【第49話】ダンジョン販売店
夕飯後なかなか帰ろうとしないサーシャをまた明日もダンジョン販売店を案内してくれたお礼に夕飯誘うと約束したことで満足したのかようやく帰ってくれた。
「はぁ。全くあの娘は。」
『ふふ。ススム様は好かれているのですね。』
「俺みたいなのの何処が良いんだか?」
『フィルルはススム様のこと好きですよ?』
『ポチも御主人大好きなのー。』
「あはは。そうか。」
今までは家族とは無縁だったゆえに改めてこうして好きだと言ってくれるのはむず痒いが心地が良いものだ。
翌日、朝一番で例の如くサーシャが突撃してくる。
「・・・。女性は朝大変なんでは無いのですか?」
「その分早起きしてきていますので!!」
「はあ、全く。付き人も大変ですね、セリルさん。」
「ご心配居痛み入ります。」
「支度できるまで中に入ってお茶でも飲んでて下さい。」
「ありがとうございます!」
サーシャはフィルルのことが非常に気に入ったようであった。
会話が出来ないはずなんだがなんでか意思疎通しているように見える。
これが女子力なのだろうか・・・?
「ススムさん、今日行く店には必ず冒険者証を持っていってくださいね。」
「まあ、そう言われないでも持っていくつもりでしたが。理由を聞いても?」
「単純に話を通しやすくするためです。準備が出来たのでしたら向かいましょうか!」
「ああ・・・。はい。」
そうしてサーシャを先頭に早速ダンジョン販売店に向かう。
ダンジョン販売店はかなりマイナーな店かと思いきやかなり栄えている店だった。
「予想に反してなかなか立派な店なんですね。」
「それはそうでしょう。ダンジョンから発掘されるアイテムは高額になりがちですからその分ピースとなるものもピンキリの値段で高いものは結構するらしいですからね。」
「なるほど。」
中に入ると冒険者ギルドにいそうな腕っぷしに自信ありという者たちの他に以外にも商人らしい者たちも見て取れた。
「ああいった商人たちらしい人達はなんでいるんですかね?」
「恐らくピースの売買と仲介業、後はダンジョンから持ち帰った素材の売買をしてるんだと思います。」
「その通りです。いらっしゃいませ。ようこそ『黒鉄の鍵亭』へ。お客様達は初めてのご利用者様たちですね?」
「ええ。はじめまして。冒険者のススムと申します。」
「ご丁寧に私はこの店の店主でドゥーガと申します。以後お見知りおきを。まず初めての方にはこちらの用紙にお目通し頂き、問題なければサインを頂きたく思います。それと冒険者証をお持ちでしたらばそれも任意ですがお貸しいただきたく思います。」
「商店なのに登録制なのですか?」
「ええ、何せ扱うのは危険なダンジョンです。人死にも頻繁に起こりますので。」
「なるほど。拝見します。」
内容は確かにダンジョンを購入、もしくは挑戦した際は完全に自己責任となる内容が書かれている。
俺は名前を書き、冒険者証とともに店主のドゥーガに渡す。
「確かにお預かり致しました。ススム様は四角銀級の冒険者様だったのですね!素晴らしい!それではご説明させていただきますね。」
「ええ、お願いします。」
「まず当店で取り扱っているのはこういった『ダンジョンのピース』と呼ばれるものです。これは一つでは意味をなさず三つで初めて意味をなしダンジョンの鍵となります。」
「ふむ。拝見しても?」
「ええどうぞ。」
そして手に取った一つの『ダンジョンのピース』には“迫りくる”と書かれている。
だがここで急に【システムメッセージ】が発動した。
俺が声に出さずビックリする。
『一時的なダンジョンの鍵を発見しました。一時的なダンジョン作成モードを解放しました。』
『一時的なダンジョン作成モード』?
俺は意味がわからなかったが自動で切り替わったページを見て驚愕した。
どうやらこの『一時的なダンジョン作成モード』は指定したレベル、敵の種類、ダンジョンの傾向を自身で指定することが出来、それを選ぶと該当する『ダンジョンのピース』にタグが付けれるようになると言ったものだった。
要はアシスト機能である。
「おほん。話を続けてもよろしいですかな?ススム様。」
「ああ、はい。」
「基本的にその『ダンジョンのピース』は使用しなければどういった内容なのか、どの様な敵が出てくるのか、そしてどの様な強さなのかがわかりません。調べる術が無いのです。」
えええーーー!!??
