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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら
第一章~「最初の街『ミストヴェイル』編」~

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【第23話】現実

俺は縛り上げた盗賊たちを近くに生えていた立派な一本の木に固定する。

「言っておくが逃げようなんて思うなよ?お前たちの動きは逐一監視できている。怪我をしている奴らについては逃げたりしなければ死なない程度に後で治療してやる。下手に逃げ出したらそれこそ狼に食わせるからな。」

なんて柄にもなく低い声で脅しを掛けると盗賊たちは「ひぃ!」と言いながら小さくなっていた。


俺は早速、ねぐらになっていた廃坑内部を見に行くことにする。

問題は『気配察知(LV2)』と『地図(マップ)』で反応しているが全く動きが見られない4人だ。

俺は油断すること無く、盾を構えながらジリジリと進む。

中は盗賊たちが暮らすために必要だったのだろう、蝋などで明かりが照らされており夜でかつ廃坑内という光が入ってこない環境ながらも問題なく歩を進められた。

廃坑内は『地図(マップ)』を見る限りどうやら一本道になっているようだ。

4人がいると思われる付近まで行き、様子を伺うと女性の声で嗚咽を流して泣く声やそれに対して励ましている様な声が聞こえてくる。


状況的に敵ではないと判断した俺は両手を上げながらその4人と接触することにする。

「大丈夫か?助けに来た。今からそちらに両手を上げていく。」


俺はそう言いながら手を上げその4人のいる場所へと姿を表すとそこには元は鉱山道具などが入れられるための牢だろうか?

