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呪われた装備でハック&スラッシュ! ~異世界で神すら把握できないスキル使って呪い装備のコーディネートします~  作者: 馬ノ やすら


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【第20話】いざ出発!

俺は収納鞄(マジックバック)の一件はギルドマスターのカイエンに一任することにし、鍛冶ギルドに向かった。

お目当ては勿論、素材剥ぎ取り道具だ。

なんだか鍛冶ギルドに行くのも久しぶりな気がしたが、遠目で見たことがある人物が居たので声を掛けた。

「カッフェ君、こんにちは。今忙しい?」

「ん?あれ、ススムさんじゃないですか。どうかしたんですか?」

「ああ、実はちょっと欲しいものがあって丁度カッフェ君に相談したかったんだ。」

「おおお!僕を頼ってくれるなんて有り難い!!御力になれることなら何でも!!」


何故かは知らんが俺に対する評価が以前よりも上がってる気がする。

あ、もしかしてテコの原理の件か?

「いや、あれから教えていただいたことを師匠と色々研究してまして。あれはすごいですね!」

やっぱりそうだった。

建築業では普通に使われてたのに今まで鍛冶ギルドで全く浸透してなかったほうが不思議なんだが。

技術の伝播ってこういうものなのかなあ?


「それで今日は何をお探しですか?」

「ああ、ちょっと旅に出ることになってね。その間に恐らく自分で食料調達する必要がありそうだったんで、獣の素材剥ぎ取り道具一式が欲しいなと。初心者用ので構わないので見繕うことって出来る?」

「え!?ススムさん旅に出ちゃうんですか!?」

「ああ、でも片付いたらすぐに帰ってくるけどね。」

「良かったー。ススムさんが行っちゃうと僕も寂しいですし、何より師匠が泣きそうですから。」

「あはは・・・。」

確かにガルドンなら大泣きしそうな気はする。


「さ、こちらにどうぞ。」

「ありがとう。悪いね。」

「いえいえ。」

「ちなみにそういう道具一式の値段ってどれくらいかな?」

「んー、そうですねえ。結構種類がありますが初心者用なら、『解体ナイフ』、『骨抜きナイフ』、『解体斧』、『解体用鉤』ですかねえ?値段にすれば3万ミラル位ですね。」

「それくらいなんだ。もっとするかと思ってた。」

「あ、でもこれ一般価格であって『ススムさん価格』だと1万ミラルですね。」

「ちょっと待って!!『ススムさん価格』って何!?1/3になってない?」

俺は突然の聞いたことがないセールの名前と価格に思わず声を出す。


「ああ、今はちょっと師匠野暮用で居ないので僕に任されているのですが、実はあの一件以降師匠が更にススムさんのことを気に入ってしまいまして。それで師匠命令でススムさんが何かうちに頼った時はその割引率で売るようにと指示が出てます。」

俺ってばまたなにか余計なことしたのかなあ・・・。

最近自分がこの世界の常識を破壊しまくっているようで心配になってきた。

これは少し自重する必要があるのか?

いやでもそもそもあの◯◯女神は最初から俺にとんでもチートスキルを付与しようとしてたよな?

ならこのままこの生活をエンジョイするのも有りなのではないだろうか?

などと考えているとカッフェが俺の顔を覗き込んできた。


「ススムさん、大丈夫ですか?」

「あ、ああ・・・。大丈夫。少し考え事してただけだ。」

「大丈夫なら良いんですが。それで受け渡しはどうしますか?」

「手持ち金は今あるのでこれで払える?」

俺は胸元より商業者登録票を出す。


「あ、ススムさん商人登録されたんですねえ!」

「あはは、ちょっと商人の人と知り合いになってね。便利だからということでなったんだ。」

「え、でもそれ四角銅級ですよね!?ただの知り合いではないんじゃないでしょうか?」

ギ、ギクー!!!

そうだった、まずい!!

こっちもこっちで特進してたんだ!!


