどよろしくお願いします。」

キャシディーと呼ばれた魔法使いに頭を下げる。

「ふん、まあいい。ここじゃ危ない。庭の訓練場に行くわよ。」


そういうことで庭に出ると様々な訓練を想定したのであろう広場に物が置かれていた。


「まず、魔法使いになりたいって話だが、どこまで魔法使いを知ってる?まさか魔法が使える人ってだけじゃないでしょうね?」

そう言われ縮こまる。

「・・・、そのまさかです・・・。」

俺の返事に思わず天を見上げるキャシディー。


だがその時だった。

システムメニューが急遽発動する。


【クラス:魔法使いを選択します。よろしいですか?はい/いいえ】

なんと【ハックアンドスラッシュ】の職業またはクラス選択の条件を満たしたようだった。


呆れているキャシディーを横に俺は一心不乱に【はい】を脳内で連打する。


すると一気にシステムメニューが更新され、初めての自分の状態が表示され、判明することとなる。」


『ステータス』

名前:ススム

職業:魔法使い

年齢:20才

出身地:不明

種族:ヒューマン

レベル:2

残りSP:2

各ステータス:HP:3、MP:5、STR:3、VIT:3、AGI:4、MND:6、INT:8、LUK:-10

初期スキル:言語理解、ハックアンドスラッシュ


おい!LUKがマイナス付いてるぞ!しかも女神のやつあんなに色々聞いてきたのに結局つけたスキルは言語関係と【ハクスラ】の2個かよ!

今度あったら一発ぶん殴ってやる。


思わずそんなことを思っていると、キャシディーが話しかけてくる。

「おい、ススムとやら?大丈夫か?やめるならやめるでいいんだよ?」


その言葉にハッ!とし「いえ、大丈夫ですと返す。」

「そ、そうかい。でなにか使いたい属性魔法はあるのか?」

キャシディーから属性魔法かあ。と考えていると再び【システムメニュー】からアナウンスがある。


【魔法使いのスキルツリーを表示します。】


そうして現れたのはこの世界の魔法使いが覚えることの出来るであろうスキルや魔法が一気にツリー形式で表示された。

ツリー形式とは一つの魔法を覚えて終わりではなく、全ての魔法やスキルなどが数珠つなぎのようにつながりブドウのように様々に枝分かれしている様子である。


これもありがたいことに以前遊んでいたハクスラゲームのシステムを踏襲したかのような内容で理解しやすかった。

なるほど、この世界の魔法属性は大きく分けて4つ。火、水、風、土。そしてそれに派生属性があるのか。面白い。

本来ハクスラゲーではスキルツリーを何度も見直しながら自分のプレイスタイルにあったものを構築していくという醍醐味がある。


だが今はキャシディーを待たせている状態なのでさっと見て、自分の過去のプレイスタイルにあったものを考える。

そもそも最初はこれ一択だしな。


「キャシディーさんお待たせしました。僕は火の魔法使いになります。」

そうして僕は火属性の基本魔法ファイアボールにスキルを1ポイント振りファイアボールを取得した。


「そ、そうかい。まあそれならそれで良いんだが。」

キャシディーさんは呆れ疲れたようであったがさすが教官、魔法の使い方を教えてくれた。


「魔法とは外気にあるマナをコントロールして、呪文を唱えることでそのマナを収束、圧縮しそして放出することで初めて魔法が発動する。ちなみに魔法を放出する際は、自分のMP以内の魔法でなくては圧縮の段階で失敗して、魔法は発動しないからね。」


なるほど、呪文とMPコントロールが必要なのか。

呪文はキャストタイムに相当して、MPコントロールは消費MPと自分の残りMPの関係だな。

ふんふん、と自分にわかりやすいように変換してどんどん吸収していく。


説明を終えたキャシディーさんが「ふう」とひと息はいた後、広場の目標に対し魔法を見せてくれるという。

「火属性魔法の基本になるファイアボールの呪文と使い方はこうだ。」


『紅蓮の理よ、我が掌へ集い、燃え盛る球となれ――ファイアボール!』


キャシディーさんが構えた杖にマナが収束、圧縮しそして魔法の火球となって発射され見事に目標に命中し目標を燃やしていた。

俺はその初めての光景に感激し、心の底から拍手を送っていた。


「す、すごいです!初めて見ました!!」

その言葉にキャシディーさんが「えっ!?」っという顔をしている。


よし次は俺の番だな。

勝手にそう思い、立ち位置に立ち、先程の呪文を唱える。

と言うより、『スキルツリー』でファイアボールにポイントを振ったためだろうか、呪文は自動的に口から発せられる。


『紅蓮の理よ、我が掌へ集い、燃え盛る球となれ――ファイアボール!』


俺自身の周囲にあったマナが収束、圧縮され、掲げた手の平より放出され見事に的に命中し的が燃えていた。

「よっしゃああーーー!初めての魔法だ!これで俺も魔法使いだ!!」


そんな光景をキャシディーさんがポカーンと口を開けて見ている。

「ん?どうかしたんですか?キャシディーさん」


「い、いや、本当に貴方初めて魔法を見て、初めて魔法を使ったの・・・?」

「ええそうです!見ての通りですが、何か問題でもありましたか?」

「大アリよ!」

何故か大声で怒られてしまった。何をしたんだ俺。


「普通、魔法を覚え、使えるようになるまでは教官の元について早くても3ヶ月程度掛かるわ。それをたった1回みただけ、それも初めて見たですって・・・!?」


な、なんだってーー!!そう言われてハッとした。


俺は【ハックアンドスラッシュ】の能力の一部として現れた『スキルボード』を使用することで魔法を覚えたが、通常この世界の人間はそんな事はできず、勉学と努力を重ね、時間を掛けて習得するのではないかと考えた。

やっちまったーー!?


「あ、あはは。」

笑って誤魔化したがとてつもなくキャシディーさんに訝しがられてしまう。

むしろ化物を見るような目になっていた。


「前代未聞ですが、ファイアボールを打てるようになったのでしたら、これで訓練終了です!」

そういいながらキャシディーさんはそそくさと退却してしまう。


な、教官の仕事ってそれだけなの!?


もっとこう冒険に役立つようなものは・・・・?


あ、そうか!図書館があるかもしれない!そう思い、ファイアボールを使えるようになった俺は訓練場を後にする。

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