しっかりとした鉄格子の中に女性たちがいる。

正確には三人の女性と一匹の見たことがない子犬だった。


三人と1匹は固まり震えている。

衛生環境も良くなく、服装も汚れ破れている。

暴行を受けたような傷も見て取れた。

この光景を見て腹の底から怒りが湧き上がるのを感じるが、まずはこの被害者たちの救助が先だ。


「ひい!」

「ち、近づかないで!!」

幸い牢には鍵がかかっていない。

これを意味することは俺は今は考えないでおいた。

俺は収納鞄(マジックバック)からブランケットを出し、更に自身が纏っていた外套も彼女たちに渡す。

だが、彼女たちは俺が近づくだけでもかなり怯え、表情や声がそれを物語っていた。


「安心して欲しい。僕はさっきも言ったが味方で、貴方達を保護する。決して傷つけたりはしない。食事、水、薬もある。必要か?」

俺はなるべく感情が出ないようにゆっくりと話しかける。

彼女たちは顔を見合わせ、言葉には出さないがコクコクと頷くだけで返事をする。


「わかった。では物をおいた後、僕は離れる。毒見が必要ならまず僕が口をつけるが必要か?」

「・・・。ええ。可能でしたら。」

「わかった。」

俺は彼女たちの要望に従い、食料、水、薬をまず自分で一口ずつ毒見をしてから置きそして離れる。

物陰に隠れ声だけで様子を伺う。

やはり大分ひどい扱いを受けていたようで歓喜の声が上がっている。

俺はこの時、やはりこれがこの世界の『現実』なんだと酷く痛感する。


暫くすると落ち着いたようで女性側から声がかかる。

「あの・・・。」

「大丈夫ですか?他に欲しいものがあれば言って下さい。」

「い、いえ。良ければこちらに来てくれませんか?」

「では失礼して。」


そうして改めて彼女たちと顔を合わせる。

「助けて頂き本当に感謝致します。私が代表し、お礼を申し上げます。」

「良いんです。元はといえば別の依頼で来たのですが偶然貴方達の存在を知り結果この様に助けることが出来てよかったです。」

「そうだったんですね。ありがとうございます。」

そんなことを話していると、ぐったりとしていた子犬は元気を取り戻したようで俺の近くにやって来る。

俺は地球にいた頃、昔だが犬を飼っていたことが有りそれを思い出して頭を撫でていると子犬もそれを心地よさそうにしているので抱きかかえてやる。


「この子犬は?」

「さあ?私たちより後に連れてこられましたので。」

「ということは貴方達三人は元々お知り合いで?」

「はい。」

「そうでしたか。とりあえずこちらに救援依頼を出さなければいけませんね。」

「本当に貴方一人であの盗賊たちを?」

「ええ。今は大人しく外で縛り上げられていますので決して貴方達をこれ以上傷付けはさせませんよ。」

「ありがとうございます。」

そう言い彼女たちは各々に頭を下げる。


「気にしないで下さい。それよりも少し場所を変えませんか?そこは居心地が悪いでしょう?」

俺はそう言いながら少し奥へと移動することにした。

彼女たちに余り精神的負担をかけさせたくなく、あの光景を見せたくなかったためである。


少し奥へと移動するとそこは『地図(マップ)』通り開けた空間になっており先程の場所よりも遥かに居心地は良さそうだ。

「今、火を起こしますね。」

俺はそう言い、収納鞄(マジックバック)よりいつでも焚き火ができるようにと枝等を収納鞄(マジックバック)を使った解体術を応用し、木から水分を分離させ、焚き火に適した乾燥した木材を作り出していた。

それを手際良く準備し、火を付ける。

彼女たちはその温かな火に安心したのか、ゆっくりと腰を降ろしお互いを慰め合っていた。

「一応、軽食と水は追加で置いておきます。それと、本来の商業ギルドの依頼の品を探しに行きたいのですが大丈夫ですか?」

「そ、それは・・・。」

「すぐ見える所なので大丈夫だと思います。それにその依頼の品があれば救援を出せますので。」

「わかりました。」

「すぐに探し出して戻ります。」

今回依頼の品となった物の詳細を聞いていたのでタグ付けが出来ており、それは比較的近くにマーキングが見える。

俺はそのマーキングの場所に行くと略奪した戦利品だろう、物ものが見えたが基本的にそれらには目もくれず目的の鍵付きの頑丈な箱というものを発見する。

それを手に取り、直ぐに彼女たちの元へ戻る。


「戻りました。」

「それが貴方の依頼の品ですか?」

「その様です。では今から救援を求める伝聞と共に送ってしまいますね。」

「もしかして道具用の転移陣(ポータル)ですか?」

「ええ、その通りです。送り先はミストヴェイルの商業ギルドマスターのフォレスさん宛になります。」

「フォレスですか!なら都合が良いです。」

「知り合いでしたか?」

「ええ。私の名前はサーシャと言います。もし可能でしたらその名を救援内容に書いてくれませんか?それだけで伝わるはずです。」

「わかりました。名乗り遅れました。僕は銅級冒険者のススムと言います。貴方達を必ず街まで送り届けます。」

「心強いお言葉、感謝申し上げます。」


俺は一枚の紙を取り出し、それに盗賊6名を生かして捕らえたこと、誘拐にあった人達がいた事、そしてそのうち一人は『サーシャ』と名乗るフォレスの知り合いだということを書き箱に結び付け道具用の転移陣(ポータル)で送り飛ばす。

