【第40話】手土産
俺は廊下で暫く3人たちが落ち着くの待っていると声がかかる。
「ススムさん、大変申し訳有りませんでした。どうぞ。」
「失礼します。もうよろしいので?」
「ええ!十分です。それにしてもどういうことか何があったのかを教えて頂けますか?」
「そうですね。」
俺は部屋に入り一脚の椅子に腰を下ろす。
さて何から話すべきか。
まあ順番に話すほうが良いかな。
「まず、あのダンジョンに入るとそこは基本的には一本道でしたがまさに異空間というようなゴツゴツした洞窟なのに全く暗くないと言ったような空間が広がっていました。」
「やはり敵の数は多かったんですか?」
「それなりにいましたね。ですが僕はあの遠距離攻撃が有りましたのでちまちまと撃破しては休憩し、少し進んでという方法で攻略していきました。そうですね時間としては多分半日くらいかな?」
「え?ですがススムさんは消えた直後に出てきましたが?」
やはりそう見えたのか。
状況的にそうなのではないかと考えていた。
「ということは恐らくですが今回のダンジョン内部は時間が止まっているのかも知れませんね。」
「なるほど・・・。」
「それで途中であるものを見つけたんですが、今こちらに出してもよろしいですか?」
「はい。」
そうして俺はダンジョン内部でボロボロになっていた装備類一式を出す。
「こ、これは・・・!!」
「え!?」
サーシャがそれを見た瞬間驚きの声を上げるが、それ以上に驚いていたのはナナリーだった。
「やはりこの装備類の所有者の方が、サーシャさんのダンジョンに挑まれた方なんですね。」
「ええ、そうです・・・。この方は当時伯爵家で私の筆頭護衛騎士をしていたナナリーの父親でした。」
なるほど。
それでナナリーはあんなに驚いていたのか。
「ススム様、こちらの装備類を見つけて頂き本当にありがとうございました。父も感謝していると思います。」
そう言い頭を下げるナナリー。
「頭を上げて下さい。良ければそちらの装備類はナナリーさんが貰ってあげて下さい。その方がお父上も喜ばれるでしょう。」
「ススム様・・・!感謝申し上げます・・・!!」
そう言うとナナリーは大事そうにその装備類を自身の収納鞄に入れていた。
「話を戻しますね。その後暫く進むと主がいて、そいつと話をすることが出来ました。」
「え!?お話ができたんですか?」
「ええ、まあ偶然かもしれませんけどね。」
俺は言語理解のスキルのことは伏せて偶然ということにしておいた。
「それでそいつが言うには今回のサーシャさんの呪いは『偶然の産物』であって、誰かが意図的にサーシャさんを呪ったわけではなく自然発生的に起こった呪いだと言っていました。」
それを聞いたサーシャがボロボロ涙を流し始めた。
「そうですか・・・!良かった!良かったです!!」
それはそうだろう。
仮に意図的に呪われたのだとしたらそれは呪った相手がいるということになる。
恐らくサーシャの呪いは幼少期に発生したものだ。
幼いサーシャを意図的に呪うなんてやからがいたとすればそれはサーシャからすれば脅威でしか無かっただろう。
それがそうではないと初めて明確に示されたのだ。
心から安堵出来るだろう。
暫く後、涙を拭き話の続きを促される。
「それでその主は?」
「まさしく異形でしたね。全身にいくつもの目玉上がる大きな狼でした。」
「そんなモノが・・・。」
「ええ、ですが無事に退治できました。ただその瞬間ダンジョンが崩れ始め危なく閉じ込められそうになりましたが脱出したところ、先程の現象に繋がったというわけです。」
「なるほど・・・。本当にありがとうございました。」
「いえ、僕で対処できる程度で良かったです。それに諸々と戦利品も貰ってきましたので。」
「戦利品ですか!?」
おおう、ここ一番に食いついてきたな。
流石商人サーシャだ・・・。
「あ、はい・・・。」
「良ければ見せてもらえませんか?」
「構いませんが結構量がありますよ?」
「どれくらいになりますか?」
「うーん、素材ですとか装備品等で合わせて15個ほどですかね。」
「見せていただければ助かります!」
「わかりました、じゃあ一個ずつ出しますね。」
俺はそう言いながら一個ずつ出していく。
そう言えば、安全第一で性能とかまでは詳しく見てなかったな。
そうして出していくとサーシャ達はテキパキと部屋いっぱいに並べ始める。
どうやら等級ごとに並べているようだ。
「不思議ですね。呪われたダンジョンなので【呪われた装備】ばかりになるかと思っていましたが全くそんなことはなく、通常の魔獣から得られる素材や装備ばかりですね。」
「あはは。呪われてないだけ喜ぶべきなのでは・・・?」
「それはそれ、これはこれです!」
そう言ってプンスカしているサーシャに非常にがっかり感を覚える。
「あ、後は残り二つなんですがこれはちょっと問題有りかも知れないですね。」
「問題と言うと?」
「主から出たもので、恐らく呪われています。」
そう言うと一層目の輝きを増すサーシャ。
先程まで自身が呪われていたというのに・・・。
「出して下さい!さぁ!さぁ!!」
「あ、はい・・・。」
そうして俺は牙と杖を出す。
「こ、これは・・・!!」
明るい部屋で見ると明らかに牙から何かモヤらしきものが出ている・・・。
だ、大丈夫かこれ!?
