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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第一章~「最初の街『ミストヴェイル』編」~

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【第34話】出立

俺は早々にいつでも出発できるように荷物は整理し、必要なものは買い揃えていた。

そしていつもの様に草むしり基、薬草採取の依頼を終え商業ギルドに行くとそこにはサーシャ達の姿があった。

サーシャは俺に気が付くと笑顔を作り声を掛けてくる。

「こんにちは。ススム様。今日も精が出ますね。」

「あはは。僕の日課なんで。所で今日はどうしてこちらに?もしかして待ってました?」

「ふふ。その通りです。ススム様がこの位の時間に商業ギルドにいらっしゃることは聞いていたので。」

「なるほど。まあ、大体いつも同じ時間ですしね。」

「ええ。準備は整ったとお聞きしていますがこれから早速冒険者ギルドに一緒に行っていただいても?」

「わかりました。僕の方も準備は整っています。」

「では参りましょうか。」


俺とサーシャ達はそう言い、冒険者ギルドに向かう。

正面のカウンターにはいつもの様にセリーヌが座っていて声を掛けられた。

「ススムさん。こんにちは。今日は珍しいお時間ですね?」

「それはこちらの方の都合ですね。」

そう言い、俺はサーシャの事を軽く紹介する。


当然ながら冒険者ギルドで副ギルドマスターを務めているセリーヌは一瞬でサーシャが誰か理解し、カイエンから聞いていたと思われる事が頭を過ったのだろう。

すぐに二階の応接室に案内された。

もうこの部屋に来るのも何回目だろうか。

部屋で待つとすぐにカイエンが入室し、サーシャに跪いて挨拶を始めた。


「お初にお目にかかります。サーシャ・ヴィクトリア・ブラウン様。私は当冒険者ギルドマスターのカイエンと申します。以後お見知りおきを。」

「丁寧なご挨拶どうもありがとうございます。ですが、今は一介の商人のサーシャとして接していただければ助かります。」

「・・・。そうですか。畏まりました。ご用向きは以前このススムよりお話があった、指名依頼の件でよろしいでしょうか?」

「ええ。その件です。早速ですが彼に正式に商業都市オーロ・ヴァレンツまでの護衛を指名依頼したいと思います。」

「わかりました。では必要な手続きをさせていただきます。ススム、お前は出発前に一度隣の部屋でセリーヌと薬草類採取の件で精算しておけ。恐らくつぎの精算はオーロ・ヴァレンツですることになるだろうからな。」

「そう言えば、僕最初の納品した分しか生産せずに今まで何となく日課で薬草類の納品してましたね。」

そういうとサーシャが驚いていた。


「ええ!?本当ですか?あれだけのことをしておきながら全く精算をしてなかったのですか?一応お話は聞いていましたが。」

「そうですね。なんか日課で摘んでました。ここに来た当時は無一文で困っていましたがその後は色々と実入りが良くて困ることもなかったので。」

「はあ、冒険者としては一流なのかもしれませんが、商人としては三流ですね。」

そんな風にサーシャに言われてしまう。


「あはは。僕の本職は冒険者なので。それに冒険者としてもまだまだ三流ですよ。」

「本当にススム様が三流の冒険者でしたら、今頃私たちはこうしてここにはおりませんよ。」

「オホン!お話の続きを伺ってもよろしいですかな?」

カイエンが早く処理してこいと無言の圧力を放ってくる。

はいはい、わかってますって。


俺はセリーヌが座っている机の所に移動し話しを聞く。

「ススムさん。こちらです。以前の取り決め通りでしたらば評価値と報酬金を渡すとなっておりましたが、先立って四角銀級に昇格するに当たり評価値は既にそちらで参照しておりますので今日お渡しするのは今まで錬金ギルドが購入した分の諸々差し引いた金額になります。」

「あ、はい。問題ないです。」

「それと本来でしたら複数枚持ち込んでくださった場合、その都度の加算という形で金額の上乗せを行っていましたが、今回は累計での加算という形になります。」

「え?それって上乗せ分の計算大分変わってきませんか?僕の取り分大分大きくなるような気がしますが。」

「正当な仕事には正当な報酬を。それが冒険者ギルドの根底にある部分です。ススムさんは自覚がないかもしれませんがそれだけのことをしてきましたので受け取る義務があります。」

「はあ。まあ貰えるなら頂いておきます。」

「ではこちらが累計の報酬金額及び加算金額が書かれた書類になります。目を通して頂き問題なければサインをお願いしますね。」

「失礼しますね。」


何々?

・・・

報酬金が約75万ミラルに加算金が約45万だって!?

合計約120万ミラル、日本円にして1200万円だって!?