「あはは・・・。カッフェ君頼む。この事は内密に。」

「な、内密ですね・・・!?わっかりましたー!!」

大丈夫か、カッフェよ・・・。おじさんすごい心配だよ・・・。

支払い後俺はさっさと退散することにする。

余り人目についても更にトラブルに巻き込まれそうだったのでもう今日は懲り懲りだ。


「助かったよカッフェ君。また何かあったらよろしく。物は明日取りに来るからね。」

「ええ、明日お待ちしてますね。」

「ありがとう。」


その足で俺はすぐ近くにある錬金術ギルドにも足を運ぶ。

必要最低限のポーションを貰うためだ。


初めて入る錬金術ギルドは何やら非常に忙しそうな印象だった。

そういやマスターのマリリが過去一で忙しくててんてこ舞いとか言ってたな。

まあでも一応聞いてみるか。


「こんにちは。今大丈夫でしょうか?」

「はい?何の御用でしょうか?」

受付の男性は何やら作業をしながら受付をしているようで、余りこちらも見ずむしろ煩わしいという空気感を放っていた。

まあ、しょうがない。俺は冒険者証を見せながらマリリを呼ぶことにした。


「僕はススムという冒険者で、マリリさんか代わりの方とお話をしたいのですが?」

「ギルマスですか?貴方のような銅級冒険者に・・・、いや銅級冒険者のススムさんですか!?貴方が?」

どうやら思い当たることがあるようだ。


「あはは。どうやらそのススムの様です。」

「失礼しました。今マリリは手が離せませんので代わりのものを寄越します。こちらへ。」

そうして俺は客間のようなところに通される。

ここに来るまでもギルド内部をさらっと見てみたがやはりどこも忙しそうだった。


「こちらでお待ち下さい。」

「はい。」

暫くするとなんとマリリ自身が部屋に来た。


「おおう、ススム君!本当に来てたんだ。」

「あれ?マリリさん今手が離せないって聞いてたんで他の方が来るかと思ってました。」

「ああ、いや。忙しかったんだけど本当に最近仕事ばっかだったので少し息抜きしようかと思ってたら君の名前が聞こえてきてね。」

「それならゆっくりしてきたら良いじゃないですか。」

「あはは。私は君に感謝してるからね。こうやって君と話せることが最大の息抜きさ。」

「そういうもんですかね?」

「そういうものだよ。それで今日はどうかしたの?」

「いえ、旅に出る時に必要最低限のポーションだけ貰っていこうかなと思ったんですよ。」

「最低限でいいの?」

「正直初めてのことなので何が最低限なのかも理解してないです。」

「あはは!私は君のそういう正直なところも好きだよ。わかった。じゃあ私が見繕っておくね。」


そう言うとマリリが立ち上がりすぐに準備しようとしたのでそれを止める。

「あ、急がないので大丈夫です!揃えてくれたら受付の方にでも渡しておいて下さい!」

「ん?でも効果とかは知りたいんじゃないの?」

「あ、それは多分大丈夫だと思います。」

「ああ、『例』のか。本当に羨ましいねえ。それ私に頂戴!」

「あはは。非常にわかりにくいものなので渡しても使いこなせないと思いますよ。」

「うー、残念。じゃあ、明日以降にでも取りに来てね。受付のやつに渡しておくから。」

「ええ、助かります。では僕はこれで。」

「うむー。またねー。」


宿屋に戻り、まだ活気がある食堂に顔を出す。

「あ、いた。アリスさんちょっといい?」

「うん?ススム君どうした?ちょっと待ってね。」

「あい、いや。一言伝えるだけだから。僕明日朝一番から暫く依頼で居なくなるからね。多分長くて1ヶ月くらいかな?」

「え!?急過ぎやしない!?」

「あはは、急ぎな依頼なんだ。あ、部屋は片付けてあるし明日鍵は一応返しておくのでもし部屋の掃除とかするならお願いします。」

「そっかー。そういう事ならしょうがない。お弁当だけは用意してあげよう。」

「あ、そうか。お弁当か。実は極小サイズだけど時間を止める収納鞄(マジックバック)貰うんだった。それに入れていくので可能なら3~5食分位作れる?無理なら大丈夫。」