だが、特筆すべきはやはり杖だ。
光り方がこの間のコカトリスより入手したユニークとは違う光が登っている。
俺はその杖をまじまじと見てみると以下のように表示される。
【レジェンド:太陽落焔の杖】
効果:HP+5、MP+20、MND+5、INT+22、LUK-15
【レジェンド:太陽落焔の杖を鑑定しますか? はい/いいえ(鑑定用アイテム0個)】
うわぁ!!
れ、レジェンドだああ!!!
だが、LUK-15は明らかに呪われてる!!
俺が口をパクパクさせているとサーシャがそれを見てなにか感づいたのだろう。
すぐさま上級鑑定の魔道具を二つ取り出していた。
「え?」
俺がポカーンとしているとサーシャは無言で設置し、後は呪文を唱えるだけ!準備完了!という顔でこちらを見ている。
「・・・。お願いします。」
俺がそう言うと嬉々として二つを鑑定士始めた。
まず牙だが、これは呪われているということではないようだ。
サーシャでもきちんと素材名を読み取れたらしい。
「百目狼の牙、ですか?聞いたことがない素材ですね。」
「なるほど、あいつは百目狼っていう名前だったんですね。まあ、でも見た目通りの名前ですね。」
「うーん、ただ私でも見たことがないってことは結構なレアアイテムだと思うんですよね。」
「そうなんですかねえ?」
「それより問題はこっちですね!」
そう言いサーシャは興奮して手をブンブン振っている。
誕生日プレゼントを貰った子ども用にはしゃいでいる。
いや、それ呪われてるんだがな・・・。
そして鑑定をするとやはりバッチリ呪われていたようだ。
「うわ!うわ!!レジェンドですか!?レジェンド級の【呪われた装備】は初めて見ました!!」
「どれどれ、失礼しますね。」
【レジェンド:太陽落焔の杖】
効果:HP+5、MP+20、MND+5、INT+22、LUK-15
鑑定効果:ファイアボールが目標に着弾した時、威力を1/3にした【特殊魔法】が発動する。この効果により発動する【特殊魔法】はコストが掛からない。
鑑定効果:ダンジョンに侵入している際、そのダンジョンに出現するモンスターの数が2倍に増える。
空きスロット:0個
「ぶっ!」
「わっ!どうしたんですかススムさん!?」
だ、二重効果だと!?
それに効果がとんでもない!!
魔法使いの【特殊魔法】は全部で4属性で4種類あるがどれもコストが非常に重い。
だかこの太陽落焔の杖は威力が1/3に抑えられるが、ノーコストで放てるというとんでもない仕様だ。
それに二つ目の効果もとんでもない。
今回のようなダンジョンの場合、単純に敵数が2倍になりリスクも増えるがリターンもかなり多い。
今後装備を揃えるならこれを装備したうえでダンジョンに突入するのが最適解になるかも知れない。
「ところで、サーシャさん・・・。こちらのドロップ品の扱いは?」
「え?どういうことでしょうか?ススムさんが得てきたものですから全てススムさんの物ですよね?」
「それでよろしいのですか・・・?とんでもないものもありますが?」
「私としては第一の目標としてた呪いの解呪ができましたしそれにレジェンド級の【呪われた装備】を見れたので大満足なんですが?むしろこれで何かを要求するのは商人として以前に人として可笑しいと思います。」
正論パンチで顔面を殴れた。
先程から常識はずれな行動をしているようだがそこら辺はしっかりしていたようだ。
「では、遠慮なくいただきます。」
「そうして下さい!」
「それにしてもダンジョンか・・・。なかなか興味深い経験をさせていただきました。」
「あら?ススムさんはダンジョンに興味があるんですか?」
「ええ。そうですね。今回ので興味が湧きました。」
「でしたらオーロ・ヴァレンツはうってつけの場所かもしれませんよ?」
「え?」
「オーロ・ヴァレンツはダンジョンでも有名な都市ですから。」
「な、なんだってーーー!!?」




