【第47話】オーロ・ヴァレンツの商業ギルド
夕食は収納鞄に入っているものを食べることにした。
いくら時間が泊まっているとは言え気分的に落ち着かないためだ。
フィルルは基本肉は食べないらしいのでそこら辺は工夫して調理することにした。
『わあ、本当にススム様はお料理がお上手なんですね。』
「まあねえ。よし出来たぞ。早速三人で食べよう。」
満足行く食事ができ俺はゆっくりしているとフィルルがお茶を入れてくれる。
「ありがとうフィルル。」
『いえ、こちらこそ。フィルルはススム様に出会えてとても幸運です。』
「そう言ってもらえてこちらも何よりだ。」
『所でそちらは何を書かれているんですか?』
「ああ、これ?新しい文房具だよ。」
俺はそう言い、この世界の文明でも作れるような簡単な書類整理用の文房具を数点設計図を作っていた。
実は俺はサラリーマン時代、こういった文房具類の販売に関わる会社に居たのでどんな作りになっているのかは嫌になるほど覚えていた。
『なるほど。では明日は商業ギルドですか?』
「そのつもりだ。何時になるかわからないけど食事は大丈夫?」
『はい。元々妖精は食べなくても生きる事は出来ますので。』
「なるほど。じゃあお土産に果物を買ってくるよ。折角食べれるのに何も食べないんじゃあ寂しいだろう。」
『ありがとうございます!』
『ポチは肉が食べたいのです!』
「お前はいつも肉食べてるだろう。全く。」
翌朝俺は早速商業ギルドに向かうことにするも場所がわからなかったので朝市で採れたての果物を買い、その店主に教えてもらう。
「ああ、商業ギルドはあそこさね。気を付けてな。」
「ありがとう。」
教えてもらった先にある商業ギルドは流石商業都市と言ったところだろう。
ミストヴェイルよりも遥かに立派だった冒険者ギルドを更にでかく豪華にしたような建物だった。
「これ、商業ギルドだったのか・・・。まるで規模が違うな・・・。」
商業ギルドはこの世界に来て初めて見たかも知れない大きなガラスが使われており、商品の一部だろうか、外から見て飾られているのが分かる。
俺は入ってすぐに声を職員らしき案内人に声を掛けられる。
「おはようございます。本日のご用向きはどの様な件でしょうか?」
「ああ、はい。実は自分はミストヴェイルで登録した商人なんですが色々相談したく来ました。」
ミストヴェイル言った瞬間その案内人の顔が明らかに曇る。
多分田舎モンだなんだと思われたのだろう。
まあ、実際田舎モンどころか異世界モンだしな・・・。
「・・・商業者登録票をお借りしても?」
「ええ。」
俺は明らかに面倒くさそうな態度になっている案内人に商業者登録票を渡すとそれを専用の魔道具で読み取っている。
するとその瞬間顔色が変わる。
「ミストヴェイルのススム様ですか!?少々こちらでお掛けになってお待ちください!」
おやあ?この反応は面倒くさいことになりそうな反応だぞ。
暫く待つと一人の中年の女性が先程の案内人に連れられてきた。
「お待たせ致しました。初めまして、ススム様。私、当オーロ・ヴァレンツ商業ギルド副ギルドマスターのバレッサと申します。フォレスよりお話は予予伺っておりました。」
「初めまして。ススムと申します。宜しくお願い致します。フォレスさんのお知り合いなんですね。」
「ええ、良いライバル関係とでも言いましょうか。どうぞお掛け下さい。」
「ありがとうございます。」
「それでまずススム様がお越しになった本題の前にご案内せねばならないことがありますがよろしいですか?」
「ええ、どうぞ?」
「実はですね、ススム様がおよそ一ヶ月前にフォレス経由で登録されました、野菜の皮むき器と特製スパイスなのですがとても売れ行きがよろしいのです。」
そういえばそんな事もあったな・・・。
すっかり忘れてた。
「それは何よりです。確か売れる毎に登録者にお金が発生するんですよね?」
「ええ、それなんですが。今現在の売れ行きはこの様になっております。」
そうして1枚の紙を出してくれる。
「え?嘘でしょ・・・?」
そこにはとんでもない著作権料とでも言うべき料金の金額が書かれていた。
