【第35話】ミストヴェイルの反応【番外編】
~冒険者ギルド~
カイエンとセリーヌが話をしている。
「あの野郎、本当にこんな簡単に出立しやがった。」
「ええ、本当ですね。彼がこの街に始めてきてから経った2、3ヶ月のことでしたが嵐のように過ぎ去っていきましたね。」
「ああ。だが今後もやつの名はいたるところで聞くことになるだろうな。」
「まず間違いないでしょうね・・・。四角銀から金への壁は遥かに高いとは言いますが彼ならひょいと超えてしまいそうですね。」
「・・・、あり得るな・・・。金級なぞ数年は出ていなかったはずだがアイツがその数年ぶりの人間として報告に上がってくるのはそう遠くない気がする。」
「そうなると、この国では触れてはならない存在としての扱いになったようですが、他の国がどうなるかわかったもんでは有りませんね。」
「そのへんも含めて情報収集しっかり頼むぞ。」
「カイエンさんもですよね?」
「ぐ・・・」
「はあ、頼みましたよ?ギルドマスターさん。」
~商業ギルド~
フォレスが『常闇の装具店』に足を踏み入れる。
「はあ、本当はここには余り近寄りたくはないのですが仕方ないですね。」
ギィイ
「相変わらず薄暗く埃っぽい。本当にこれでも店なんですか?ヴェルミナ。」
「おやおや、これはギルドマスター殿じゃないか?なんだってこんな店に?」
「白々しい。貴方がサーシャに発破をかけたんでしょう?」
「何のことかは知らないねえ。それにお前の一番弟子だろう?あの子のことだ、私が何もしなかったとしても必ずススムを選び連れて行ったさ。」
「・・・。それで今後のプランはなにか考えていたんですか?」
「プランなんぞ考えてはいないよ。どうせアイツのことだ。私が策を練るまでもなく勝手に自分で話題を作り上げてこの街まで届けてくれるだろうよ。なんせ『先代ギルドマスターの私』と『現ギルドマスター』の二人の目に叶う人間なんだ。」
「こんな時ばかり都合良く先代ギルドマスターだなんて・・・。」
「仕方ないじゃないか。あの坊主を見ていると自然と忘れていた商売に対する熱が上がってきちまうんだから。だからお前もそこまで肩入れするんだろう?」
「・・・、否定はしません。」
「なら見守ってやろうじゃないか。アイツが何を成すのかを!フェーッフェッフェッフェ!」
~錬金術師ギルド~
「マリリ様!聞きましたか!?」
「うお!!何!?調合してる時は大声厳禁でしょう!!」
「これが大声出さずに要られますか!ススムさんのことですよ!!」
「え?ススム君また何かやらかしたの?あいつはいつもなんかしでかすからなあ。で、今回は何したの?」
「この街から出てったそうですよ!?」
パリーン!
マリリがあまりの衝撃の言葉に手にしていた調合中の薬を器具ごと落とす。
「うわー!貴重な薬と器具が!」
「・・・は?いやいや、本気で言ってるの?」
「本気じゃなかったら何だって言うんですか?各ギルドてんやわんやですよ!」
「ま、まじかー・・・。この前大量に予算申請したばっかだよ!今後内のギルドどう運営したら良いんだ!カムバーック!!!」
「いや、それは問題ないんじゃないですか?」
「え?」
「だって商業ギルドに聞いたら山程預かってるらしいですよ・・・。」
「ま、まじ・・・?」
「ええ・・・。」
「・・・、ススム君頑張っていってらっしゃーい!!」
「なんて薄情なやつなんだ!」
~鍛冶師ギルドと彫金ギルド~
ガルドンとジーニスがいつものようにどうでもないことを話しているとカッフェが慌てた様子で飛び込んできた。
「しししし!師匠!!!大変です!!」
「なんだカッフェ!騒がしいな!」
「全く、躾がなってないですね。もう少し落ち着きというものを・・・。」
「ススムさんがこの街から旅立ったそうです!!」
「「えっ!?」」
「本気か!?どこの情報だそれ!?」
「それはもう色んなところで聞きました!」
「なんてことだ・・・。」
「ススムよ!折角お前から教えてもらった技術を利用した新しい炉が出来そうだったというのに!挨拶一つもせず!」
「それにしても痛すぎる話ですね。彼の存在は異質であって今後の産業がかなり盛り上がると思っていたんですが・・・。」
「それはこちらとしても同じだ。はぁ・・・。まあ根っからの冒険者だったってことだな・・・。」
「ああ、頭が痛いですね・・・。」
「「はぁ・・・」」
~森の穴熊亭~
昼前の時間、セリーヌが店にやってくる。
それを見つけたアリスが声を掛ける。
「おやおや?セリーヌ!珍しいね!」
「・・・アリス・・・。忙しいとは思うんだけどパックとアリスに話があるの。」
「うん・・・?どうやら深刻そうだね。ちょっとまってね。」
「ああ、それとどこか部屋に行ったほうが良いと思います。」
「わかった、事務室に行こう。」
アリスは駆け足でパックを呼び行く。
「どうした、セリーヌ。こんな時間に?珍しいじゃないか。・・・何かあったんだな?」
「ええ・・・。」
「どうしたの?」
「これを二人に託されました。」
セリーヌはそう言いながらパック宛の手紙とアリス宛の手紙を差し出す。
「手紙?」
「今読んでもいいの?」
「むしろ今読むべきです。ですが、場合によっては今日の店の運営は縮小するか休むべきかもしれません。」
「え!?」
「読ませてもらう。」
「・・・嘘だろう?俺達は何も聞いてはいない。以前のような一時的な旅ではないのか?」
「ええ、恐らく今後戻ってくることはほぼ無いと思って下さい。これも託されましたので。」
そう言いセリーヌは部屋の鍵も渡す。
「そ、そんな・・・。私・・・。いっぱいいっぱいススム君とお話したかったのに・・・。それに私・・・!!」
アリスがそこまで言った時セリーヌはアリスを抱きしめた。
「そうですね。貴方の気持は良く知っています。私は貴方の幼馴染ですから。」
「でもなんで!?」
「彼も冒険者だったからでしょう。冒険者は余程のことがない限り、一部の場所に留まることはしません。」
「ううぅ・・・。うわぁーん!!ススム君の馬鹿ー!」
アリスが大声を出してボロボロ泣き出す。
「あの野郎、今度もしあったら全力でぶっ飛ばしてやる。」
「良いですね。私もそうしたいと思います。」
「この手紙を参考にして、アイツがどこにいてもこの店の評判が耳に入るようにしてやる。」
「それもいいですね。そのうち噂を聞きつけて食べに来るかもしれませんね。」
「ぐうううう!コンチクショーーー!絶対この店を大成功させて良い旦那さん見つけて子ども一杯作って今度あった時は自慢してやるんだからーーー!!」
「それでこそ、私の幼馴染のアリスです。頑張れそうですか?」
「頑張るしか無いだろーー!!」
第一章~「最初の街『ミストヴェイル』編」~