「う、嘘ですよね・・・?桁間違えてません?」

「嘘でもないですし、桁も合っています。それにまだまだススムさんは大量に預けていますよね?それも『今日も補充してきた』とか・・・。」

「あ、あはは・・・。」

「商業ギルドに入っている分については当面錬金術ギルドを筆頭に他のルートでも捌くように方針を切り替えたようです。ただこれについては冒険者ギルドの感知するところではないので、今後も定期的にススムさんへの評価値と加算金を含めた報奨金は入りますので他の冒険者ギルドででも忘れず定期的に受け取ってくださいね。」

「そう言えばそこがちょっと疑問だったんですが、今回はこの街ミストヴェイルで依頼を受領し納品を行ってきたんですが今後はどの街ででもその報酬は受け取れるということですか?」

「ええ。勿論です。冒険者ギルドは以前お話があったかもしれませんがどの国にも属さず、中立の完全に独立した組織です。それに冒険者ギルドの情報は随時独自のネットワークを用いて情報の共有はもちろん、資金のやり取りも行っています。ですので途轍もない貧しい国の冒険者ギルドであったとしても受け取れる報酬はここと変わらないということになります。」


はえー。

本当にこういう所はある意味地球より健全だし進歩してると思うわ。

「わかりました。では今後は定期的に受領したいと思います。」

「ええ。ではサインを。」

「はい。」

あ、もしや今回もレベル上がるのか?

ちょっと心して置かなければ・・・。

【システムメッセージ】の急な出方はスマホに流れてくる緊急地震速報並みにびっくりする。


「これでよし・・・。」

「はい。確かに。」

おや?今回はレベルが上がらなかった。

という事は昨日の四角銀級昇格の中に含まれてたのかな?

こういう時ゲームであればサブクエストなども受注一覧が出てくるのだが、如何せんそういった機能は見つけられていない。

何がどう作用しているのかいまだブラックボックス状態なのだ。

まあ、あの◯◯女神が急造したツギハギだらけのスキルだしな・・・。


「では、これで以上ですかね?」

「ススムさん。これは個人的なお話です。」

「え?何でしょうか。」

「私は立場的に守秘義務がりますので今後のススムさんのことを一般人にお話することが出来ません。」


俺はそこまで聞き、アリスとパックかとすぐに分かった。

「なるほど。では黙っておいて下さい。一応出発の時に手紙を預けてもいいですか?」

「では本当にそのまま出ていくつもりなんですね。」

「ええ、そのつもりです。」

「・・・理由はお聞きしません。わかりました。では出発の際手紙や伝言はお預かりし確かに届けさせていただきます。」

「感謝します。」


俺はそう言い席を立つとどうやらカイエンとサーシャも話を終えたようだ。

「ススム、こちらの話は終わった。」

「そうですか。出立はいつになりますか?」

「こちらは既に準備は完了しておりなるべく早く、と言いたいところですがススム様の方がお手紙などの準備があるんですよね?」

「ああ、それは大丈夫です。今日中にでも書き上げますので。可能でしたら明日にでも出立してしまいましょう。」

「本当にそれで良いんですか?」

「ええ。」

「了解した。ではこちらの指名依頼を今日付けで依頼し明日からの行動を認める。」

「カイエン様、感謝致します。」

「・・・これも仕事ですので。」


この場が解散となり俺は穴熊亭に戻る。

丁度書き入れ時だったときのようで忙しそうにしている。

まあ一応明日から仕事だと伝えておけば口頭では十分だろう。

後は手紙の中に書いておくか。


「アリスさん、今いい?」

「うん?どうした?」

「明日からまた仕事で居なくなります。」

「おお!?また急だねえ。わかった。お弁当は?」

「そうですね。3日分位作ってもらおうかな。」

「了解。気をつけて行ってくるんだぞー。」


そうして俺は部屋に戻りアリスとパックに手紙を書いた。

深い事情などは書かない。

情が入りすぎて自分でも混乱してしまうからだ。

端的に書き、感謝を述べ、今後の店についておまけでアドバイスを書いておいた。


翌朝、スッキリと目覚めた俺は早々に準備を終え一階に向かう。

「おはよう。ススム。また仕事だって?」

「おはようございます。パックさん。お陰様で。」

「忙しいことは良いことだな。最近つくづくそれを実感している。」

「はは。そうかも知れませんね。」

「これ弁当だ。」

「ありがとうございます。では僕はこのまま行きますね。」

「そんなに急ぎなんだな。アリス!進むが出立するってよ!」

「うわーーー!待った待った!おはようススム君!早いよ!もう行っちゃうの?気をつけていってくるんだぞ。」

「ええ、ありがとう。二人とも。じゃあ行ってきますね。」

「ポチも気をつけていってくるんだぞー。」

そう言いながらポチの顔をワシャワシャ撫でるアリス。

『行ってくるのー。』


冒険者ギルドに向かいセリーヌに挨拶をした後、手紙と穴熊亭の鍵を渡す。

「この鍵は?穴熊亭のですか?」

「ええ。いつ戻ってくるかもわかりませんからね。返却しておいて下さい。」

「・・・そうですか。いつか・・・。いつかまた必ず帰ってきてくださいね。」

俺はそれには答えず頭を下げて礼だけし冒険者ギルドを後にする。


待ち合わせ場所にはサーシャ達が馬車で準備していた。

「おはようございます。サーシャ様。道中よろしくお願いしますね。」

「こちらこそよろしくお願いします。それと今後は商人のサーシャですので様はおやめ下さい。」

「では僕もただの冒険者のススムですので様はやめてください。」

そう言い合い二人で笑う。


「では出発しましょうか。」

こうして商業都市オーロ・ヴァレンツまでの旅が始まる。


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