思いっきり今目の前でそれを補助する機能が発動しているんだが!?
「という事はギャンブル要素が強いということですか?」
「そうなります。ですが一時的なダンジョンは救済措置の様なものが有り、それは3回以内ならば脱出することが出来るというものになります。」
「あ、なるほど。それで自身に合わないと思ったらその場で脱出するんですね。」
「ええ、その通りです。そうして自身にあわなかった一時的なダンジョンは情報とともに当店が買い取ります。買い取ったダンジョンは一覧として随時更新され必要とされる者たちがそれを買い取り挑戦するという事もできます。」
「ふむ。ちなみに『ダンジョンのピース』はどうやれば手に入るんですか?」
「様々な場面で手に入りますね。宝箱に入っていたり、魔獣からドロップすることもあります。後は一時的なダンジョンの踏破後の報酬として必ず1~3個入手することが出来ます。」
え?
俺は今までダンジョンを2回踏破したが今まで一個も手に入れたことはない。
という事は呪われたダンジョンは別だと見るべきだろうか。
「一応知識として聞いておきたいのですが『ダンジョンのピース』が【呪われた状態】になってたりすることはありますか?」
「あります。正しその『ダンジョンのピース』の引き取りはしますが買取はしません。あくまで引き取りこちらで処分するだけとなります。」
俺はそこに引っかかる部分を感じたがとりあえずは聞かないでおく。
最初から波風は立てたくない。
「以上がこの『黒鉄の鍵亭』での内容になります。」
「ありがとうございました。十分です。助かりました。」
「ではごゆっくり。」
そうして店主ドゥーガは去っていく。
「どうでしたか?」
「うん、非常に楽しそうだ。今日は軽く物色させてもらって引き上げるかな。」
「ススムさんのことでしたから早速突入するのかと思っていました。」
「俺はそこまで無鉄砲では有りませんよ。」
そうして店内をぐるっと物色すると冒険者ギルドで見るような一時的パーティの募集やダンジョンの売買、ピースの個人販売も容認されているようだ。
「なるほど、この建物一つが丸々マーケットになってるんだな。」
「その様ですね。」
「うん、大体わかったので撤退しましょう。」
そうして俺達は一旦引き上げることにした。
何せあの場所では『一時的なダンジョン作成モード』がいじくれないからだ。
本格的にダンジョンを挑むのは『一時的なダンジョン作成モード』を完全に理解してからになるだろう。
今日は一端ここでサーシャ達と別れ、夕飯時にまた来るということだった。
それまでに何か用意しておくか。
家に帰ると郵便が届いておりフィルルが受け取ってくれていた。
「助かるよ、フィルル。」
『えへへ。』
中身を見るとやはり税関係だった。
大して時間掛かってないのにとんでもない速度で作ってきたな。
そしてやはりとんでもない金額が書かれていた。
「まあ初年度だしこんなもんか・・・。どこの世界でも税は苦しいなあ。はあ。」
俺は早速納税を行いに役場に行くと分割にする手続きが行われたので、一括で支払うと伝えると驚かれた。
「この金額を一括で払えるのですか?」
「今払えますが払いましょうか?」
「あ・・・、では・・・。確かに。納税ありがとうございました。」
これは来年はもっと重税になるかもなあと内心考えながら夕飯の買い出しをする。
昨晩が結構重い感じの食事だったので今日は『旨味』を活かした調理をするとする。
そう、旨味を活かすといえば乾燥させた野菜やキノコ類、または果物を使うと効果的だがこの市場では流れていなった。
なので収納鞄を使用した乾燥術で自作しようと考えたのだ。
以前にもこれを応用して乾燥した薪を作り出したことが合ったので出来るはずだ。
そういえば収納鞄を使った解体術どうなったんだろう?
今度カイエンに魔道具の手紙かなんかで聞いてみるか?
サーシャに何処で売ってるか聞いてみるか。