「時間を止める収納鞄(マジックバック)とか本当に!?すごい依頼受けたんだねえ。わかった。明日の朝5食分用意しておくわ。」

「先に各ギルド回って最後にここに鍵私と食料回収に来ますね。」

「わかったよ。おやすみー。」


翌朝、早々に商業ギルドに行きシシルより、容量が中程度の収納鞄(マジックバック)、極小容量の時間を止める収納鞄(マジックバック)を受け取る。

どうやら商業ギルドで依頼した品物は全て通常の収納鞄(マジックバック)に仕舞ってくれていたようだった。

ちなみにこの際に、依頼品を瞬間的に依頼主に届けることが出来る道具用の転移陣(ポータル)の魔道具を渡された。

説明書も入っているとのこと。

俺は商業ギルドに依頼していた外套を早速収納鞄(マジックバック)から引き出しそれを羽織る。

「師匠を呼んできましょうか?」

「いや、いいよ。シシル君から俺が今日出発したと伝えて欲しい。」

「・・・。畏まりました。どうかお気をつけて。」

「ありがとう。行ってくるね。」

俺は余り人に見送られるのが得意ではなかったのでそっと出ていくことにした。


鍛冶ギルドに行きカッフェに依頼していた素材剥ぎ取り道具一式を取りに行く。

これもどんどんと収納鞄(マジックバック)に入れるが、流石部屋半分と同程度の容量がある収納鞄(マジックバック)だ。

これだけの品物を放り込んでもまだまだ余裕が有り余っていた。

「師匠が居ない時に出発だなんて寂しがると思います。」

「ああ、何も今生の別れでもないし、すぐに帰って来る予定だ。」

「そうですか。ではお気をつけて行ってらっしゃい!」

俺は片手だけ上げて返答する。


錬金術ギルドに寄ると受付より道具用の転移陣(ポータル)の魔道具と、ポーション類を受け取るが予想を超えた量を要してくれていた。

「な、なんでこんなにくれるんですか?」

「ああ、それは僕達からの日頃の感謝の気持だよ。本当に助かっている。呉れ呉れも身体には気をつけて。」

そ、そんな事言われると泣きそうになるではないか!

40才近くになると途端に涙もろくなるのは何でだろうね?


冒険者ギルドに行きセリーヌにこれから出発する事を伝える。

「そうですか。早速行かれるのですね。準備は大丈夫ですか?」

「お陰様で。色々な人に協力してもらえたのですぐでした。」

「そうですか。ススムさんは本当に色んな方に縁があるようですね。冒険者には重要な要素ですので大切になさって下さい。」

「ありがとうございます。行ってきます。」

笑顔のセリーヌに見送られ俺は冒険者ギルドを後にする。

内心セリーヌとカイエンはこれでしばらくは問題が起きず平穏な日常が返ってくると喜んでいるんだろうなあと思っていた。


最後に宿屋に戻って鍵を渡し、作って貰った5食分のお弁当を早速時間を止める収納鞄(マジックバック)に入れる。

「本当に気をつけていくんだぞ!ちゃんと帰ってきてね。」

「朝早くからパックさんもありがとうございます。料理はやっぱ美味しい方が良いですからね。」

「気にするな。アリスの言う通り気をつけていってこい。」

「ええ、行ってきます。」

そう言い俺は宿屋を後にする。


最初の目的地の村までは乗合馬車での移動になる。

なので俺はその馬車の停留所に向かうとなんとこの街まで運んでくれた御者がいた。

話を聞くとどうやらこの御者がその目的地の村まで運んでくれるとのことだった。


「いやはや!こんなにも早く貴方に恩返しができることが叶うとは!あ、勿論あの時のお礼も兼ねますのでお代は結構です。」

「本当に偶然ですね。助かります。よろしくお願いします。」

「ええ、お乗り下さい。」


そう言われ俺は馬車の中に入る。今日も俺含めほぼ満員なようだ。

「では定刻になりましたので出発しますね。」


御者がカラーンカラーンと鐘を鳴らし馬車がゆっくりと動き出す。

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