救援が来る迄の数日間はここで彼女たちを守りながら過ごすことにした。

なにせ外は魔獣が多い場所だ。

下手に外で待つよりも日は当たらないがここで待っていたほうが良いと考えた。

彼女たちが深く寝入った頃合いを見て俺はそっと外に出て、盗賊たちに最低限の水と薬だけを与える。


「こ、これだけか!?」

「飯は無いのか!!」

「というか魔獣にでも襲われたらどうするんだ!」


等と立場を忘れ馬鹿なことを言っている。

「お前達、少しは自分たちの立場を考えたらどうだ?文句があるならこれも回収していく。数日間は水、薬無しで過ごすことになるがどちらが良いか3秒で選べ。」

俺はまるでゴミを見るような目で盗賊たちを見下ろし自分たちで選ばせてやる。


「・・・!!」

そんな俺の目を見た文句を言っていた盗賊たちは押し黙る。


「それと魔獣に襲われたらだったな?安心しろ。お前たちは既に生死問わず(デッドオアアライブ)の存在だ。死んだら骨だけは拾ってやるよ。」

俺もここまでの事をスッと言えるとは思ってもいなかったが、これが心からの本音だった。


俺は彼女たちの元へ戻るとサーシャだけは起きたようで警戒していた。

「僕です。戻りました。すみません、起こすつもりはなかったんですが。」

「よ、良かった・・・。行ってしまわれたのかと・・・。」

「言ったじゃないですか。必ず貴方達を街に送り届けますと。」

「そ、そうですね。」

「安心できないかもしれませんがゆっくりなさって下さい。」

「はい。」

そう言うと再び彼女も眠りに落ちる。

子犬も相変わらず俺の手が心地良いようで俺の手の中で今はゆっくり寝ている。


救援が来るまでの間は彼女たちと他愛もない話をしてなるべく気を逸らすことに注力した。

主に俺の今までの経緯を話すもやはり現実味がないのだろう、彼女たちは俺が作り話をして気をそらしてくれていると勘違いしている。

だが、今はそれでも良いと思った。


救援要請からおよそ三日経たないかぐらいのことだった。

俺の『気配察知(LV2)』と『地図(マップ)』に反応があり、それは数名どころではなくかなりの大所帯であった。

速度もかなり早いことから馬などに騎乗して接近していると思われる。

俺は恐らく救援だと思い、彼女たちにそれを告げる。


「どうしますか?ここで待ちますか?それとも共に外に様子を見に行きますか?」

「・・・。行きます。ね?皆で行こう。」

サーシャが他の二人にそう声を掛け、俺達は外に行くことになる。

そして俺達が外に出た位のタイミングで、丁度その一団が目に入る。

やはり馬に乗った団体で、その先頭の人物は識別するためであろう旗を持ちこちらに迫っていた。


「あの旗は・・・ミストヴェイルの旗?」

「ええ、その様です。」

サーシャは心底安心した様子であったことからこの一団はミストヴェイルの軍であることがわかる。

俺は首から下げている冒険者証を手に非武装化した状態で手を挙げ、その一団に敵意を無いことを示す。


「我らはミストヴェイル正規軍の者である!ここに冒険者ススムと誘拐された人物がいると聞き、救援に参った!」

「僕が冒険者のススムです!見ての通り武装はしておりません!誘拐された方たちは僕の後ろにいます!」

そう言うとサーシャが一歩進み軍に向かって名乗り出た。

「私はサーシャ・ヴィクトリア・ブラウンです!この度の迅速な救援に感謝申し上げます!」


それを聞いた軍の代表らしき人物が近づいてきてサーシャに対し敬礼をする。

「救援が遅くなり大変申し訳有りませんでした!」

「大丈夫です。ススム様が助けてくれましたので。」

「では、サーシャ様達はこちらへ。衣類や食事等ご用意しております。」

「ありがとう。」

サーシャ達は軍人たちに囲まれながら移動していく。


「ススム殿は大変申し訳ないが協力をお願いしたいのだがよろしいか?」

「ええ、勿論です。」


そうして俺はまだ辛うじて生きていた盗賊たちを引き渡し、俺達が一時避難所(シェルター)にしていた、盗賊たちのねぐらを案内する。

「後処理はおまかせしても大丈夫ですか?」

「ええ。勿論です。我々はこの後二手に分かれ、ここを調査する者たちと街に帰る者たちで別れますがススム殿はどうされますか?」

「僕は彼女達を街まで送り届けると約束しましたので、可能なら一緒に帰りたいと思います。」

「了解しました。ではこちらへ。」


兵士たちに案内され、俺も馬車に乗ることになる。

「あ、ススム様。一緒に来て頂けるのですか?」

サーシャが俺の顔を見るなり安心した様子になる。

「ええ、街まで送り届ける、そう約束しましたので。」


そして俺達は馬車に乗り、軍に護衛されながらミストヴェイルまで帰路につく。

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