「嘘では有りません。商業ギルドに登録されたお品物は基本世界中に展開しております商業ギルドで閲覧可能ですので、この国だけではなく他の国でも人気の商品だというわけですね。特にこの野菜の皮むき器は素晴らしい売上です。」
「そうか、商業ギルドも全世界的に展開しているんですね・・・。」
「ええ。」
個人的に冒険者ギルドだけが世界展開しているのかと思ったら商業ギルドも世界展開していたようだ。
それは確かにこれだけの売上が出ても可笑しくないかも知れない。
「そこで今回はこの功績を持って現在ススム様のお持ちの銅級の資格を二段階昇格させ銀級にしたいのですが如何ですか?」
「本気ですか?」
「ええ、勿論。銀級に慣れば様々な特典もありますよ?」
「うーん・・・。例えばですが、銀級以上でないと入店できない店やオークション等があるといった様な特典はありますか?」
「・・・ございます。どこでその情報を?」
「個人的推測です。」
「なるほど・・・。あのフォレスがいたくお気に入りだと言っていたことが理解できます。」
「あはは。そんなこと言っていたんですね。まあでもその特典があるならお願いしようかなあ。」
「畏まりました。では早速手続きに入ります。完成するまでの間にご用向きをお伺い致します。」
銀級以上でないと入店できない店やオークションは非常に魅力的だ。
なんせ今後装備品を揃える上でそういった店やオークションを【利用しなければならない場合】があるかもしれないからだ。
税金関係は間違いなく増えるだろうがそれ以上に今は収益のほうが当然勝っているので銀級になっても問題はないだろう。
「僕が今日出向いた用件は3つです。一つ目はこちらを見て下さい。」
俺は昨日の内に書き上げた各文房具類の設計図を出す。
「こちらは?」
「文房具ですね。昨日役場で手続きをした際に書類仕事が大変そうでしたので役立ち、かつ安価で大量生産にも向いているものになります。」
「拝見します・・・。こ、これは素晴らしい!!当ギルドでも即時利用させて頂きたい位の御品ですね!」
「そう言っていただければ幸いです。」
「ではこちらをご登録で?」
「ええ、お願いします。」
「畏まりました。今ご用意致します。」
机の上のベルをチリンと鳴らすと控え人が出てきて早急に準備が始まる。
登録方法は契約魔法に近いものだった。
書いてきた設計図と特殊な筒の中に入れ封をしそして契約書にサインと血判する。
それで登録は終わりだ。
「そう言えばフォレスさんが代理で行った時もこの様な契約魔法を?」
「ええ、代理人用の専用のものになりますが基本的には同じものです。」
「なるほど。では二つ目と三つ目よろしいですかね?」
「ええ、どうぞ。」
「実はこの街に居を構えることになったんですがベッドと寝具、それと浴槽を購入したいのですがどこか紹介して頂けませんか?値段は易くて良い物を提供してくれる所が良いですね。」
「では当ギルドより店のものをススム様のお宅に派遣致します。」
「サイズ感もわからないですしその方がよろしいですかね。お願いしたします。」
「分かりました。では本日中に向かわせます。ご住所は・・・?」
「えーっと・・・ここになりますね。」
「え?この住所は!?」
「ああ、ご存知でしたか?」
「それはこの街に住むものでしたらば・・・。驚きました。」
「あはは。あ、そうだもし浴槽を売ってくださる店で入浴のための道具も取り扱っているようならそれも欲しいと伝えて下さい。」
「確かにお伝え致します。それとお待たせ致しました。こちらが新しい銀級の商業者登録票になります。」
「ありがとうございます。」
「また何か有りましたら私、バレッサまでお申し付け下さい。」
「分かりました。失礼しますね。」
こうして俺は商業ギルドとのやり取りを終え家に帰りゆっくり食事をしていると早速商業ギルド経由派遣されてきた寝具店と浴槽関係を扱っている店の店主がやってきて、採寸やら素材やらの打ち合わせを終え後日搬入するということになった。
ちなみにこの家に入ってくる時は非常にビクビクしていたのは内心笑ってしまった。
やっぱり誰だって呪われた家なんて怖いよね?




